相続の手続では、亡くなった方(被相続人)の戸籍謄本などの束を、銀行や法務局、税務署ごとに出し直すことになりがちです。この手間を減らす制度が、法務局の「法定相続情報証明制度」です。戸籍の束を1度出して、相続関係を一覧にした図(法定相続情報一覧図)の写しを無料でもらい、以後はその写しで手続を進められます。

ただし、一覧図の写しで何でも済むわけではありません。一覧図に載る人と載らない人の決まり、書類が返戻・廃棄される場合、交付後に変更できない点など、申出の前に知っておきたい点があります。この記事では、法務局と法務省の公式ページ(2026年10月時点)をもとに、制度の中身、手続の順番、注意点を整理します。

不動産を相続した人には、相続登記の申請義務があります。相続を知った日から3年以内が原則で、令和6年4月より前の相続にも、令和9年3月31日までの期限があります。この手続に、一覧図が役立ちます。個別の事情で必要書類や手続が変わるため、判断に迷うときは、法務局、司法書士、税理士などに相談してください。

1. 法定相続情報一覧図とは:法務局が認証文を付けた写しを無料で交付する

法定相続情報証明制度は、平成29年5月に始まりました。相続人が、相続関係を一覧に表した図と、戸除籍謄本等の束を、登記所(法務局)に出します。登記官が、一覧図の内容が民法に定められた相続関係と合っているかを確認し、認証文を付けた写しを無料で交付します。

一覧図は、被相続人と、戸籍から分かる相続人を、1枚の図にまとめたものです。この写しは、戸除籍謄本等の束の代わりとして、相続の各手続に出せます。写しは、必要な通数が無料で交付されます。

制度の目的は、手続の負担を減らすことです。従来は、手続先ごとに、戸除籍謄本等の束を出し、確認を受けて返してもらうという流れを繰り返す必要がありました。一覧図の写しを使えば、束は法務局への申出の1回で済みます。

2. どんな場面で使うのか:相続登記・預金の払戻し・相続税の申告

法務局の案内では、一覧図の写しを使える手続の例として、相続登記の申請、被相続人名義の預金の払戻し、相続税の申告が挙げられています。ほかにも、様々な相続関係の手続に使えます。

特に効果が大きいのは、相続登記です。所有する不動産が、複数の管轄にまたがって所在する場合、それぞれの法務局に、戸除籍謄本等の原本の束を出す必要があります。一覧図の写しを使えば、複数の法務局に束を出さずに済みます。

相続登記には、申請義務があります。相続により不動産の所有権を取得した相続人は、相続の開始と所有権の取得を知った日から3年以内に、申請する必要があります。正当な理由なく怠ると、10万円以下の過料の対象です。令和6年4月1日より前に始まった相続でも、登記をしていなければ対象で、令和9年3月31日までが期限です。

義務化の詳しい内容と期限は、放置すると最大10万円の過料?【相続登記義務化】過去に相続したものも対象に。猶予期限は約半年《2027年3月31日まで》で解説しています。

ただし、どの手続でも一覧図の写しが使えるとは限りません。金融機関や官公署など、提出先によって取扱いが異なります。使えるかどうか分からないときは、先に提出先へ問い合わせます。

3. 一覧図の写しだけで手続は終わらない:遺産分割の結果は別の書類が要る

一覧図の写しが証明するのは、「亡くなった時点での法定相続人が誰なのか」です。あくまで戸除籍謄本等の代わりで、遺産をどう分けたかを示すものではありません。

遺産分割協議を行った場合などは、遺産分割協議書などの関係書類を、一覧図の写しとあわせて出す必要があるとされています。必要な書類は手続先ごとに違うため、一覧図の写し以外に何が要るかを、事前に提出先へ聞いておきます。

法務局は、この点について、制度の限界も明記しています。この制度は、戸除籍謄本等の記載に基づく法定相続人を明らかにするものです。そのため、相続放棄や遺産分割協議の結果によって、実際には相続人とならない人がいる場合も、一覧図には、その人の氏名等が記載されます。

推定相続人から廃除された人は、相続する権利を失っているため、一覧図には記載されません。つまり、一覧図の記載は、「相続人になりうる人」の一覧であり、「実際に財産を受け取る人」の一覧とは限りません。

齊藤 慧
「一覧図の写しを取れば、相続の手続はほぼ終わる」と思い込んでいる人は、少なくないでしょう。実際は、戸籍の束を何度も出さなくて済む、という便利さの制度です。遺産をどう分けたかは別の書類で示します。最初に、この役割の違いを押さえておくと、手続の順番が見えてきます。

