4. 【つみたて投資枠では】MSCI ACWIとS&P500に連動する商品はそれぞれ19本

オルカンやS&P500は、特定の商品の通称として呼ばれることが多い一方で、連動を目指す指数そのものの名前でもあります。金融庁の「つみたて投資枠対象商品届出一覧」(2026年9月30日時点)によると、つみたて投資枠の対象商品は371本で、そのうち指定インデックス投資信託は284本でした。

指定インデックス投資信託のうち、MSCI ACWI Indexに連動する商品は19本、S&P500に連動する商品も19本あります。同じ指数に連動していても、運用会社や信託報酬などは商品ごとに違います。

金融庁によると、投資先を内外・海外とする指定インデックス投資信託の信託報酬率の平均は0.34%でした(2026年9月30日時点)。eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)の信託報酬は年率0.05775%(税抜0.0525%)以内、eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)は年率0.08140%(税抜0.07400%)以内です。

同じ指数に連動する商品を見比べるときは、信託報酬のほかに、純資産総額の大きさや、運用会社がどのような資料を公表しているかも確かめておきたいところです。商品の名前ではなく、どの指数に連動しているかを入口にすると、選べる商品の幅も見えてきます。

5. 【両方を持つと】国の比率と銘柄の重なりを考える

「オルカンとS&P500を両方持てば、分散が効くのでは」—そう考えている方もいるかもしれません。まずは、2つを組み合わせたときに何が重なるのかを確認していきましょう。

S&P500はアメリカの株式に投資するファンドで、オルカンも組入の6割あまりがアメリカです。両方を同じ金額ずつ持つと、全体に占めるアメリカの株式の割合は、オルカンだけを持つ場合より高くなります。たとえば同じ金額ずつ持ち、S&P500の組入をすべてアメリカとみなして計算すると、アメリカの割合はおよそ8割になります。

銘柄でも重なりがあります。組入上位のNVIDIA、アップル、マイクロソフトは、どちらのファンドでも上位3銘柄でした。両方を持つと、これらの会社の株価の動きの影響を、2つのファンドを通して受けることになります。

一方で、オルカンには日本や新興国の株式も入っています。どちらか一方にするか、組み合わせるかは、すでに持っている資産の中身によっても変わるといえそうです。持っている投資信託の月次レポートを並べて、国や銘柄の割合を一度書き出してみるのもよいのではないでしょうか。

6. まとめにかえて

オルカンとS&P500は、どちらも株式の指数に連動する投資信託ですが、投資先の地域の範囲や組入銘柄数、業種の顔ぶれには違いがあります。年ごとの騰落率を見ても、どちらが大きかったかは年によって入れ替わっていました。

まずは、ご自身が持っている、または検討している投資信託について、連動している指数の名前と、月次レポートの組入上位の国・業種・銘柄を確かめてみてください。証券会社や銀行で受け取る交付目論見書でも、投資の対象やリスク、費用を確かめられます。

そのうえで、これからの選び方にはいくつかの考え方があります。投資先の地域を広くとる考え方、特定の国の株式に絞る考え方、複数の商品を組み合わせる考え方などです。どれが正しいということはなく、投資の目的や期間、値下がりしたときにどこまで受け止められるかによって選び方は変わります。

これから10年、20年と積み立てを続けるなら、年に一度は持っている商品の中身を見直す時間をとっておくと、資産全体の偏りに気づくきっかけになるのではないでしょうか。

投資信託は利益が期待できる一方で、元本割れの可能性があります。さまざまな情報を取り入れ、自身にとって最適な資産形成を検討しましょう。

7. 編集部よりコメント

宮野 茉莉子
インデックスファンドは、指数に連動することを目指す商品なので、中身は指数の構成に沿って決まります。そのため、商品を選ぶことは、どの指数を選ぶかとほぼ同じ意味を持ちます。指数の名前と中身を知っておくことは、商品選びの土台になります。

人気のある商品だから、話題になっているからという理由だけでなく、自分が何に投資しているのかを説明できる状態にしておきたいところです。値下がりした局面でも、中身を知っていれば落ち着いて状況を見られることがあります。

月次レポートや交付目論見書は、運用会社のWebサイトでいつでも見られます。積み立てを始めたあとも、年に一度は資料を開いて、組入の国や業種がどう変わっているかを見直してみるのもよいでしょう。この記事で紹介した組入の数字は2026年8月31日時点のもので、指数の中身は時間とともに入れ替わっていきます。交付目論見書には、投資のリスクや費用もまとめて書かれています。

8. 免責事項

  • 本記事は一般的な情報提供のみを目的としており、特定の投資信託の購入や売却について助言や推奨するものではありません。
  • 本記事上の情報に起因、また関連して生じた損害や損失に関しては一切の責任を負いません。
  • 投資判断は最新の交付目論見書や月次レポートなどをご自身でご確認の上、自己責任で行ってください。
  • 投資信託の基準価額や組入比率、信託報酬などは変動・変更される可能性があるため、必ず運用会社の公式サイトでご確認ください。

参考資料

宮野 茉莉子