大学3年生の秋になると、就職か大学院への進学かを考え始める学生もいます。大学院に進むなら、学費をあと2年分用意できるかを家庭でも確かめておく必要があります。

日本学生支援機構(JASSO)が2026年3月に公表した「令和6年度学生生活調査結果(大学院各課程(試行))」によると、大学院修士課程の学生の学生生活費は年間173万7400円でした。

この記事では、修士課程の学費と生活費の内訳、学生の収入、修士課程で使える「授業料後払い制度」のしくみを、同調査と日本学生支援機構の資料で確認します。

1. 大学院修士課程の学生生活費は年173万7400円、学費は76万100円

学生生活費は、学費と生活費を合わせた1年間の支出額です。大学院修士課程の学生生活費は、令和6年11月から令和7年1月にかけて行われた調査で、修士課程の一般の学生(社会人学生を除く)について集計されています。

令和6年度調査では大学院生の調査票を改定したため、大学院の結果は従来の学生生活調査から切り離して「試行」として公表されました。このため、この記事では前回調査との比較はしていません。

1.1 修士課程の学費76万100円のうち、授業料は57万2700円

修士課程の学費は、授業料、その他の学校納付金、通学費、勉学・研究費の合計です。平均の内訳は次のとおりです。

  • 授業料:57万2700円
  • その他の学校納付金:4万5100円
  • 通学費:6万2500円
  • 勉学・研究費:7万9800円
  • 学費の合計:76万100円

生活費は97万7300円で、住居光熱費が31万3500円、食費が26万1100円、娯楽・し好費が17万7800円、その他の生活費が15万5300円、保健衛生費が6万9600円です。

1.2 修士課程の学生生活費は国立166万2000円、私立190万9900円

国立・公立・私立に分けると、学費の差が大きく出ます。私立の学費は109万9000円で、国立の59万3700円より50万5300円高くなっています。

一方、生活費は国立の106万8300円が最も高く、私立は81万900円でした。調査の授業料は学生が実際に支出した額の平均で、国立は45万5700円、私立は81万7400円です。

大学院修士課程の学生生活費は、私立が190万9900円で最も高い1/2

大学院修士課程(一般の学生)の学生生活費(年額)を、学費と生活費に分けて国立・公立・私立・平均で示した横棒グラフ。国立は学費59万3700円・生活費106万8300円で合計166万2000円、公立は学費55万7600円・生活費98万1000円で合計153万8600円、私立は学費109万9000円・生活費81万900円で合計190万9900円、平均は学費76万100円・生活費97万7300円で合計173万7400円

出所:日本学生支援機構「令和6年度学生生活調査結果(大学院各課程(試行))」をもとにLIMO編集部作成

【国立】

  • 学費:59万3700円
  • 生活費:106万8300円
  • 学生生活費:166万2000円

【公立】

  • 学費:55万7600円
  • 生活費:98万1000円
  • 学生生活費:153万8600円

【私立】

  • 学費:109万9000円
  • 生活費:81万900円
  • 学生生活費:190万9900円

【平均】

  • 学費:76万100円
  • 生活費:97万7300円
  • 学生生活費:173万7400円

2. 大学院修士課程の学生の収入は189万3200円、親・親戚からの支援は85万1600円

同調査では、修士課程の学生の1年間の収入も集計しています。平均の収入は189万3200円でした。

2.1 修士課程の学生の収入の45.0%は、親・親戚からの支援

収入のうち最も大きいのは親・親戚からの支援で、85万1600円です。収入に占める割合は45.0%になります。

次いで、アルバイトやパートタイムの収入が41万8300円、日本学生支援機構の貸与奨学金が38万3000円でした。大学院生ならではの収入として、TA(ティーチング・アシスタント)やRA(リサーチ・アシスタント)の報酬も10万4400円あります。

2.2 アルバイトをしている修士課程の学生は75.9%

修士課程の一般の学生のうち、アルバイトに従事している学生は75.9%でした。何らかの経済的支援を受けている学生は92.2%にのぼります。

経済的支援の種類(複数回答)では、親・親戚からの支援が77.2%、日本学生支援機構の第一種奨学金が37.8%、第二種奨学金が4.7%です。

3. 大学院修士課程の授業料後払い制度は、授業料を卒業後の所得に応じて返す仕組み

授業料後払い制度は、令和6年度に始まった日本学生支援機構の貸与奨学金の一つです。大学院修士課程(博士前期相当の課程を含む)と専門職学位課程の学生が対象で、在学中の授業料を卒業後に所得に応じて返していきます。

3.1 授業料後払い制度の授業料支援金は、国公立で年53万5800円、私立で年77万6000円まで

授業料後払い制度では、授業料相当額の「授業料支援金」を受け、そのまま授業料に充てます。機構と契約している学校なら、授業料支援金は学校に直接振り込まれます。

授業料支援金の年額は、国公立が53万5800円、私立が77万6000円を上限に、学校が指定した授業料の額になります。希望すれば、生活費奨学金も月2万円か4万円から選んで受けられます。

申込資格や学力基準、家計基準は第一種奨学金と同様です。第二種奨学金とは併用できますが、第一種奨学金とは併用できません。

3.2 授業料後払い制度の返還は所得連動返還方式で、年収300万円程度までは月2000円

授業料後払い制度の返還は、所得に応じて返還月額が決まる「所得連動返還方式」に限られます。返還初年度は一律で最低返還月額の2000円です。

その後も、年収が300万円程度になるまでは月2000円での返還となります。本人が誰かの扶養に入っていても、返還月額の算定で扶養者の所得は合算されません。

授業料後払い制度は、授業料支援金と生活費奨学金を受け、卒業後に所得に応じて返す2/2

大学院修士段階の授業料後払い制度のしくみを4項目で示した表。授業料支援金は国公立が年53万5800円、私立が年77万6000円までで、学校が指定した授業料の額を契約校には学校へ振り込む。生活費奨学金は月2万円か4万円から選び、受けないこともでき、保証料を差し引いた額を本人の口座に振り込む。卒業後の返還は所得連動返還方式で、返還初年度と年収300万円程度になるまでは月2000円。第二種奨学金とは併用でき、第一種奨学金とは併用できない

出所:日本学生支援機構「授業料後払い制度(大学院修士段階)」をもとにLIMO編集部作成

令和6年度学生生活調査では、修士課程の一般の学生のうち、授業料後払い制度とあわせて受ける生活費奨学金の利用者は0.1%でした。調査は制度が始まった年度の11月から翌年1月にかけて行われています。

大学院修士課程の学生生活費は年173万7400円で、学費は国立の59万3700円に対し、私立は109万9000円でした。収入の45.0%を親・親戚からの支援が占めています。

授業料後払い制度の対象や家計基準は、日本学生支援機構のホームページにある「授業料後払い制度(大学院修士段階)」のページで確かめられます。進学先の大学院が機構と契約しているかどうかも、同じページの契約締結校の一覧で確認できます。

ここからは、学部と修士課程の6年間をどう資金計画に入れるか、授業料後払い制度を使うかどうかの決め方を見ていきます。