同じ二人以上の世帯でも、世帯の年収によって毎月の生活費の水準は大きく違います。平均の31万円台と比べて多いか少ないかを考えるときは、年収の近い世帯の数字と比べるほうが目安になります。

総務省の家計調査(家計収支編)2025年平均では、二人以上の世帯を年収の低い順に5つのグループに分けた生活費(消費支出)も集計されています。年収が最も高いグループは月45万6995円、最も低いグループは月21万4152円でした。

この記事では、年収別にみた生活費の平均と、差が開く費目、2025年の生活費の名目と実質の動きを確認します。

1. 家計調査2025年平均、年収別の生活費は月21万4152円から月45万6995円まで

家計調査では、二人以上の世帯を年間収入の低い順に並べ、世帯数が同じになるよう5つに分けた「年間収入五分位階級」別の集計があります。まず、それぞれのグループがどのような世帯なのかを確認します。

1.1 年間収入五分位階級は、二人以上の世帯を年収の低い順に5等分したもの

年間収入五分位階級では、年収の低いほうから第Ⅰ階級、第Ⅱ階級と数え、最も高いグループが第Ⅴ階級です。どの階級にも二人以上の世帯の20%ずつが入ります。年間収入は、世帯全員の過去1年間の税込みの収入です。

2025年平均の各階級の年間収入の平均は、第Ⅰ階級が267万円、第Ⅱ階級が412万円、第Ⅲ階級が582万円、第Ⅳ階級が792万円、第Ⅴ階級が1289万円です。二人以上の世帯全体の平均は669万円でした。

1.2 年収別にみた二人以上の世帯の生活費(2025年平均)

家計調査で生活費にあたるのは消費支出です。税金や社会保険料、住宅ローンの返済は含まれません。年間収入五分位階級別の1か月の消費支出は次のとおりです。

年間収入五分位階級別にみた1か月の消費支出(二人以上の世帯・2025年平均)1/2

二人以上の世帯を年収の低い順に5つに分けた年間収入五分位階級別に、2025年平均の1か月の消費支出を比べた横棒グラフ

出所:総務省「家計調査 家計収支編 二人以上の世帯 詳細結果表 2025年」を参考にLIMO編集部作成

【二人以上の世帯・2025年平均の消費支出(1か月)】

  • 平均(年収平均669万円):31万4001円
  • 第Ⅰ階級(年収平均267万円):21万4152円
  • 第Ⅱ階級(年収平均412万円):26万6634円
  • 第Ⅲ階級(年収平均582万円):29万6386円
  • 第Ⅳ階級(年収平均792万円):33万5836円
  • 第Ⅴ階級(年収平均1289万円):45万6995円

第Ⅴ階級の年収は第Ⅰ階級の約4.8倍ですが、生活費は約2.1倍にとどまります。なお、第Ⅰ階級は世帯主の平均年齢が72.8歳、有業人員が平均0.51人で、第Ⅴ階級(52.8歳・1.98人)とは世帯の顔ぶれが大きく違います。

2. 年収別の生活費の差24万2843円は、交際費などのその他の消費支出、交通・通信、食料で約6割

第Ⅴ階級と第Ⅰ階級の生活費の差は、月24万2843円です。家計調査の10大費目ごとに、どこで差が開いているかを見ていきます。

2.1 第Ⅴ階級と第Ⅰ階級で差が大きい生活費の費目

2025年平均の10大費目のうち、第Ⅴ階級と第Ⅰ階級の差が大きいのは次の5つです。

  • その他の消費支出:第Ⅰ階級3万4632円、第Ⅴ階級8万6586円(差5万1954円)
  • 交通・通信:第Ⅰ階級2万4965円、第Ⅴ階級7万983円(差4万6018円)
  • 食料:第Ⅰ階級7万883円、第Ⅴ階級11万4210円(差4万3327円)
  • 教養娯楽:第Ⅰ階級1万7679円、第Ⅴ階級4万9681円(差3万2002円)
  • 教育:第Ⅰ階級1806円、第Ⅴ階級3万404円(差2万8598円)

上位3つの費目の差を合わせると14万1299円で、全体の差の約6割にあたります。その他の消費支出には、交際費やこづかい、仕送り金などが含まれます。仕送り金は第Ⅰ階級が735円、第Ⅴ階級が1万6644円でした。

一方、光熱・水道は第Ⅰ階級が2万2638円、第Ⅴ階級が2万6473円で、差は3835円にとどまります。年収が上がっても、毎月ほぼ決まって出ていく費目は大きくは変わりません。

2.2 食料のうち外食は、第Ⅴ階級が第Ⅰ階級の約4.9倍

食料の中でも差が目立つのが外食です。第Ⅰ階級は月5619円、第Ⅴ階級は月2万7269円で、約4.9倍の開きがあります。

消費支出に占める食料の割合(エンゲル係数)は、第Ⅰ階級が33.1%、第Ⅴ階級が25.0%です。食料の金額は第Ⅴ階級のほうが多いものの、生活費全体に占める割合は年収の低い世帯ほど高くなっています。

3. 2025年の二人以上の世帯の生活費、食料は名目5.5%増でも実質1.2%減

生活費の金額の増減は、物価の動きと合わせて見る必要があります。家計調査では、金額そのものの増減率(名目)と、物価の変動を除いた増減率(実質)の両方が公表されています。

3.1 消費支出全体は名目4.6%増、実質0.9%増

2025年平均の二人以上の世帯の消費支出は月31万4001円で、前年と比べて名目で4.6%増えました。物価の変動を除いた実質では0.9%の増加です。支払った金額は増えていても、物価の上昇分を除くと、増えた分の多くは値上がりによるものだったことになります。

10大費目別にみた消費支出の対前年増減率(二人以上の世帯・2025年平均)2/2

二人以上の世帯の2025年平均の消費支出について、10大費目ごとに前年からの名目の増減率と実質の増減率を並べた横棒グラフ

出所:総務省「家計調査 家計収支編 二人以上の世帯 詳細結果表 2025年」を参考にLIMO編集部作成

3.2 費目別では、食料は実質で減り、教育は実質の伸びが名目を上回った

費目ごとに見ると、食料は名目で5.5%増えた一方、実質では1.2%の減少でした。被服及び履物(名目1.0%増・実質1.6%減)、その他の消費支出(名目0.5%増・実質3.1%減)も、名目は増えて実質は減っています。

反対に、教育は名目2.0%増に対して実質6.8%増で、実質の伸びが名目を上回りました。物価が下がった費目では、同じ金額でも実質では多く使ったことになります。

家計調査の2025年平均では、二人以上の世帯の生活費は年収が最も低い第Ⅰ階級で月21万4152円、最も高い第Ⅴ階級で月45万6995円でした。差の約6割は、その他の消費支出、交通・通信、食料の3つの費目です。

自分の家計と比べるときは、世帯の年収に近い階級の数字を選び、家計簿を10大費目に分けて並べると、どの費目が平均と違うのかを確かめられます。

ここからは、収入が増えたときに膨らみやすい費目と、働く世帯の年収別の手取りと黒字を見ていきます。

和田 直子

年収が上がると生活費も増えますが、増え方は費目によってかなり違います。総額で平均と比べるだけでなく、近い年収の世帯と費目ごとに並べてみると、どこにお金が回っているのかが見えやすくなると思います。