4. 世帯年収が上がったときに増えやすい外食と自動車の費用は、固定化する前に見直す

二人以上の世帯の2025年平均で、第Ⅰ階級と第Ⅴ階級を比べると、外食は月5619円と2万7269円、自動車の購入や維持にかかる自動車等関係費は月1万3988円と4万4739円でした。補習教育(学習塾など)も月138円と7747円で、年収の高い階級ほど多くなっています。

階級による差には、世帯主の年齢や家族の人数の違いも重なっています。そのうえで、昇給や共働きで世帯年収が上がった時期は、外食や車、習い事のように一度増やすと戻しにくい支出が膨らみやすいところです。

増えた収入のうち、どれだけを毎月の生活費に回し、どれだけを教育資金や住まいの資金、将来に向けた資産づくりに充てるのかを、夫婦で話し合って決めておくと安心です。車の買い替えのように金額の大きい支出は、毎月の生活費とは別に、年間の予定として見積もっておくと家計の見通しが立てやすくなると考えています。

5. 勤労者世帯の黒字は、年収の最も低い階級で月7万2169円、最も高い階級で月35万544円

ここまでの数字は、働いている世帯と無職の世帯を合わせた二人以上の世帯の平均でした。家計調査では、世帯主が会社などに勤めている勤労者世帯についても、年間収入五分位階級別に収入と支出を集計しています。

5.1 勤労者世帯の年間収入五分位階級別の可処分所得と消費支出(2025年平均)

可処分所得は、実収入から税金や社会保険料などの非消費支出を差し引いた、いわゆる手取りにあたる額です。勤労者世帯は二人以上の世帯とは別に5等分しているため、各階級の年収の平均も異なります。

  • 第Ⅰ階級(年収平均400万円):可処分所得31万6544円、消費支出24万4375円
  • 第Ⅱ階級(年収平均602万円):可処分所得41万7517円、消費支出28万9109円
  • 第Ⅲ階級(年収平均749万円):可処分所得49万703円、消費支出32万6824円
  • 第Ⅳ階級(年収平均924万円):可処分所得59万1049円、消費支出37万5492円
  • 第Ⅴ階級(年収平均1389万円):可処分所得84万6230円、消費支出49万5685円

いずれも1年間の平均を1か月当たりにした額で、賞与を受け取った月の収入も含めてならしています。毎月の給与の手取りとそのまま比べると、平均のほうが多く見える点に注意が必要です。

5.2 勤労者世帯の平均消費性向は、第Ⅰ階級の77.2%から第Ⅴ階級の58.6%まで

可処分所得のうち消費支出に回った割合(平均消費性向)は、第Ⅰ階級が77.2%、第Ⅱ階級が69.2%、第Ⅲ階級が66.6%、第Ⅳ階級が63.5%、第Ⅴ階級が58.6%です。可処分所得から消費支出を引いた黒字は、第Ⅰ階級が月7万2169円、第Ⅴ階級が月35万544円で、約4.9倍の開きがあります。

収入の多いご家庭ほど自然にお金が残ると考えられがちです。ただ、数字で見ると、年収の低い世帯でも手取りの2割強は消費支出に回さずに残しています。黒字の割合を毎年同じ水準で保てているかを見るほうが、金額の大小よりも家計の変化に気づきやすいと感じています。

6. 2025年の勤労者世帯は、可処分所得が実質1.7%減、消費支出は実質2.7%増

勤労者世帯の2025年平均は、可処分所得が月53万2408円で前年から名目1.9%増えましたが、物価の変動を除いた実質では1.7%の減少でした。消費支出は月34万6297円で、名目6.5%増、実質2.7%増です。

6.1 手取りの伸びが物価に追いつかない年は、黒字の額を先に決めておく

手取りが名目で増えていても、実質で減っている年は、同じ暮らしを続けるだけで残るお金は少なくなります。2025年の勤労者世帯は、実質で手取りが減る中で生活費が増えた年でした。

こうした年は、残った分を貯めるのではなく、毎月の手取りから先に貯蓄や積立に回す額を決め、残りで暮らす順番にしておくと、黒字が目減りしにくくなります。給与の振込口座とは別の口座に、給料日に自動で移す設定にしておく方法もあります。

7. まとめ

総務省の家計調査によると、2025年平均の二人以上の世帯の生活費(消費支出)は月31万4001円で、年間収入五分位階級別では第Ⅰ階級の21万4152円から第Ⅴ階級の45万6995円まで開きがありました。年収は約4.8倍の差がある一方、生活費の差は約2.1倍で、差の約6割はその他の消費支出、交通・通信、食料です。

2025年の生活費は名目で4.6%、実質で0.9%の増加でした。勤労者世帯では可処分所得が実質で1.7%減っています。年収の近い階級の数字と費目ごとに比べたうえで、手取りから先に残す額を決めておきたいところです。

参考資料

和田 直子