3. 民営化前の通常郵便貯金や、民営化後に預けた貯金は郵便貯金の権利消滅の対象外
同じゆうちょの貯金でも、預けた時期と種類によって、権利消滅の対象になるかどうかが分かれます。
3.1 民営化前の通常郵便貯金と通常貯蓄貯金は、ゆうちょ銀行に引き継がれている
郵政管理・支援機構のQ&Aによると、2007年9月30日以前に預けた通常郵便貯金と通常貯蓄貯金は、郵政民営化の際にゆうちょ銀行に承継されています。旧郵便貯金法の適用はなく、同法による権利消滅の対象にはなりません。
2007年10月1日以後に預けた貯金も、旧郵便貯金法の規定が適用されないため、同法による権利消滅はありません。
3.2 民営化後に預けたゆうちょ銀行の貯金は、休眠預金等活用法の対象になる
民営化後のゆうちょ銀行の貯金には、民間の銀行と同じく休眠預金等活用法が適用されます。金融庁によると、休眠預金等は10年以上入出金などの取引がない預金等で、2009年1月以降に最後の異動があったものが原則として対象です。
金融庁は、休眠預金等になっても、取引のあった金融機関で引き出すことができ、引き出しに期限はないとしています。対象外の例として、2007年10月1日より前に郵便局に預けられた定額郵便貯金等を挙げています。
4. 古い郵便貯金の証書や通帳が見つかったときは、郵便局の貯金窓口かゆうちょ銀行の店舗で払い戻す
民営化前の郵便貯金の払い戻しは、郵便局の貯金窓口かゆうちょ銀行の店舗で手続きします。
4.1 郵便貯金の通帳または証書、届出印、本人確認書類を持っていく
郵政管理・支援機構は、郵便貯金の通帳または証書、届出印と、住所・氏名・生年月日の入った公的な本人確認書類(マイナンバーカード、運転免許証、パスポートなど)を持って、早めに払い戻しの手続きをするよう案内しています。
名義人以外の人が代理人として手続きする場合は、名義人と代理人の本人確認書類、委任状、代理人の印章が必要です。名義人が認知症などで委任状を書けない場合でも、その郵便貯金を名義人のゆうちょ銀行の通常貯金口座にそのまま入金するといった場合は、払い戻しができるとしています。
4.2 証書や通帳がなくても、郵便貯金の現存調査で有無を調べられる
証書や通帳をなくして所在が分からない場合でも、払い戻しの手続きはできます。この場合は手続きに時間がかかります。
自分の貯金があるか分からない場合や、相続で親の郵便貯金を確認したい場合は、郵便局の貯金窓口やゆうちょ銀行の店舗で、郵便貯金の有無を調べる「現存調査」を頼めます。「貯金等照会書」に記入し、請求する人の本人確認書類の原本と印章を出します。相続に伴う調査では、相続人であることを確認する書類も必要です。
5. 郵便貯金が権利消滅の扱いになったあとも、真にやむを得ない事情があれば払い戻される
満期後20年2か月が過ぎていても、すぐに諦める必要はありません。郵政管理・支援機構は、払い戻しが受けられる場合を2つ示しています。
5.1 満期後に通帳の再交付や住所変更の手続きをしていれば、払い戻せることがある
満期後に、郵便貯金の通帳や証書の再交付の請求、印章の変更、氏名の変更や住所の移転の届け出などの手続きをしていて、その事実が確認された場合は、満期後20年2か月の経過にかかわらず支払いができることがあるとしています。
5.2 郵便貯金の存在や催告書を知らなかった場合などは、基準に沿って審査される
権利消滅の扱いとなった郵便貯金でも、払い戻しを請求し、真にやむを得ない事情があったと認められれば払い戻されます。郵政管理・支援機構の判断基準では、次のいずれかについて事情があった場合を挙げています。
- 郵便貯金の存在を認識していなかった(相続人が被相続人名義の貯金を知らなかった場合など)
- 催告書の存在や内容を認識していなかった(住所移転の届け出が難しく、催告書が届かなかった場合など)
- 催告書の発送から2か月の間に払戻請求をしなかった事情があった(病気や介護、災害、海外滞在、遺産分割協議の不調など)
判断基準では、申し出の受付期間は設けないとしています。この払い戻しの運用は、預金者に一層寄り添う観点から見直され、2024年1月から新しい運用になりました。権利消滅となった郵便貯金の通帳や証書を持って、郵便局の貯金窓口かゆうちょ銀行の店舗に申し出ます。
6. まとめ
2007年9月30日以前に預けた定額・定期・積立などの郵便貯金は、すべて満期を迎えており、満期後20年2か月で権利消滅の扱いになります。権利消滅の扱いとなった郵便貯金等は、2025年度に143億円でした。
民営化前の通常郵便貯金や、民営化後に預けた貯金は、旧郵便貯金法による権利消滅の対象ではありません。民営化後の貯金は休眠預金等活用法の対象で、休眠預金等になっても引き出しに期限はありません。
古い証書や通帳が見つかったら、預け入れた日を確かめて早めに手続きするのが確実です。証書がなくても現存調査で有無を調べられ、権利消滅の扱いになったあとも事情によっては払い戻されるので、郵便局の貯金窓口かゆうちょ銀行の店舗で相談できます。
参考資料
- 郵政管理・支援機構「重要なお知らせ(郵便貯金)」
- 郵政管理・支援機構「睡眠貯金残高・権利消滅額の推移」
- 郵政管理・支援機構「郵便貯金の権利消滅等に関するQ&A」
- 郵政管理・支援機構「満期を経過した郵便貯金の払戻しに関するお知らせ」
- 郵政管理・支援機構「郵便貯金の有無の調査(現存調査)のお知らせ」
- 郵政管理・支援機構「郵便貯金権利消滅判断基準」
- 金融庁「長い間、お取引のない預金等はありませんか?」
- ゆうちょ銀行「休眠預金等活用法に係るお取り扱いについて」
和田 直子