4. 自立支援医療(精神通院医療)の自己負担を、月の医療費2万円と10万円で計算する

自立支援医療(精神通院医療)を使った場合の自己負担を、1か月の医療費(10割)が2万円と10万円の2つの計算例で確かめます。

4.1 月の医療費2万円なら、3割負担の6000円が1割の2000円に

1か月の医療費が2万円の場合、3割負担なら6000円です。自立支援医療を使うと1割の2000円になります。2000円はどの所得区分の上限月額も下回るため、生活保護世帯(0円)と、対象外になる一定所得以上の世帯を除けば、負担は2000円です。

1年間続くと、3割負担では7万2000円、1割なら2万4000円で、差は4万8000円になります。

4.2 月の医療費10万円なら、所得区分と「重度かつ継続」で負担が分かれる

デイ・ケアや訪問看護を多く使い、1か月の医療費が10万円になった場合、3割負担なら3万円、1割なら1万円です。自立支援医療を使ったときの1か月の負担は、所得区分によって次のようになります。

  • 生活保護世帯:0円
  • 低所得1:2500円
  • 低所得2:5000円
  • 中間所得1で「重度かつ継続」に該当:5000円
  • 中間所得2で「重度かつ継続」に該当:1万円
  • 一定所得以上で「重度かつ継続」に該当:1万円(1割の1万円が上限月額2万円を下回るため)

中間所得で「重度かつ継続」に該当しない場合は、医療保険の自己負担限度額が上限です。この計算例では1割の1万円が限度額を下回るので、負担は1万円になります。一定所得以上で「重度かつ継続」に該当しない場合は対象外のため、3割の3万円を負担します。

5. 自立支援医療受給者証は原則1年ごとに更新、使えるのは指定自立支援医療機関だけ

自立支援医療(精神通院医療)の申請が認められると、自立支援医療受給者証が交付されます。受給者証には有効期間があり、使える医療機関も決まっています。

5.1 自立支援医療受給者証の更新の申請は、有効期間が終わるおおむね3か月前から

受給者証の有効期間は原則1年で、1年ごとに更新が必要です。更新の申請は、有効期間が終わるおおむね3か月前から受け付けています。

治療方針に変更がなければ、医師の診断書は2回に1回省略できます。更新の時期を家族のカレンダーにも書いておくと、手続きの漏れを防げます。

5.2 病院・診療所・薬局・訪問看護ステーションが指定を受けているか確かめる

医療費が軽くなるのは、都道府県または指定都市が指定した「指定自立支援医療機関」で受けた医療だけです。病院や診療所だけでなく、薬局と訪問看護ステーションも指定を受けている必要があります。

精神科の医療機関の多くは指定を受けていますが、引っ越しや転院のときは、新しい病院や薬局が対象かを先に確かめておきましょう。

5.3 受診のたびに、受給者証と自己負担上限額管理票を見せる

自立支援医療で医療を受けるときは、受給者証と自己負担上限額管理票を、受診のたびに医療機関に示します。上限月額に達したかどうかは、この管理票で確認されます。

6. 一定所得以上の「重度かつ継続」の上限2万円は、2027年3月31日までの経過的特例

住民税の所得割が23万5000円以上の世帯は、本来は自立支援医療の対象外です。そのなかで「重度かつ継続」に該当する人の上限月額2万円は、経過的特例として設けられています。

6.1 自立支援医療の経過的特例は、2027年3月31日まで延長された

厚生労働省によると、この経過的特例は当初2024年(令和6年)3月31日までとされていましたが、2027年(令和9年)3月31日まで延長されました。期限のあとの扱いは、厚生労働省や市区町村の案内を確かめておく必要があります。

6.2 世帯の所得区分は、同じ医療保険に加入している家族の分で決まる

所得区分を判断する「世帯」は、住民票上の世帯ではなく、同じ公的医療保険に加入している人の範囲です。家族の就職や扶養の変更で加入する医療保険が変わると、所得区分も変わることがあります。

資産運用のご相談でも、家族の働き方が変わる時期には、税金や社会保険の区分を一緒に見直していただくようにしていました。受給者証の更新は、家族の収入の変化を確かめるよい機会になります。

7. まとめ

精神障害者保健福祉手帳の交付台帳登載数は、令和6年度末に154万7433人となり、前年度から7.6%増えました。自立支援医療(精神通院医療)を使うと通院の医療費は原則1割になり、1か月の負担には所得区分に応じた上限があります。

住民税非課税世帯の上限月額は2500円か5000円で、課税世帯でも「重度かつ継続」に該当すれば5000円から2万円までです。受給者証は原則1年ごとに更新し、指定自立支援医療機関で使います。

参考資料

和田 直子