3. 奨学金の所得連動返還方式を選ぶには、機関保証への加入が必要
保証制度は、返還方式の選び方ともつながっています。第一種奨学金で所得連動返還方式を選ぶ場合は、機関保証に加入しなければなりません。
3.1 所得連動返還方式は、前年の所得で10月から翌年9月の返還月額が決まる
所得連動返還方式は、平成29年4月以降に第一種奨学金に採用された人が選べる返還方式です。前年の課税対象所得(課税総所得金額)と子どもの数をもとに、毎年10月から翌年9月までの返還月額が決まります。
返還月額は、課税対象所得から子ども1人につき33万円を差し引いた額に9%をかけ、12で割って求めます。算出額が2000円未満なら、返還月額は2000円です。
JASSOは算出例として、子どもがいない場合、年収300万円で月額約8600円、年収450万円で月額約1万5400円を示しています。返還初年度は、定額返還方式で計算した返還月額の半額で返還します。
3.2 人的保証から機関保証には変えられるが、保証料はまとめて払う
人的保証を選んだあとでも、返還方式を所得連動返還方式に変える場合や、連帯保証人・保証人が死亡などで保証できなくなった場合は、機関保証に変更できます。ただし、必要な保証料はまとめて払わなくてはなりません。
反対に、機関保証から人的保証に変えることはできません。
4. 奨学金の返還が滞ったときの請求先は、機関保証と人的保証で違う
どちらの保証制度を選んでも、奨学金を返すのは借りた本人です。違いが出るのは、返還が滞ったあとに、誰に請求が向かうかです。
4.1 機関保証では保証機関が代位弁済し、本人に一括で請求する
機関保証では、本人が期日までに返還できず、一定期間の督促を経ると、保証機関が本人に代わって残りの額を一括でJASSOに返済します(代位弁済)。日本国際教育支援協会の資料によると、JASSOは延滞が12か月目以降になった人に、残りの元金・利息・延滞金を請求します。
代位弁済のあとは、保証機関が本人に、代わりに返済した額を請求します。令和6年度の代位弁済は1.7万件、311.8億円でした。
延滞すると、個人信用情報機関に延滞情報が登録されます。リーフレットは、代位弁済の情報が登録されると、延滞情報のときより厳しい制約を受けることがあるとしています。
4.2 人的保証では連帯保証人、次に保証人に請求が向かう
人的保証では、本人が延滞すると連帯保証人に請求が向かいます。本人も連帯保証人も返還が難しい場合は、保証人に請求されます。
保証人には、連帯保証人には認められていない「分別の利益」があります。保証人が返す額は、本人が返すべき返還未済額の2分の1になります。
4.3 繰上げ返還で返還を終えると、保証料の一部が戻る場合がある
機関保証の保証料は、貸与期間中に払い終えています。繰上げ返還や返還免除で返還が完了したときは、保証料の一部が戻る場合があります。
繰上げ返還を考えるときは、利息だけでなく、保証料が戻るかどうかもJASSOに確かめておくと判断しやすくなります。
5. まとめ
JASSOの奨学金では、申し込むときに機関保証か人的保証かを選びます。令和6年度に新しく奨学生になった人のうち、機関保証を選んだ人は56.1%でした。
機関保証の保証料は、2026年度採用者が第二種奨学金を大学で月5万円借りる場合で月2218円、4年間で10万6464円の目安です。所得連動返還方式を使うなら機関保証が条件になり、あとから人的保証に戻すことはできません。
保証料の負担と、親族に保証人を頼む負担のどちらを取るかを、返還方式とあわせて申し込みの前に決めておきたいところです。
参考資料
- 日本学生支援機構「JASSOの奨学金 機関保証制度」(2026年4月)
- 日本学生支援機構「令和7年度第1回機関保証制度検証委員会 資料3 機関保証事業概要」
- 日本学生支援機構「所得連動返還方式(所得等に応じて月々の返還額が決まる返還方式)」
- 日本学生支援機構「返還月額の算出」
和田 直子