4. 保有が認められた通勤用自動車のガソリン代や車検費用は、就労収入から必要経費として差し引かれる
通勤用や事業用の自動車の保有が認められた人について、厚生労働省の通知は、通勤や事業に使うことに伴う費用を必要経費として勤労収入や事業収入から差し引いてよいとしています。差し引けるのは必要最小限度の額です。
4.1 必要経費として差し引ける自動車の費用
通知に挙げられている費用は次のとおりです。
- 燃料費
- 修理費
- 車検に要する費用
- 自動車損害賠償保障法にもとづく保険料(自賠責保険料)
- 任意保険料(対人・対物賠償に係る保険料に限る)
- 自動車重量税・自動車税・軽自動車税
- 自動車運転免許の更新費用など
任意保険料は、対人・対物賠償の部分に限られます。車両保険など、そのほかの補償にかかる保険料は含まれません。また、自動車税と軽自動車税は、身体障害者などの場合に減免されることがあるとされています。
4.2 年単位でかかる費用は月ごとに書き出しておく
車にかかるお金のうち、毎月出ていくガソリン代は把握していても、車検や税金、保険料のように年1回や2年に1回まとめて出ていく費用は見落とされがちです。
車検代や自動車税を12か月で割って月あたりの額にしておくと、勤務による収入が維持費をどれだけ上回っているかを説明しやすくなります。領収書や納税通知書は、年ごとにまとめて保管しておくと安心です。
5. 保有が認められていた自動車が使えなくなったときの買い替えは、福祉事務所の事前の承認が原則
保有が認められていた自動車が故障などで使えなくなった場合、厚生労働省の通知は、次のすべてに当てはまり、購入が真にやむを得ないと認められるときは、自動車の更新(買い替え)を認めてよいとしています。
- 保有が認められていた自動車が使用に耐えない状態になった
- 保有が認められていた事情に変わりがなく、買い替えたあとも保有の要件に当てはまる
- 自動車の処分価値が小さく、通勤や通院などに必要な範囲の自動車である
- 買い替えの費用が、扶養義務者などほかからの援助か、保護費のやり繰りで生じた預貯金などで確実にまかなわれる
5.1 買い替えの前に福祉事務所に相談する
買い替えは、保護の実施機関(福祉事務所)の事前の承認を得ることが原則です。保護費のやり繰りでためた預貯金を充てる場合は、そのお金が不正な手段で蓄えられたものではないことなども確認されます。
車の調子が悪くなってから慌てないように、ケースワーカーに買い替えの見通しを早めに伝えておくと、必要な書類や手順を事前に確かめられます。
6. まとめ
被保護者調査(令和8年7月分概数)によると、生活保護を受けている世帯は164万4102世帯、受けている人は196万9655人でした。
生活保護では自動車は資産として処分するのが原則ですが、通勤用は障害者や深夜勤務など4つの場合、通院などは障害者(児)や公共交通機関の利用が著しく困難な地域に住む人の場合に、要件を満たせば保有が認められます。仕事を中断して申請した人は、処分の指導が概ね6か月、場合によっては保護開始から概ね1年の範囲で保留されることがあります。
保有が認められた自動車の燃料費や車検代は必要経費として差し引かれ、買い替えは事前の承認が原則です。車の扱いで迷ったときは、住んでいる地域の福祉事務所で、使い道と維持費を示して相談してみてはいかがでしょうか。
参考資料
和田 直子