4. 【年金の仕組み】加入者は6757万人、公的年金は「2階建て」で支え合う
ここからは、日本年金機構のパンフレット「知っておきたい年金のはなし」をもとに、公的年金の仕組みを確認します。
4.1 国民年金と厚生年金の2階建て
日本の公的年金制度は、20歳以上60歳未満のすべての方が加入する国民年金(基礎年金)と、会社員や公務員などが加入する厚生年金の2階建て構造です。会社員や公務員などの方は、2つの年金制度に加入していることになります。
2024年度末の加入者は6757万人で、第1号被保険者が1368万人、第2号被保険者等が4748万人、第3号被保険者が641万人です。
4.2 現役世代の保険料に、税金や積立金も加わる
公的年金は、その時々の現役世代が納めた保険料で、高齢者や障がいのある方、遺族への年金を支える「世代と世代の支え合い」を基本に運営されています。保険料のほか、国(税金)や積立金も年金の給付にあてられ、基礎年金の2分の1は国の負担です。
年金は老後のためだけのものではありません。病気やけがで障がいが残ったときの障害年金、家族が亡くなったときの遺族年金もあり、老齢・障害・遺族の3つの保障があります。
4.3 公的年金加入者の約99%が保険料を納付、未納者は約72万人
日本年金機構によると、免除や猶予を受けている方も含め、公的年金の加入者全体の約99%が保険料を納めています。保険料が未納となっている方は72万人で、全体の約1%です。
5. 2024年度の所得代替率は61.2%、将来は「50%台」の見通しも
年金財政は、少なくとも5年ごとに、おおむね100年間の見通しを作って検証されています(財政検証)。
5.1 所得代替率は、年金の給付水準を測るものさし
所得代替率は、現役男子の平均手取り収入額(ボーナス込み)に対する年金額の割合で、年金の給付水準を測るものさしです。2024年に公表された財政検証では、2024年度の所得代替率は61.2%でした。
将来の所得代替率は、経済の前提によって異なります。成長型経済移行・継続ケースでは2037年度以降57.6%、過去30年投影ケースでは2057年度以降50.4%が維持される見通しです。
1人当たりゼロ成長ケースでは、2059年度に所得代替率が50.1%に達するとされています。財政検証は、人口や経済の前提をおいた見通しで、将来の年金額を約束するものではない点に注意が必要です。
6. 【FPの視点】積立金の増減に一喜一憂せず、自分の年金記録を確かめる
年金積立金が過去最高になったというニュースは心強いものですが、時価ベースの積立金は運用環境によって大きく変わります。1年ごとの増減に一喜一憂するのではなく、長い目で制度を見ていくことが大切です。
6.1 ねんきん定期便やねんきんネットで記録を確認
ご自身の年金については、これまでの加入記録や将来の見込み額を確かめておくと安心です。毎年届く「ねんきん定期便」や、インターネットで確認できる「ねんきんネット」を活用してみましょう。
6.2 保険料の納付が難しいときは免除・猶予の手続きを
国民年金保険料の納付が難しいときは、免除や猶予の制度を利用できる場合があります。日本年金機構は、保険料が未納のままだと将来の年金を受け取れないだけでなく、税金に見合う給付分も受け取れなくなると説明しています。手続きは、お住まいの市区町村の国民年金担当窓口や年金事務所で相談できます。
7. まとめにかえて
2025年度末の年金積立金は、時価ベースで過去最高の302兆5893億円となり、1年で42兆5136億円増えました。厚生年金の保険料収入は37兆6782億円、国民年金の保険料収入は1兆3756億円です。
公的年金は、現役世代の保険料に税金や積立金を加えて、世代と世代で支え合う仕組みです。老後だけでなく、障がいや家族の死亡といった万が一のときにも暮らしを支えます。
年金の制度や保険料、給付の額は、制度の見直しによって変わることがあります。最新の内容は、厚生労働省や日本年金機構の情報で確認し、まずはご自身の年金記録を確かめるところから始めてみてはいかがでしょうか。
参考資料
村岸 理美