3. 【所得税額との関係】年収1000万円超の人が納める税額は全体の59.7%

では、年収1000万円を超える人は、所得税をどれくらい納めているのでしょうか。1年を通じて勤務した給与所得者の給与から源泉徴収された所得税額を、給与の区分ごとに見てみます。

源泉徴収された所得税額は、全体で12兆9141億円でした。このうち、年収1000万円を超える人の分は7兆7110億円で、全体の59.7%にあたります。人数では全体の6.6%ですが、税額では6割近くを占めている形です。

給与の総額で見ると、全体の251兆2570億円のうち、年収1000万円を超える人の分は51兆3202億円で、20.4%でした。

国税庁の資料でも、年収800万円を超える人は650万人で全体の12.6%にとどまる一方、税額は9兆2225億円で全体の71.4%を占めていると説明されています。年収800万円以下の人は、人数では全体の87.4%、税額では28.6%でした。給与の区分によって、人数の割合と税額の割合は大きく分かれています。

4. 【勤め先の規模別】資本金10億円以上の株式会社では17.5%

年収1000万円を超える人の割合は、勤め先の規模によっても違いがあります。国税庁の表では、企業規模を個人の事業所、株式会社の資本金の大きさ、その他の法人に分けています。

給与の区分ごとの割合から、年収1000万円を超える区分をまとめて足すと、個人の事業所では0.9%でした。株式会社では、資本金2000万円未満が3.8%、2000万円以上5000万円未満が3.7%、5000万円以上1億円未満が3.5%、1億円以上10億円未満が6.4%、10億円以上が17.5%です。その他の法人は5.1%でした。株式会社全体では7.3%、全体の合計では6.6%です。

資本金10億円以上の株式会社では、1000万円超1500万円以下の区分が13.6%で、給与の区分のなかでいちばん多くなっています。勤め先の規模ごとの割合には、業種や働く人の年齢の構成など、さまざまな理由が考えられるでしょう。

5. 【5年の推移】年収1000万円超は259万6000人から339万5000人に

「年収1000万円を超える人は、ここ数年で増えているのだろうか」—そう気になる方もいるかもしれません。令和3年分から令和7年分までの5年間を並べてみましょう。

5.1 【年収1000万円超の人数と割合の推移】

年収1000万円を超える人の人数と割合の推移2/2

年収1000万円を超える人の人数と割合の推移

出所:国税庁「令和7年分 民間給与実態統計調査」第16表をもとにLIMO編集部作成

年収1000万円を超える人は、令和3年分の259万6000人(5.1%)から、令和4年分275万1000人(5.4%)、令和5年分279万1000人(5.5%)、令和6年分320万3000人(6.2%)と続き、令和7年分は339万5000人(6.6%)でした。この5年間、人数・割合とも毎年増えています。令和6年分から令和7年分にかけては、19万2000人増えました。

男女別では、男性が令和3年分の234万1000人(7.8%)から令和7年分の299万9000人(10.2%)に、女性が25万5000人(1.2%)から39万8000人(1.8%)になりました。女性は令和4年分の30万6000人から令和5年分の30万人へ、一度減った年もあります。

裏を返せば、平均給与が伸びるなかで、年収1000万円を超える区分に入る人も少しずつ増えてきたといえそうです。ご自身の年収がこの先どう動くかを考えるときにも、こうした全体の動きを知っておくと、見通しを立てる手がかりになるのではないでしょうか。

6. まとめにかえて

年収1000万円を超える人の数字を見て、仕事とお金の面で考えておきたいことを3つ挙げます。

6.1 1つめ:年収1000万円を、全体のなかの位置で見ておく

令和7年分で年収1000万円を超える人は339万5000人、全体の6.6%でした。およそ15人に1人という位置づけを知っておくと、ニュースや身の回りの話を落ち着いて受け止める手がかりになります。自分の年収も、同じ表のどの区分に入るのかを確かめてみるとよいでしょう。

6.2 2つめ:年収の金額だけでなく、手取りで家計の見通しを立てる

今回は年収に視点をあててきましたが、実際には手取りで生活をすることになります。年収を意識するのと同時に、自身の手取り金額も確認しましょう。また、生命保険料や医療費などの控除、iDeCo、ふるさと納税などの利用検討や申請などを行うことで、手取りを増やすことを検討するのも一つです。

6.3 3つめ:年収を上げる方法を、先にいくつか書き出しておく

勤め先の規模によって、年収1000万円を超える人の割合は変わっていました。年収を上げる方法は一つではなく、社内で役割を広げることや、仕事の中身を見直すことなど、人によってさまざまです。どれを選ぶかは一人ひとりが決めることですが、いくつかの道を知っておくと、先の働き方を考えやすくなるでしょう。

7. 編集部よりコメント

宮野 茉莉子
この大台を超える人の数字を読むときの注意点を、3つ紹介します。

1つめは、ここでの人数が、年の初めから年末まで毎月給与を受け取った人だけの数字だということです。年の途中で働き始めた人などは入っていません。

2つめは、税額が、給与から源泉徴収された所得税の金額だということです。住民税や社会保険料は入っていません。

3つめは、区分ごとの割合を足した数字は、四捨五入の関係で表の合計と少しずれることがあるという点です。勤め先の規模別の割合は、表の割合を足して出したものです。

年収の水準は、年代や働き方、勤め先によっても違ってきます。数字を見るときは、自分に近い条件の数字を探してみてください。

大台の数字にとらわれすぎず、暮らしの見通しを立てるときの材料の一つにしてみてください。

参考資料

宮野 茉莉子