4. 相続関係説明図との違い:認証文が付くのは法定相続情報一覧図の写し

似た名前の書類に、「相続関係説明図」があります。これは、相続登記の申請などで、被相続人と相続人の関係を説明するために作る図です。法務局の案内では、相続登記の申請で、戸籍謄本等とあわせて出すと、登記が終わったあとに、戸籍謄本等の原本の返却(原本還付)を請求できるとされています。

一方、法定相続情報一覧図の写しには、登記官の認証文が付きます。登記官が、戸除籍謄本等と照らして、一覧図が法定相続人の関係と合っていると確認したものだからです。申出のときに、戸除籍謄本等とあわせて審査を受ける点が、大きな違いです。

どちらを使うかは、手続先の取扱いと、その後に必要な手続の数で決まります。相続登記だけを1か所で済ませるなら、相続関係説明図で足りる場合もあります。複数の金融機関や法務局で何度も手続する予定なら、一覧図の写しの便利さが生きます。

5. 申出できる人と代理人:相続人、または委任を受けた代理人

制度を利用できる人(申出人)は、被相続人の相続人、またはその相続人です。相続人の範囲は、民法で決まっています。

申出は、申出人からの委任で、代理人に頼むこともできます。委任による代理人には、親族のほか、弁護士、司法書士、土地家屋調査士、税理士、社会保険労務士、弁理士、海事代理士、行政書士に依頼できます。

被相続人や相続人が日本国籍を持たないなど、戸除籍謄抄本を提出できない場合は、この制度を利用できません。この場合の手続は、法務局や専門家に相談します。

6. 申出先は4か所から選べる:窓口でも郵送でもよい

申出をする登記所は、次の4つの地を管轄する登記所のうち、いずれかを選べます。被相続人の本籍地(死亡時の本籍)、被相続人の最後の住所地、申出人の住所地、被相続人名義の不動産の所在地です。

申出と、一覧図の写しの交付(戸除籍謄抄本の返却を含む)は、登記所の窓口のほか、郵送でも行えます。申出人の住所地の法務局を選べば、遠方の本籍地に行かなくても、手続を進められます。

6.1 【法定相続情報一覧図の申出先(選べる4つの管轄)】

前提条件:法務局の案内(2026年10月6日確認)。いずれか1つの管轄の登記所に申出できる1/2

前提条件:法務局の案内(2026年10月6日確認)。いずれか1つの管轄の登記所に申出できる

出所:法務局「法定相続情報証明制度の具体的な手続について」などを基にLIMO編集部作成

本籍地・最後の住所地

  • 被相続人の本籍地:死亡時の本籍を指す
  • 被相続人の最後の住所地:住民票の除票で確認できる住所

申出人の住所地・不動産の所在地

  • 申出人の住所地:遠方の本籍地へ行かなくてよい
  • 被相続人名義の不動産の所在地:不動産の所在地を管轄する登記所

7. 手続は3ステップ:書類の収集、一覧図の作成、申出

手続は、3つのステップで進みます。STEP1は必要書類の収集、STEP2は法定相続情報一覧図の作成、STEP3は申出書の記入と、登記所への申出です。

STEP1で集める主な書類は、被相続人の出生から亡くなるまでの連続した戸除籍謄本、被相続人の住民票の除票、相続人全員の現在の戸籍謄本または抄本です。相続人の戸籍は、被相続人が亡くなった日より後の証明日のものが必要です。申出人の氏名・住所を確認できる公的書類(運転免許証の表裏両面のコピー、マイナンバーカードの表面のコピー、住民票記載事項証明書など)も、あわせて出します。

必要書類の細かい一覧は、法務局のページに掲載された「必ず用意する書類/必要となる場合がある書類」で確認できます。相続関係が複雑な場合は、追加の書類が必要になることがあります。

STEP2では、法務局が公開している様式(Excelなど)と記載例を使って、一覧図を作ります。配偶者と子、子のみ、配偶者と親、配偶者と兄弟姉妹、代襲相続、旧民法下の相続など、相続人の組み合わせごとに様式があります。

STEP3では、「法定相続情報一覧図の保管及び交付の申出書」に必要事項を書き、STEP1の書類とSTEP2の一覧図とあわせて、登記所に出します。郵送で出す場合は、返信用の封筒と、郵便切手を同封します。

