生涯未婚率が引き起こしている日本の問題点としては、超少子高齢社会が真っ先に挙げられます。
『日本の年表 人口減少日本でこれから起きること』(講談社現代新書)の著者であるジャーナリスト・河合 雅司氏によると、2035年になれば「男性は3人に1人・女性は5人に1人が生涯結婚しない」という未婚大国が誕生すると警鐘を鳴らしています。
超少子高齢化が進むことによって、2022年には「ひとり暮らしをする貧しい高齢者の激増」、2023年には団塊ジュニア世代が高賃金をもらう50代に突入することで「企業の人件費がピーク化」、2024年には3人に1人が65歳以上となる「超・高齢者国家」になっていくとのこと。
現在あちらこちらからは、人口ボリュームの大きい団塊世代が大病を患いやすい75歳以上になることで、医療費や介護費がかさむと懸念される「2025年問題」が指摘されています。
しかし河合氏によれば、高齢者人口が約4000万人とピークになる「2042年」こそが日本最大のピンチだとしています。
未婚者が増えたことだけが少子高齢化を引き起こしているわけではありませんが、このままではどんどん日本の人口が減り、2065年には現在の住居地域の20%が「誰も住まない土地」になってしまうのだとか。
生涯未婚率が上昇する理由は「年収」に関わる意識が関連
2014年度に行われた「結婚・家族形成に関する意識調査」においては、未婚者の方が既婚者よりも「必要と考える年収額が高い」ことが明らかになりました。
男性は年収300万円未満での未婚率が目立ち、女性に関しては年収600万円以上の30代女性が目立ちます。
「結婚したいと思える相手に出会えない」という理由ももちろんありますが、その背景にはコンプレックスによる自信のなさや、家族を養っていくことへの恐怖心が潜んでいると思えてなりません。
Kさんもそうなのですが、ある程度収入が高い女性からは「結婚しなくても自分の力だけで十分生きていくことができる」という意見も聞こえてきます。
お見合いパーティーの開催などを通して生涯未婚率を改善させようとする働きかけもありますが、それだけでは根本的な問題の解決にはつながらない可能性の方が高いはず。
まずは日本の全体的な経済レベルを引き上げ、社会保障などの充実を図る。
そして、国民が今よりも安心して暮らせる社会であるならば、家庭を持ち子どもを産み育てることにも希望が持てるのではないでしょうか。
生涯未婚率の高さは少子化につながる大きな問題として、今後も日本の最重要トピックとして掲げられることは間違いありません。
【参考】
「平成29年版高齢社会白書(全体版)」内閣府
「人口動態調査」厚生労働省
「結婚・家族形成に関する意識調査」内閣府
『日本の年表 人口減少日本でこれから起きること』(講談社現代新書)
河合 雅司 著
760円(税抜き)
広瀬 あゆみ