4. 国民健康保険の区分が8月に変わると窓口の支払いも変わる

区分は毎年見直されるため、同じ70〜74歳でも年によって上限が変わることがあります。筆者の窓口での経験から、切り替えの時期に起きやすいことを紹介します。

4.1 前年に一時的な所得があった場合

筆者が元公務員として国民健康保険を担当していた頃、シニアの相談で多かったのが「急に窓口負担が増えた」という声でした。変わるのは8月1日という、少し中途半端な時期です。

理由をたどると、本人も忘れていた前年の所得の増加であることが少なくありませんでした。不動産を売った年のように、収入が増えたのはその1年だけというケースもありました。

住民税非課税世帯の区分も、同じように前年の所得で決まります。前年に一時的な所得があって住民税が課税になれば、その年の8月から1年間は区分Ⅱ・区分Ⅰの上限は使えません。

4.2 家族の所得も判定に入る

区分Ⅱ・区分Ⅰは、本人だけでなく世帯主と国民健康保険の加入者全員の住民税で判定されます。同じ世帯の家族が働き始めて住民税が課税になると、本人の所得が変わらなくても区分が変わることがあります。

8月の前後に家族の働き方や収入が変わったときは、区分がどうなるかを早めに窓口で聞いておくと落ち着いて準備できます。

5. 【マイナ保険証】窓口での支払いを限度額までにする方法

高額療養費は、窓口で限度額を超える分を払わずに済ませる方法もあります。ここではマイナ保険証との関係と、申請が必要になる場合を確認しておきましょう。

5.1 マイナ保険証なら事前の申請は原則いらない

マイナ保険証で受診すると、医療機関の窓口で自己負担限度額が適用されます。住民税非課税世帯向けの限度額適用・標準負担額減額認定証を、前もって申請する必要は原則ありません。

たとえば目黒区では、マイナ保険証を使えば事前の申請なしで限度額が適用されると案内しています。

5.2 申請が必要になる場合

一方で、次のような場合は市区町村への申請や認定証の交付が必要になります。

  • 住民税非課税世帯で、過去12か月に90日を超える入院があり、食事代をさらに減額してもらうとき
  • オンライン資格確認を導入していない医療機関にかかるとき

たとえば杉並区では、非課税世帯で90日を超えて入院したとき、入院91日目以降は申請日から食事代が減額になると案内しています。

5.3 年間上限の分はあとから払い戻し

外来の年間上限9万6000円は、毎月の窓口で自動的に止まるものではありません。1年間の合計が上限を超えたときに、超えた分があとから払い戻されます。

払い戻しの手続きは市区町村ごとに異なり、支給の対象になる人に申請書を送る市区町村もあります。

6. まとめにかえて

国民健康保険に加入している70〜74歳で住民税非課税世帯の人は、窓口負担が原則2割です。2026年8月診療分から、区分Ⅱの外来の上限は1万1000円になり、外来の年間上限9万6000円ができました。

区分Ⅰ・Ⅱは前年の所得で毎年8月1日に切り替わり、世帯主や家族の住民税も判定に入ります。上限が上がった分の負担は年間上限で抑えられる一方、払い戻しの手続きや時期は市区町村によって違います。

まずは自分の区分を知ることが出発点です。お住まいの市区町村の国民健康保険の窓口で、今の区分と年間上限の手続きを確かめておくと安心でしょう。

参考資料

太田 彩子