1,000万円といえば、年収にしても貯蓄にしても、多くの人がひとつの目標としている数字ではないでしょうか。
では、年収や貯蓄で1,000万円を超えている給与所得者や世帯はどのくらいあるのでしょう。本稿では、それらの公的統計をチェックしつつ、1000万円の稼ぎを目指しても達成できないのはどんなタイプの人なのかも合わせて見ていきます。
年収1000万円を超える給与所得者は全体の5%
2019年9月に国税庁より公開された「平成30年分 民間給与実態統計調査」によれば、1年を通じて勤務した給与所得者は5,026万人。その平均給与は441万円で、年収が1,000万円超の人は全体の5%に相当する約249万人いるとされています。これは、50人中2人強の人が年収1,000万円を達成している計算です。
次に、貯蓄について見てみます(ここでいう貯蓄には、預貯金のほかに有価証券や生命保険などが含まれています)。
総務省が2019年5月に発表した「家計調査報告(貯蓄・負債編)-平成30年(2018年)平均結果-(二人以上の世帯)」によると、2人以上世帯における2018年の1世帯当たり貯蓄現在高の平均値は1,752万円、貯蓄保有世帯の中央値は1,036万円とされています。
なお、貯蓄現在高の階級別分布を見ると、1000万円を超える世帯の割合は約50%です。一方、100万円未満の世帯が11%を占めるなど、格差があることもうかがえます。
一方、負債現在高の平均値は558万円で、負債保有世帯の中央値は1,147万円と報告されています。平均値よりもボリュームゾーンに近いと考えられる中央値で比較すると、貯蓄現在高は1,036万円、負債現在高は1,147万円。これではたとえ貯蓄が1,000万円あっても、必ずしも生活に余裕があるとはいい切れないのが現状のようです。
また、年収1,000万円の人であっても、家庭の状況によっては負債を抱えているケースがあるという点では同じですので、年収1,000万円で経済的な不安がすべて解消される、とは断言できないでしょう。
こんな人は年収1000万円を稼ぐのはムリ?
とはいえ、貯金も年収も多いほうが安心です。では、「年収1,000万円を目指しているけれども到達できない人」にはどんな特徴があるのでしょうか。
1. 身銭を切らない
著名な経営コンサルタントの大前研一氏によると、人間が変わるために必要な条件は、1)時間配分を変える、2)住む場所を変える、3)付き合う人を変える、の3つだそうです。
この3つに共通することは、「身銭を切らなければいけない」ということ。すなわち、身銭を切らない人は、上記の3つを実行に移すことができず、人間的な成長が遅れて年収が上がらないという負のループを繰り返してしまう可能性があります。
具体的な例で考えてみましょう。
ビジネスパーソンにとって、どこに住むかは極めて重要なことです。たとえば、港区のようなブランドエリアに引っ越すと、当然今よりも家賃が高くはなります。しかし、そこに住むハイクラスな生活を送る人々とのつながりができることで、日々新しい発見を得るチャンスが期待できます。
また、港区ほどのブランドエリアは難しいとしても、会社へのアクセスがよい場所に住まいを変えるだけでも、毎日の通勤が快適になり、ひいては仕事により多くの時間やエネルギーをかけられるようにもなるでしょう。
なお、付き合う人を変えるためには新しい人と出会い、より親密になる必要があります。そのためには食事代をはじめとした交際費の支出が大きくなることが予想されます。ただ、このように身銭を切ることで自分が変われるなら、そこは将来への投資と割り切ってもいいのではないでしょうか。