4. 配偶者特別控除の額で、控除を受ける本人の所得税はいくら変わるか

配偶者控除や配偶者特別控除は、控除を受ける本人の課税される所得を減らします。所得税がいくら軽くなるかは、控除額に本人の所得税率をかけて目安をつけられます。

4.1 控除額38万円なら、所得税率10%の人で所得税は3万8000円少なくなる

控除額38万円を例に、本人の所得税率ごとに単純計算します。復興特別所得税は含めていません。

  • 所得税率5%:38万円×5%=1万9000円
  • 所得税率10%:38万円×10%=3万8000円
  • 所得税率20%:38万円×20%=7万6000円

本人の課税される所得が税率の区切りをまたぐ場合は、この計算とは一致しません。目安として見てください。

4.2 配偶者の給与収入が169万円を超えると、控除額は段階的に減っていく

本人の所得税率が10%の場合、配偶者特別控除の区分ごとの所得税の軽減額は、次のように単純計算できます。

  • 配偶者の給与収入136万円超169万円以下(控除額38万円):3万8000円
  • 169万円超174万円以下(36万円):3万6000円
  • 174万円超179万円以下(31万円):3万1000円
  • 179万円超184万円以下(26万円):2万6000円
  • 184万円超189万円以下(21万円):2万1000円
  • 189万円超194万円以下(16万円):1万6000円
  • 194万円超199万円以下(11万円):1万1000円
  • 199万円超204万円以下(6万円):6000円
  • 204万円超207万円以下(3万円):3000円

169万円を超えたところで控除額は2万円下がり、174万円超から204万円以下までは区分ごとに5万円ずつ下がります。この範囲では、配偶者の給与収入が5万円増えて次の区分に入るごとに、本人の所得税の軽減額が5000円ずつ小さくなる形です(所得税率10%の場合)。最後の204万円超207万円以下の区分は3万円です。

5. 配偶者控除の136万円と、健康保険の扶養の130万円は別々に見る

「扶養の範囲で働く」という言葉が、税金の話なのか健康保険の話なのかが混ざっている方は少なくないでしょう。令和8年分からは、この2つの線の順番が入れ替わった点に注意が必要です。

5.1 健康保険の被扶養者になれる年間収入は、原則130万円未満

日本年金機構によると、健康保険の被扶養者として認められる年間収入は、原則として130万円未満です(60歳以上または障害者は180万円未満)。同居の場合は、収入が被保険者の収入の半分未満であることも求められます。給与収入だけの人は、扶養認定日が2026年4月1日以降なら、労働契約の内容で年間収入を判定できるようになっています。

所得税の配偶者控除の上限が給与収入136万円になったことで、配偶者の給与収入が130万円以上136万円以下の場合は、所得税では配偶者控除の対象でも、健康保険の扶養の基準は超えることになります。

5.2 健康保険の扶養を外れると、配偶者本人が保険料を負担する

健康保険の被扶養者から外れると、配偶者は勤め先の健康保険に加入するか、国民健康保険に加入して、自分で保険料を負担することになります。所得税の控除の線だけを見て働く時間を決めると、世帯の手取りが思っていたより少なくなることがあります。

配偶者の収入が増えたときに「控除を受ける側の税金」「配偶者本人の税金と社会保険料」「世帯の手取り」の3つを並べて見ると良いです。

6. 12月の年末調整では、配偶者控除等申告書に改正後の額を書く

配偶者控除や配偶者特別控除を年末調整で受けるには、勤め先に「給与所得者の配偶者控除等申告書」を出します。令和8年分は、改正後の基準で書く必要があります。

6.1 配偶者の合計所得金額は、給与所得控除74万円で見積もる

国税庁の「令和8年度税制改正(所得税の基礎控除の引上げ等関係)Q&A」では、配偶者に給与所得がある場合、改正後の給与所得控除額を当てはめて計算した合計所得金額に応じて、配偶者控除・配偶者特別控除の額を正しく書く必要があるとしています。

年末調整は12月に行われるため、配偶者の12月分の給与を含めた1年分の給与収入を見込んで書くことになります。見込みと実際の額がずれた場合は、勤め先に相談しましょう。

6.2 11月30日以前に年末調整を受けた人などは、確定申告で改正後の控除を受ける

改正は2026年12月1日に施行され、11月までの給与の源泉徴収には変更がありません。年の途中で退職して年末調整を受けていない人などは、改正後の控除を受けるには確定申告が必要です。

7. まとめ

令和8年分の所得税では、配偶者控除の対象が配偶者の給与収入136万円以下に、配偶者特別控除の満額38万円の上限が給与収入169万円に引き上げられました。配偶者特別控除は、給与収入207万円以下まで段階的に受けられます。

2026年8月の労働力調査では、パートで働く女性は888万人でした。健康保険の扶養の基準は原則130万円未満のままなので、所得税の線とは別に確かめ、12月の年末調整の前に配偶者控除等申告書に書く額を世帯で確認しておきましょう。

参考資料

和田 直子