5. 相続した財産から生まれる家賃は、受け取った年の所得として住民税非課税の判定に入る
相続した財産そのものは所得になりませんが、その財産から毎年生まれる収入は扱いが違います。相続したあとの持ち方によって、翌年度以降の住民税非課税の判定が変わることがあります。
5.1 賃貸アパートや貸している土地を相続すると、家賃や地代は不動産所得になる
貸している不動産を相続すると、その後に受け取る家賃や地代は相続人の不動産所得になります。必要経費を差し引いた金額が合計所得金額に入るため、家賃の額によっては、それまで住民税非課税だった世帯が翌年度から課税になることもあります。
親が貸していた駐車場や土地をそのまま引き継ぐ場合、相続したあとに受け取る地代は、引き継いだ人の所得になります。
5.2 預貯金の利子は源泉分離課税で、確定申告をすることはできない
相続した預貯金を定期預金に預け替えた場合、利子にも税金がかかります。国税庁によると、預貯金の利子は受け取るときに所得税等15.315%と地方税5%が源泉徴収され、それで納税が終わる源泉分離課税で、確定申告をすることはできません。
利子は受け取った時点で課税が完結するため、預貯金の利子が住民税非課税の判定に使う所得に加わることはありません。財産を受け取ったことと、そこから毎年どんな種類の収入が生まれるかを、分けて整理しておくと安心です。
6. 夫を亡くした妻は「寡婦」として合計所得金額135万円以下なら住民税非課税
配偶者を亡くしたあとは、世帯の人数が変わります。夫婦2人で判定していた世帯が1人になると、札幌市の目安では扶養親族がいない場合の45万円以下で判定することになります。
6.1 夫と死別した後に婚姻していない女性は、扶養親族がいなくても寡婦にあたる
一方で、夫を亡くした妻は「寡婦」にあたる場合があります。国税庁によると、寡婦は原則としてその年の12月31日の現況で、ひとり親に該当せず、夫と死別した後婚姻をしていない人などで、合計所得金額が500万円以下の人です。夫と死別した場合は、扶養親族の要件はありません。
札幌市の案内では、寡婦で前年の合計所得金額が135万円以下の人は、個人市民税の均等割も所得割もかかりません。扶養親族のいない単身の目安の45万円より、判定の上限が高くなります。
6.2 事実婚の相手がいると寡婦にはあたらない
国税庁は、納税者と事実上婚姻関係と同様の事情にあると認められる一定の人がいる場合は、寡婦控除の対象にならないとしています。再婚していなくても、事実婚の相手と暮らしている場合は寡婦にあたらない点に注意が必要です。
配偶者を亡くした翌年は手続きが多く、税金の申告まで気が回らないこともあるでしょう。翌年の確定申告書や住民税の申告書では、寡婦などの控除の欄を一つずつ確かめておくと安心です。
7. まとめ
相続や遺贈で受け取った預貯金や不動産は所得税法で非課税所得とされ、住民税非課税世帯の判定に使う合計所得金額に入りません。死亡保険金は、受取人が自分で保険料を負担していた場合に一時所得として所得に入ります。
相続したあとに受け取る家賃や地代は不動産所得として翌年度の判定に入ります。夫を亡くした妻は寡婦にあたれば合計所得金額135万円以下で住民税非課税になるため、翌年の申告で控除の欄を確かめておきましょう。
参考資料
- 国税庁「No.2011 課税される所得と非課税所得」
- 国税庁「No.1750 死亡保険金を受け取ったとき」
- 国税庁「No.1310 利息を受け取ったとき(利子所得)」
- 国税庁「No.1170 寡婦控除」
- 札幌市「個人市民税」
- 厚生労働省「令和7(2025)年人口動態統計(確定数)の概況」
和田 直子