7.1 【法定相続情報一覧図の申出の3ステップと主な書類】

前提条件:法務局の案内(2026年10月6日確認)。必要書類の細目は法務局の「必ず用意する書類」で確認2/2

前提条件:法務局の案内(2026年10月6日確認)。必要書類の細目は法務局の「必ず用意する書類」で確認

出所:法務局「法定相続情報証明制度の具体的な手続について」などを基にLIMO編集部作成

  • STEP1:やることは必要書類の収集/主な書類は被相続人の出生から死亡までの連続した戸除籍謄本等、住民票の除票、相続人全員の現在の戸籍謄本または抄本、申出人の公的書類
  • STEP2:やることは一覧図の作成/ポイントは法務局の様式と記載例を使うことです。相続人の組み合わせごとに様式があります
  • STEP3:やることは申出書の記入・申出/ポイントは窓口または郵送で出すことです。郵送の場合は返信用の封筒と切手を同封します

8. 戸籍の収集は広域交付が使える:ただし兄弟姉妹は請求できる範囲に入らない

STEP1で時間がかかるのが、戸籍の収集です。被相続人が、結婚や転居で本籍を移していると、複数の市区町村に請求する必要があります。令和6年3月1日から、本籍地以外の市区町村の窓口でも、戸籍証明書や除籍証明書を請求できる「広域交付」が始まりました。

請求できるのは、本人、配偶者、父母や祖父母など(直系尊属)、子や孫など(直系卑属)の戸籍証明書等です。兄弟姉妹は、この範囲に含まれていません。相続人が兄弟姉妹の場合は、本籍地ごとに請求する必要が出てくる点に注意します。

請求は、請求できる人が、市区町村の戸籍担当窓口に来て行います。郵送や代理人による請求はできません。顔写真付きの身分証明書(運転免許証、マイナンバーカード、パスポートなど)の提示も必要です。コンピュータ化されていない一部の戸籍・除籍は、広域交付の対象外で、一部事項証明書と個人事項証明書も請求できません。

コンビニでの戸籍謄本の取得には、本籍地の条件があります。詳しくは、マイナンバーカードで戸籍謄本もコンビニで取れる?確定申告・医療費控除との違いと、本籍地が条件になる見落としやすい落とし穴まで詳しく解説して整理 コンビニ交付と確定申告連携はまったく別々の制度。本籍地の対応状況や暗証番号など、見落としやすい条件をあわせて解説で整理しています。

9. 一覧図に載る人・載らない人:書き方の注意点

一覧図の続柄は、戸籍に記載される続柄で書くのが基本です。申出人の選択で、続柄を「子」と記載することもできます。ただし、「子」と記載すると、相続税の申告など、利用できない手続があります。続柄の書き方は、使う予定の手続を確認してから決めます。

相続人の住所を一覧図に書くかどうかは、相続人の任意です。書いておくと、相続登記の申請などで、各相続人の住所を証する書面(住民票の写し)の提供が不要になることがあります。ただし、写しの交付を受けたあとは、住所が変わったことによる再申出はできません。

住所を書くかどうかは、提出先に確認して決めます。住所が近く変わる見込みの人がいるかどうかも、判断の材料になります。

相続放棄をした人や、遺産分割協議で相続分がない人も、一覧図には記載されます。推定相続人から廃除された人は、記載されません。一覧図は、実際に財産を取得する人ではなく、戸籍から分かる法定相続人を一覧にするものだからです。

9.1 【一覧図の書き方・記載の扱い】

相続人の記載

  • 相続放棄をした人:記載される/戸除籍謄本等の記載に基づく法定相続人のため
  • 遺産分割協議で相続分がない人:記載される/協議の結果は一覧図に反映されない
  • 推定相続人から廃除された人:記載されない/相続権がはく奪されているため

続柄・住所

  • 続柄を「子」と記載:選択できます/相続税の申告等で使えない手続があります
  • 相続人の住所の記載:任意/交付後は住所変更による再申出ができない

10. 【編集者の視点】

一覧図は、1度交付を受けると、直せない部分があります。交付後は、住所が変わっても再申出はできません。続柄や住所の書き方は、使う予定の手続(相続登記、預金の払戻し、相続税の申告)を、先に洗い出してから決めると、やり直しを避けられます。

提出先ごとに、必要書類が違う点も見落とせません。同じ一覧図の写しでも、銀行によっては、遺産分割協議書などの追加書類や、印鑑証明書を求めることがあります。通数は無料で必要な数をもらえるため、手続先の数を数えてから、申出書に希望の通数を書きます。

