4. 負債を引くと差はどうなるか
持家の貯蓄の多さを考えるときは、同じ統計に載っている負債もあわせて見る必要があります。
4.1 持家の負債は754万円、民営借家は126万円
1世帯当たりの負債は、持家が754万円、民営借家が126万円です。このうち、住宅・土地のための負債は、持家が698万円、民営借家が79万円となっています。持家の負債の9割強が、住宅・土地のための負債です。
なお、持家の754万円は、住宅ローンを返済中の世帯だけでなく、すでに完済した世帯や、もともとローンのない世帯も含めた平均です。
4.2 貯蓄から負債を引くと、差は344万円に縮まる
貯蓄から負債を引いた額を、編集部で計算しました。
- 持家:2179万円−754万円=1425万円
- 民営借家:1207万円−126万円=1081万円
- 差:344万円
貯蓄だけで見た差は972万円でしたが、負債を引くと344万円まで縮まります。ただし、この計算には、持家世帯が持つ住宅・土地そのものの価値は入っていません。住宅ローンを返し終えた持家は、貯蓄とは別に住まいという資産を持っていることになります。
5. この統計から言えること・言えないこと
5.1 言えるのは、平均では持家のほうが貯蓄が多いこと
2025年の二人以上の世帯では、持家の平均貯蓄は民営借家を972万円上回っています。年間収入や世帯人員がほぼ同じでも、この差は出ています。
5.2 言えないのは、持ち家にすれば貯蓄が増えるということ
この統計だけでは、持ち家だから貯蓄が増えた、とは言えません。理由は3つあります。
- 持家と民営借家で、世帯主の年齢が約13歳違う
- 同じ世帯を追った結果ではなく、2025年の平均額を並べたものである
- 持家には、親から受け継いだ家に住む世帯なども含まれる可能性がある
貯蓄が多い世帯が持ち家を選びやすい、という逆向きの関係も考えられます。いずれにしても、この表から原因までは読み取れません。
6. 住まいと貯蓄を考えるときに確認しておきたいこと
住まいを考えるときは、平均値と自分の世帯を重ねて、次の点を確認しておくことをおすすめします。
1つ目は、自分の世帯の貯蓄から負債を引いた額です。住宅ローンやその他の借入がある場合は、貯蓄だけでなく差し引き後の額で見ておくと、実態に近づきます。
2つ目は、住居費を含めた毎月の家計です。持ち家であれば住宅ローンの返済のほか、固定資産税や修繕費、賃貸であれば家賃や更新料など、住まいにかかるお金の種類は違います。どちらを選ぶ場合も、毎月の負担と将来の出費を合わせて把握しておくことが大切です。
7. まとめ
総務省の家計調査(2025年)では、二人以上の世帯の貯蓄は、持家が2179万円、民営借家が1207万円で、972万円の差がありました。年間収入は680万円と679万円でほぼ同じです。
ただし、世帯主の年齢は61.8歳と48.9歳で約13歳違います。差の内訳は、定期性預貯金が358万円と最も大きく、負債を引くと差は344万円に縮まります。
この統計から、住まいの選び方による貯蓄の違いまでは言えません。まずは自分の世帯の貯蓄と負債を並べて確認し、住居費を含めた家計を見直してみましょう。
参考資料
- 総務省統計局「家計調査報告(貯蓄・負債編)2025年(令和7年)平均結果(二人以上の世帯)」
- 政府統計の総合窓口(e-Stat)「家計調査 貯蓄・負債編 二人以上の世帯 表8060 貯蓄・負債(住居の所有関係別)」
和田 直子