3. 配偶者控除の「136万円」と健康保険の扶養の「130万円」は別の基準

パートで働く配偶者の年収を考えるときは、税の配偶者控除だけでなく、健康保険の扶養(被扶養者)の基準もあわせて見る必要があります。

両者は金額だけでなく、判定の仕方も異なります。順に見ていきましょう。

3.1 健康保険の扶養は「年収130万円未満」。令和8年4月からは労働契約の内容で判定

健康保険の被扶養者になるには、原則として年間収入が130万円未満であることが条件です。60歳以上の人や一定の障害がある人は、180万円未満になります。

同じ世帯で暮らしている場合は、被保険者の年間収入の2分の1未満であることも条件です。

厚生労働省の通知により、令和8年4月1日からは、労働契約で定められた賃金から見込まれる年間収入が130万円未満で、ほかの収入が見込まれない場合、原則として被扶養者に該当するものとして扱われるようになりました。

確認には、労働条件通知書など労働契約の内容が分かる書類と、「給与収入のみである」旨の申し立てが使われます。

当初は想定していなかった臨時の収入で結果的に130万円以上になっても、社会通念上妥当な範囲であれば、扶養の扱いを変える必要はないとされています。

3.2 年収130万円以上136万円以下は、配偶者控除の対象でも健康保険の扶養から外れることがある

税の配偶者控除は給与収入136万円以下、健康保険の扶養は年収130万円未満が目安です。

そのため、配偶者の給与収入が130万円以上136万円以下の場合は、配偶者控除の対象になっていても、健康保険の扶養からは外れることがあります。

また、税は1月から12月までの1年間の収入で判定しますが、健康保険の扶養はこれから見込まれる年間収入で判定する点も異なります。

詳しい判定は、配偶者が扶養に入っている健康保険(勤務先の健康保険組合や協会けんぽ)に確かめておきましょう。

4. 健康保険の扶養を外れたあとの国民健康保険料と、配偶者控除との関係

自治体で国保の保険料の計算を担当していた頃、窓口では「扶養から外れたので国保に入りたい」という手続きの相談を受けてきました。

扶養を外れたあとに入る健康保険と、保険料の考え方を確認します。

4.1 扶養を外れたら、勤務先の健康保険か国民健康保険に入る手続きが必要

健康保険の扶養から外れた配偶者は、自分で健康保険に入る必要があります。

勤務先の健康保険に入れる働き方であれば勤務先の健康保険に、そうでなければお住まいの市区町村の国民健康保険に加入します。

国民健康保険への加入は自動では行われないため、市区町村の窓口での届け出が必要です。国民健康保険料は世帯単位で計算され、世帯主が納めます。

4.2 配偶者控除の有無は、国民健康保険料の所得割の計算には使われない

国民健康保険料の所得割は、前年の所得から住民税の基礎控除額を差し引いた額をもとに計算されます。

配偶者控除や扶養控除、社会保険料控除などは差し引かれないため、配偶者控除を受けられるかどうかで国民健康保険料の所得割が変わることはありません。

保険料の計算根拠を窓口で説明していた頃も、税の控除と保険料の計算の違いは伝わりにくい部分でした。

保険料率や保険料の額は市区町村によって異なります。扶養を外れる見込みがあるときは、早めにお住まいの市区町村の国民健康保険の窓口に相談しておくと安心です。

5. まとめ:配偶者控除の136万円と健康保険の扶養の130万円を分けて確かめる

令和8年分から、配偶者控除の対象になる配偶者の合計所得金額は62万円以下(給与だけなら給与収入136万円以下)に、配偶者特別控除は給与収入207万円以下まで広がりました。改正の内容は、12月の年末調整で反映されます。

一方で、健康保険の扶養は年収130万円未満が基準で、税とは判定の仕方も異なります。扶養を外れると、勤務先の健康保険か国民健康保険に入り、保険料を自分で負担することになります。

税の扱いは勤務先の担当者や税務署、健康保険の扶養は加入している健康保険、国民健康保険のことは市区町村で確かめられます。配偶者の働き方を決める前に、それぞれに相談してみてください。

参考資料

太田 彩子