申出人は、相続人の1人が代表して行います。ほかの相続人にも、一覧図の写しが必要な場面があれば、申出人に頼む形になります。この点は、次の章で説明する再交付の決まりと関わるため、最初の申出のときに、必要な通数を多めに見積もっておきます。

11. 申出のあとの落とし穴:不備、返戻、廃棄、そして公的書類の扱い

申出書や一覧図に不備があると、登記官が、直すよう求めます。それでも、必要な書類や、正しい一覧図が提出されない場合は、預かった書類一切が、申出人に返戻されます。郵送で出していた場合、返送の郵送料は、申出人の負担です。

返戻に応じないまま放置すると、申出日から3か月が過ぎた時点で、預かっていた書類一切が廃棄されます。戸籍の束を集め直すのは、大きな負担です。不備の連絡が届いたら、早めに対応します。

申出人の氏名・住所を確認するために出した公的書類は、戸除籍謄本と違って、返却されません。運転免許証の表裏両面のコピーや、マイナンバーカードの表面のコピーなどです。住民票記載事項証明書の原本を、ほかの手続に使うために手元に残したいときは、原本とコピー(原本と相違がない旨を書き、申出人が記名したもの)を、あわせて出します。

窓口で写しを受け取る場合は、申出人の表示欄に書いた住所・氏名と、同じものが書かれた公的書類(運転免許証、マイナンバーカード、住民票記載事項証明書など)を持参します。

12. 写しの再交付は5年間:再交付を受けられるのは申出人だけ

一覧図の写しが、あとから追加で必要になった場合は、再交付を受けられます。再交付を受けられるのは、最初の申出で、申出書に「申出人」として氏名を書いた人です。申出人にならなかった、ほかの相続人は、再交付を受けられません。

一覧図は、申出日の翌年から数えて5年間、登記所で保存されます。この間であれば、再交付の申出ができます。申出先は、最初に申出をした登記所(一覧図が保管されている登記所)です。再交付の申出には、再交付申出書と、必要な書類を用意します。

相続人が複数いて、それぞれが別の手続を進めたい場合は、誰が申出人になるかを、先に決めておきます。申出人にならなかった人は、再交付の手続が自分ではできないためです。

齊藤 慧
返戻や廃棄の話を読むと、戸籍の束を集め直す大変さが頭をよぎる人も多いと思います。仕事や家事の合間に、市区町村の窓口へ何度も足を運ぶのは、思っている以上に体力を使います。申出の前に、書類がそろっているかを一度立ち止まって見直すだけで、その負担は大きく減らせます。

13. 令和6年4月から使える法定相続情報番号:相続登記で写しの添付を省略

一覧図の写しの右肩には、「法定相続情報番号」が記載されます。令和6年4月1日以降、不動産登記の申請書の添付情報欄に「登記原因証明情報(法定相続情報番号(○○○○−○○−○○○○○))」と書くことで、一覧図の写しの添付を省略できるようになりました。

1つの申請で、2つ以上の番号を使う場合は、併記します。一覧図に相続人の住所が書かれている場合は、この番号を提供することで、相続登記に必要な「住所を証する書面」の添付も、省略できます。

この番号が使えるのは、不動産登記の申請等の手続だけです。法務局以外の機関の手続や、不動産登記の申請等以外の手続では、使えません。金融機関の預金の払戻しなどでは、従来どおり、一覧図の写し(証明書の原本)を出す必要があります。

注意点もあります。保管の申出から5年以上たっている場合は、番号を使えないことがあります。5年以上たっていても、すでに交付された紙の証明書の原本があれば、添付書類として使えます。

省略できるのは、一覧図に書かれている情報に限られます。法定相続人にさらに相続が発生している場合、相続人の住所が変わった場合、遺産分割や相続放棄を伴う場合などは、別に、それらを証明する書類が必要になることがあります。個別の手続は、管轄の法務局に確認します。

齊藤 慧
親が亡くなった直後は、気持ちの整理もつかないまま、役所や銀行を回ることになります。そのうえ、戸籍の束を何度も出し直す作業は、心身に重くのしかかります。一覧図の写しは、その負担を軽くしてくれる制度です。使い方の注意点を知っておけば、あとで慌てずに済みます。

※本記事は、編集部が法務局・法務省が公表する公式の最新一次資料を直接確認の上、執筆・検証しています。

14. 【編集者の視点】

期限があるのは、相続登記です。相続を知った日から3年以内という期限は、戸籍の収集に時間がかかっても、止まってくれません。戸籍の収集は、相続開始後すぐに始めます。

収集に時間がかかるときは、法務局や司法書士に相談します。相続人が極めて多く、戸籍の収集に時間がかかる場合などは、「正当な理由」にあたる場合もあるとされています。ただし、個別に判断されるため、自己判断で期限を過ぎないようにします。

