4. 10月からの生活扶助の基準額、北九州市の例では75歳の単身が月6万8980円

生活扶助の基準額は、令和7年度と令和8年度の2年間の臨時的・特例的な措置として見直されています。北九州市の案内によると、令和8年10月から1年間、特例加算を1000円引き上げて1人あたり月額2500円にしました。

4.1 北九州市の生活扶助基準額の例(加算を除く)

北九州市が示している生活扶助基準額の例を、令和7年10月と令和8年10月で並べます。

  • 一人暮らしの高齢者(75歳):6万8820円→6万8980円
  • 一人暮らしの高齢者(68歳):7万4350円→7万5350円
  • 夫婦の高齢者(68歳、65歳):11万9470円→12万1470円
  • 母子の2人世帯(30歳、4歳):11万8290円→12万290円
  • 夫婦と子1人(32歳、29歳、4歳):14万9940円→15万2940円

4.2 75歳の単身は月160円の増加にとどまる

68歳の単身は1000円、2人世帯は2000円、3人世帯は3000円と、1人あたり1000円ずつ増えています。一方、75歳の単身は160円の増加でした。

北九州市は、特例加算の増額にあわせて経過的加算の調整が行われるため、世帯人数や年齢によっては扶助額が変わらない場合もあると説明しています。入院している人や介護施設に入所している人の加算は、1人あたり月額1000円のまま据え置かれます。

5. 先発医薬品を使いたいときは、診察のときに医師へ理由を伝える

医療扶助で先発医薬品が認められるかどうかは、本人の希望ではなく、医師や歯科医師が医療上の必要をどう判断するかで決まります。

5.1 「医療上の必要」を判断するのは医師や歯科医師

以前に後発医薬品で体調が合わなかったことがある、飲み込みにくい形の薬だったなど、気になることがあれば、診察のときに医師へ具体的に伝えます。医師が医療上の必要があると判断すれば、先発医薬品が処方されます。

薬局の窓口で先発医薬品を希望しても、処方箋で変更不可とされていなければ、後発医薬品の説明を受けたうえで後発医薬品が調剤されるのが原則です。

5.2 薬局が先発医薬品を出したときは福祉事務所に情報が届く

東京都福祉局の案内では、薬局が例外的に先発医薬品を調剤した場合、その事情を福祉事務所に情報提供することになっています。事情は、診療報酬の請求書(レセプト)の摘要欄に書く形です。

6. 医療扶助で置き換わるのは窓口で払う医療費、家計の保健医療費のすべてではない

金融機関で家計の相談を受けてきた立場から見ると、生活保護を受ける前と後で家計の何が変わるのかを、費目ごとに確かめておくことが大切です。医療費はその代表的な費目です。

家計調査で65歳以上の単身無職世帯が使っている保健医療の費用は、2025年平均で月8388円でした。この費目には、医療機関や薬局の窓口で払う費用のほか、市販の医薬品や健康器具なども含まれます。

医療扶助で本人の負担がなくなるのは、指定医療機関での診療や調剤など、医療扶助の対象になる部分です。医療扶助の対象にならない市販薬などは毎月の保護費の中でやりくりすることになるため、どこまでが医療扶助になるかを福祉事務所で確かめておくと、家計の見通しが立てやすくなります。

7. まとめ

被保護者調査(令和8年7月分概数)によると、保護停止中を除く生活保護世帯163万5284世帯のうち、高齢者世帯は55.2%、単身の高齢者世帯は51.6%でした。家計調査では、65歳以上の単身無職世帯は毎月2万9980円が不足しています。

生活保護の医療扶助では、生活保護法第34条第3項にもとづき、医師が使えると判断した薬は後発医薬品が原則です。2024年10月からは、医療上の必要がない長期収載品は医療扶助の対象外で、特別の料金を払って選ぶこともできません。薬について気になることは、診察のときに医師へ伝え、担当のケースワーカーにも相談しておきましょう。

参考資料

和田 直子