3. 老齢年金生活者支援給付金と補足的給付金の境目を表で整理

2つの給付金の所得の境目と、給付額の考え方は、次の表のとおりです。

老齢年金生活者支援給付金と補足的給付金の所得の境目1/2

老齢年金生活者支援給付金と補足的給付金の所得の境目

出所:日本年金機構「老齢(補足的老齢)年金生活者支援給付金の概要」、日本年金機構「年金生活者支援給付金請求手続きのご案内(令和8年10月版)」をもとにLIMO編集部作成

昭和31年4月2日以後生まれの人は、所得合計が82万6500円以下なら老齢年金生活者支援給付金、82万6500円超92万6500円以下なら補足的給付金の対象です。

92万6500円を超えると、給付金は支給されません。

老齢年金生活者支援給付金は納付済期間分と免除期間分の合計、補足的給付金は納付済期間分のみに調整支給率を掛けて計算します。

4. 所得別の月額を試算|満額納付と免除期間ありで比べる

所得が基準を超えたときに月額がどう変わるのか、2つのモデルケースで試算しました。

4.1 納付済480月(免除期間なし)の場合

昭和31年4月2日以後生まれで、納付済480月の人の例です。

所得合計が82万6500円以下なら月5620円で、基準をわずかに超えた場合も、調整支給率が1に近いため約5620円です。

所得合計が83万6500円なら調整支給率は0.9で5058円、85万6500円なら0.7で3934円です。

87万6500円なら0.5で2810円、90万6500円なら0.2で1124円まで下がります。

90万6500円の場合の年額は1万3488円で、月5620円を1年間受け取った場合の6万7440円と比べると、大きく下がることが分かります。

4.2 納付済240月+全額免除60月の場合

同じ条件で、納付済240月と全額免除60月の人の例です。

所得合計が82万6500円以下なら、納付済期間分と免除期間分を合わせて月4281円です。

ところが、基準をわずかに超えると、免除期間分がなくなり、納付済期間分だけの約2810円になります。

そこから所得が増えると、83万6500円で2529円、85万6500円で1967円、87万6500円で1405円、90万6500円で562円と下がっていきます。

5. 免除期間がある人は、基準を超えたときの下がり幅が大きい

2つのケースを比べると、免除期間の有無によって、基準を超えた直後の変化が大きく異なります。

納付済480月の人は、基準をわずかに超えても月額がほとんど変わりません。

一方、納付済240月と全額免除60月の人は、基準をわずかに超えただけで、月4281円から約2810円へ、1471円下がります。

年額にすると、1万7652円の差です。

老齢年金生活者支援給付金では免除期間分が加わりますが、補足的給付金の計算式には免除期間分が含まれないためです。

なお、この試算は、仕組みを理解するための仮の数字です。

和田直子
この給付金は、基準をわずかに超えた人にも補足的給付金があるため、境目で急にゼロになる仕組みではありません。

一方で、免除期間がある人は、補足的給付金の計算に免除期間分が入らないため、基準を超えたときの月額の下がり方が大きくなる場合があります。

前年の所得は、年金のほかに、パート収入や利子などでも変わります。自分の所得合計が基準のどのあたりにあるのかは、通知書や年金事務所の窓口で確認しておくと安心です。

6. 所得が変わると金額も変わる|毎年の継続認定と通知書

老齢年金生活者支援給付金と補足的給付金は、請求後の2年目以降は原則として手続きが不要ですが、毎年、継続して要件を満たしているかが確認されます。

日本年金機構によると、市町村から提供される前年の所得情報にもとづいて、継続認定が行われます。

判定結果は、毎年10月分(12月支払)から1年間反映され、令和7年は、金額が変わる人が12月支払い分から変更後の金額を受け取りました。

金額が変わる人には「支給金額変更通知書」、支給対象外になる人には「不該当通知書」が送られます。

令和7年は、どちらの通知書も12月5日に送付されましたが、令和8年の送付時期は不明です。

所得の合計が増えたり減ったりすると、老齢年金生活者支援給付金から補足的給付金へ、あるいは補足的給付金から老齢年金生活者支援給付金へと、区分が変わることもあります。

通知書が届いたら、金額が変わった理由を確認し、不明な点は年金事務所に問い合わせましょう。

7. まとめ

老齢年金生活者支援給付金は、令和8年10月分から、前年の所得合計が82万6500円以下(昭和31年4月2日以後生まれ)の人が対象です。

所得合計が82万6500円を超えても、92万6500円以下であれば、補足的老齢年金生活者支援給付金の対象になります。

補足的給付金は、納付済期間分に調整支給率を掛けて計算し、所得が増えるほど金額が下がります。

免除期間がある人は、基準を超えると免除期間分がなくなるため、納付済240月と全額免除60月の例では、月額が4281円から約2810円に下がります。

所得は毎年見直されるため、届いた通知書で金額と区分を確認し、不明な点は日本年金機構などの窓口に確認してください。

【免責事項】

  • 本記事は、2026年10月8日時点の日本年金機構・厚生労働省の公表情報にもとづいています。基準額や給付額は、今後改定される場合があります。
  • 所得別の月額は、昭和31年4月2日以後生まれの人について、令和8年10月以降の基準額・単価で計算した試算です。実際の給付額は、個人の納付済期間・免除期間・所得などによって異なります。
  • 通知書の送付時期は、令和7年の実績を示したものであり、令和8年の送付時期を示すものではありません。
  • 支給要件や給付額の判定など、法令や制度にかかわる事項は、日本年金機構(年金事務所)や市区町村の窓口でご確認ください。
  • 本記事は、特定の手続きや行動を推奨することを目的としたものではありません。

参考資料

和田 直子