最後に、一覧図の写しは、書類を1枚減らすための道具です。相続人の確定、遺産分割、各手続の期限という、本来の手続の順番は変わりません。一覧図を取る前に、誰が相続人か、どの手続を、いつまでにするかを、一度紙に書き出しておきます。

被相続人の預金を、遺産分割の前に払い戻す制度は、【相続】死亡届を出しても銀行口座は凍結されない。遺産分割前にいくらまで払い戻せる?2019年7月からの制度で上限は「150万円」で整理されています。

15. まとめ

  • 法定相続情報一覧図は、登記官が相続関係を確認し、認証文を付けた写しを無料で交付する制度で、戸除籍謄本等の束を何度も出さずに済みます。
  • 申出人は相続人(またはその相続人)で、委任を受けた代理人にも頼めます。申出先は、被相続人の本籍地、最後の住所地、申出人の住所地、不動産の所在地の4つから選べ、窓口でも郵送でもできます。
  • 一覧図に載るのは戸籍から分かる法定相続人で、相続放棄や遺産分割で相続人とならない人も載り、廃除された人は載りません。遺産分割の結果は、別の書類が要ります。
  • 不備を直さないと書類一切が返戻され、返戻に応じないと申出日から3か月で廃棄されます。交付後は住所変更による再申出ができず、再交付は申出人だけで、保管は5年です。
  • 令和6年4月1日から、相続登記では法定相続情報番号の記載で写しの添付を省略できます。不動産登記以外では使えません。

この制度は、書類の提出を1回にまとめる道具です。相続人の確定や遺産分割、各手続の期限という流れは、変わりません。一覧図に載る人の決まりと、交付後に変えられない点を知っておけば、申出のやり直しを避けられます。

これから申出をする方は、使う予定の手続と、提出先で必要な書類を、先に確認します。相続登記の期限がある方は、戸籍の収集から始めてください。迷う点は、管轄の法務局、司法書士、税理士などに相談してください。

16. よくある質問

16.1 Q. 法定相続情報一覧図とは何ですか?

A. 相続関係を一覧に表した図に、登記官が認証文を付けた写しです。法務局に、戸除籍謄本等の束と一覧図を出すと、一覧図の内容が民法の相続関係と合っているか確認され、写しが無料で交付されます。戸除籍謄本等の代わりとして、各種の相続手続に出せます。

16.2 Q. 費用はかかりますか?

A. 一覧図の写しの交付は無料で、必要な通数が交付されます。ただし、戸籍謄本などを市区町村で取得する費用や、郵送で出す場合の返信用の切手代は、別にかかります。

16.3 Q. 誰が申出できますか?

A. 被相続人の相続人(またはその相続人)です。申出人からの委任で、親族のほか、弁護士、司法書士、土地家屋調査士、税理士、社会保険労務士、弁理士、海事代理士、行政書士に依頼することもできます。

16.4 Q. どこの法務局に申出すればよいですか?

A. 被相続人の本籍地、最後の住所地、申出人の住所地、被相続人名義の不動産の所在地のいずれかを管轄する登記所です。窓口のほか、郵送でも申出できます。

16.5 Q. 相続放棄をした人は、一覧図に載りますか?

A. 載ります。一覧図は、戸除籍謄本等の記載に基づく法定相続人を明らかにするものだからです。遺産分割協議で相続分がない人も載ります。推定相続人から廃除された人は載りません。

16.6 Q. 一覧図の写しがあれば、相続手続は終わりますか?

A. 終わりません。写しは、戸除籍謄本等の代わりになるものです。遺産分割協議を行った場合などは、遺産分割協議書などの関係書類も必要になることがあります。提出先に、必要な書類を事前に確認します。

16.7 Q. 写しは再交付してもらえますか?

A. 再交付を受けられるのは、最初の申出で申出人として氏名を書いた人だけです。一覧図は、申出日の翌年から数えて5年間保存され、その間は、最初に申出をした登記所で再交付を受けられます。

16.8 Q. 法定相続情報番号とは何ですか?

A. 一覧図の写しの右肩に記載される番号です。令和6年4月1日以降、不動産登記の申請書の添付情報欄に番号を書けば、一覧図の写しの添付を省略できます。使えるのは不動産登記の申請等の手続だけです。

参考資料

齊藤 慧