5. 生活保護で「自立更生」にあてる額として認められるのは、住まいの回復・治療・就学などの経費

災害の補償金や死亡保険金などは、世帯の自立更生にあてる額であれば収入として認定しないとされています。どこまでを自立更生にあてる額と認めるかは、通知「生活保護法による保護の実施要領の取扱いについて」の第8の問40に基準があります。

5.1 災害で損なわれた住まいや家具の回復、けがや病気の治療にあてる経費

まず挙げられているのは、災害等で住宅や家具什器など生活の基盤となる資産が損なわれたときの回復の経費と、災害等で負傷したり病気にかかったりしたときの治療の経費です。

5.2 それ以外は、福祉事務所と立てる「自立更生計画」の範囲で認められる

それ以外の経費は、福祉事務所が世帯の構成や稼働能力などを考えて立てさせた自立更生計画の遂行に要する経費として、使い道ごとの限度内で認められます。たとえば次のような使い道です。

  • 家屋の補修や上下水道設備の新設など:生活福祉資金の福祉資金の貸付限度額に相当する額
  • 義務教育を受けている子の入学の支度、学習塾費、修学旅行など:社会通念上必要と認められる最小限度の実費額
  • 結婚:寡婦福祉資金の結婚資金の貸付限度額に相当する額
  • 利用の必要性が高く保有が認められる生活用品の購入:すぐに購入にあてる場合に限り、必要最小限度の額

恵与された金銭や補償金等をあてる経費については、保護費を支給したり就労に伴う必要経費として控除したりする必要はないとされています。

6. まとまった臨時収入で生活保護が要らなくなったときは、6か月を目安に「停止」か「廃止」

臨時のお金が大きく、しばらく保護を必要としなくなる場合もあります。同じ通知の問12は、保護の停止と廃止の基準を次のように示しています。

  • 停止:臨時的な収入の増加などで一時的に保護が要らなくなったが、おおむね6か月以内に再び保護を要する状態になると見込まれるとき。停止の期間はあらかじめ定める
  • 廃止:収入の臨時的な増加などで、おおむね6か月を超えて保護を要しない状態が続くと認められるとき

停止や廃止は、保護を要しなくなった日から行うのが原則です。保護を要しなくなった日の属する月が、停止・廃止を決めた月の3か月以前にあたるときは、保護を要しなくなった日から3か月までの間の保護費を法第63条または第78条にもとづいて徴収したうえで、前々月の初日をもって停止・廃止するとされています。

7. 収入の申告は届出の義務、受け取る前に相談しておく

通知の問55は、収入に関する申告は生活保護法第61条で被保護者の届出義務とされていると示しています。申告の時期は、就労が可能と判断される人は収入の有無にかかわらず原則として毎月、就労が難しいと判断される人も少なくとも12か月ごとです。そのほか、保護の決定や実施に必要な場合はその都度申告します。

銀行で相続や保険の手続きに立ち会っていた頃、保険金や解約金は「いつ、いくら入るのか」がご家族にも分かっていないことが少なくありませんでした。入金の見込みが分かった時点で、次の点を整理しておくと申告がスムーズです。

  • 入金の理由(保険金、売却代金、お祝いなど)と、支払い元
  • 入金の予定日と金額、振込先の口座
  • 自立更生にあてたい使い道があれば、その内容と見積もり

使い道を先に決めてから受け取るのではなく、受け取る前に福祉事務所へ相談するのが手続きの順番です。

8. まとめ

被保護者調査(令和8年7月分概数)によると、生活保護を受けている世帯は164万4102世帯で、障害者・傷病者世帯は前年同月より4157世帯増えました。

受給中に入った保険金や不動産を売ったお金などの臨時的収入は、世帯で月8000円を超えた分が収入として認定されます。知人からの少額の謝礼などは月1万5000円を超えた分です。出産や結婚のお祝い、統計調査の謝礼、災害の補償金のうち自立更生にあてる額などは、収入として認定しない扱いがあります。

まとまったお金で保護が要らなくなれば、6か月を目安に停止か廃止が判断されます。お金が入る見込みがあるときは、住んでいる地域の福祉事務所に早めに相談してみてはいかがでしょうか。

参考資料

和田 直子