5. 【住民税】所得税と合わせた最高税率は55%。住民税の所得割は所得にかかわらず10%
平均所得の高い自治体では、所得税と住民税の負担も大きくなります。ここでは、所得税と住民税の税率の仕組みの違いを確認します。
5.1 所得税は5%から45%の7段階
財務省によると、所得税は、給与収入から給与所得控除を差し引いて所得金額を出し、そこから基礎控除や配偶者控除などの所得控除を差し引いた残りに税率をかけて計算します。
税率は、所得が高い部分ほど高い税率が適用される「超過累進税率」で、5%から45%の7段階です。課税所得4000万円を超える部分には、45%の税率がかかります。
5.2 住民税の所得割は一律10%
一方、総務省によると、住民税の所得割の税率は所得にかかわらず10%(道府県民税4%、市町村民税6%)です。政令指定都市では、道府県民税が2%、市民税が8%になります。
所得税の最高税率45%と住民税の10%を合わせると、最高税率は55%です。財務省の資料では、所得税の最高税率はかつて70%で、所得税と住民税を合わせると88%の時期もありました。
なお、所得控除の額は所得税と住民税で異なるものが多く、所得税と住民税の課税所得は同じ金額になるとは限りません。また、表の税率には復興特別所得税を含めていません。住民税の税率は都道府県や市区町村が定めるため、実際の税率や税額は、お住まいの自治体の最新情報で確認してください。
6. 【FPの視点】平均所得のランキングを見るときに気をつけたいこと
市区町村別の1人あたり平均所得は、地域ごとの特徴をつかむうえで参考になります。ただし、数字を見るときにはいくつか気をつけたい点があります。
6.1 所得割を納める人だけの平均で、株の売却益も含まれる
今回の平均は、住民税の所得割を納めている人だけを対象としたもので、所得が少なく所得割がかからない人は含まれていません。また、課税対象所得には株式などの売却益も含まれるため、港区や渋谷区のように、株式等の譲渡所得が平均を大きく押し上げている自治体もあります。
平均は、一部の高い所得に引っ張られやすい数字です。「その地域に住む人の多くがこのくらいの所得がある」という意味ではない点は押さえておきましょう。
6.2 自分の住民税は、通知書の所得割額で確かめる
住民税の所得割は、所得控除を差し引いた課税所得に10%をかけ、そこから税額控除を差し引いて計算されます。ふるさと納税や住宅ローンなどの控除も、この所得割額から差し引かれます。
自分の住民税がどのように計算されているかは、税額決定通知書の所得割額や控除の欄で確かめられます。分からない点があれば、お住まいの市区町村の住民税の担当窓口に確認するとよいでしょう。
7. まとめにかえて
総務省「令和7年度 市町村税課税状況等の調」から算出した、所得割を納める人の1人あたり平均所得は、港区が1809万8922円で最も高く、全国平均の約4.7倍でした。上位10のうち8つを東京23区が占めましたが、港区や渋谷区では、課税対象所得の約3割を株式等の譲渡所得が占めています。
ニュースやランキングの数字を鵜呑みにして一喜一憂するのではなく、その背景を知ることが大切です。ご自身の税額決定通知書を改めて確認し、ご家庭の家計管理や将来の資産形成に役立ててみてください。
住民税は私たちが暮らす地域の医療や福祉などを支える大切な「会費」です。まずは年に一度配られる通知書を開いて自分がいくら納めているのか、そしてふるさと納税などの控除が正しく引かれているかを確認する習慣をつけてみることをおすすめします。
参考資料
村岸 理美