3. J-FLECの金融資産保有額と家計調査の黒字は、測っているものが違う
1ページ目では、J-FLECの世論調査と総務省の家計調査という2つの調査の数字を並べました。比べる前に、それぞれの調査が何を測っているのかを確認しておきます。
3.1 世論調査の金融資産保有額は、ある時点の残高を世帯が答えた値
J-FLECの調査は、2025年6月20日から7月2日にかけて全国5000世帯を対象に行われました。金融資産保有額は、その時点で持っている預貯金や株式、投資信託、保険などの合計を、世帯が回答した値です。
預貯金は運用や将来の備えにあたる分だけで、日々の生活費の出し入れに使う口座の残高は含みません。給与の振込口座にある生活費は、この調査の金融資産保有額には入らないということです。
3.2 家計調査の黒字は、1か月の可処分所得から消費支出を差し引いた流れの値
家計調査の黒字は、家計簿をもとにした1か月の収入と支出の差です。残高ではなく、1か月の間にどれだけお金が残ったかを示します。
また、30歳代の区分は、世論調査が「二人以上世帯」全体、家計調査が「二人以上の世帯のうち勤労者世帯」です。対象の範囲が違うため、2つの数字をそのまま足したり割ったりして比べることはできません。
4. 30歳代の金融資産1096万円の内訳は、預貯金344万円・株式290万円・投資信託143万円
J-FLECの各種分類別データには、金融資産保有額の種類別の内訳も載っています。30歳代・二人以上世帯(金融資産を保有していない世帯を含む)の平均1096万円の内訳を見ます。
4.1 預貯金は344万円で、株式と投資信託を合わせると433万円
預貯金(運用または将来の備え)は344万円で、そのうち定期性預貯金は114万円でした。株式は290万円、投資信託は143万円、生命保険は100万円です。
株式と投資信託を合わせた433万円は、預貯金の344万円を上回りました。ただし、いずれも平均値のため、株式を多く持つ一部の世帯の金額に引き上げられている可能性があります。
4.2 金融資産保有世帯に限ると、30歳代の中央値は500万円
金融資産を保有していない世帯を除き、保有している30歳代・二人以上世帯(集計534世帯)に限ると、平均は1337万円、中央値は500万円でした。
非保有の世帯を含めるかどうかで、中央値は311万円から500万円に変わります。記事やグラフで30歳代の中央値を見かけたときは、どちらの集計かを出所の表題で確かめると、数字を取り違えにくくなります。
5. 住宅ローンを返している30歳代の世帯は、黒字の一部が土地家屋借金の返済にあたる
家計調査の消費支出には、住宅ローンの返済額は入っていません。返済は「実支出以外の支払」として別に記録され、黒字の中から払われる形になります。
5.1 世帯主が30歳代の勤労者世帯の持家率は69.2%、持家のうち住宅ローンを支払っている世帯は51.6%
世帯主が30歳代の勤労者世帯の持家率は69.2%でした。持家の世帯のうち、住宅ローンを支払っている世帯の割合は51.6%です。
土地家屋借金返済は1か月平均5万117円、土地家屋借入金は1万4232円で、差し引いた土地家屋借金純減が3万5885円です。ローンのない世帯も含めた平均なので、返済中の世帯では1か月の返済額がこれより大きくなります。
5.2 黒字は、通帳の残高の増え方とローン残高の減り方の両方で確かめる
住宅ローンを返している家庭では、黒字の一部が預貯金ではなくローンの返済に回ります。預貯金の残高だけを見ると、黒字が平均より少なく見えることがあります。
1年に1回、通帳の残高と、金融機関から届くローンの残高証明書や返済予定表の残高を並べて書き出しておくと、家族で同じ数字を見ながら家計を確かめられます。
6. まとめ
J-FLECの「家計の金融行動に関する世論調査2025年」では、30歳代・二人以上世帯の金融資産保有額は平均1096万円、中央値311万円でした。1000万円以上の世帯が25.8%、金融資産非保有が17.6%と、保有額は大きく分かれています。
家計調査2025年では、世帯主が30歳代の勤労者世帯の黒字は1か月平均24万6476円で、預貯金純増が23万3731円、土地家屋借金純減が3万5885円でした。
金融資産保有額は残高、家計調査の黒字は1か月の流れの数字です。自分の家庭と比べるときは、通帳やローンの残高と毎月の収支を分けて書き出すと、平均との違いを確かめやすくなります。