4. 手取りで見た世帯の真ん中は、等価可処分所得の中央値277万円
国民生活基礎調査では、税金や社会保険料を差し引いた手取りにあたる所得をもとに、世帯の人数の違いもそろえた「等価可処分所得」も集計しています。2024年の等価可処分所得の中央値は277万円でした。
4.1 等価可処分所得は、手取りを世帯人員の平方根で割って調整した所得
厚生労働省の用語の説明によると、可処分所得は所得から所得税、住民税、社会保険料、固定資産税・都市計画税、自動車税等を差し引いたもので、手取り収入に相当します。等価可処分所得は、世帯の可処分所得を世帯人員の平方根で割って調整したものです。
たとえば可処分所得が400万円の4人世帯なら、400万円を4の平方根である2で割って、等価可処分所得は200万円になります(LIMO編集部による計算例)。世帯の人数で割り算をするだけでなく、平方根で割ることで、人数が増えたときの生活費の増え方を調整しています。
4.2 等価可処分所得の中央値は2021年の254万円から23万円上がった
等価可処分所得の中央値は、前回集計した2021年の254万円から、2024年は277万円に上がりました。この中央値の半分にあたる138万円が「貧困線」です(差はLIMO編集部で計算)。
5. 相対的貧困率は15.0%、大人が一人の子どもがいる現役世帯では44.7%
貧困線に満たない世帯員の割合を「相対的貧困率」といいます。2024年の数値と、2021年からの変化は次のとおりです。
- 相対的貧困率:15.0%(2021年から0.4ポイント低下)
- 子どもの貧困率(17歳以下):11.0%(同0.5ポイント低下)
- 子どもがいる現役世帯の世帯員:9.0%(同1.6ポイント低下)
- うち大人が一人の世帯員:44.7%(同0.2ポイント上昇)
- うち大人が二人以上の世帯員:6.7%(同1.9ポイント低下)
ここでいう現役世帯は世帯主が18歳以上65歳未満の世帯、大人は18歳以上の人を指します。多くの区分で下がった一方、大人が一人で子どもを育てている世帯の世帯員では、4割を超える水準が続いています。
6. 生活が「苦しい」と答えた世帯は55.4%、児童のいる世帯では61.5%
厚生労働省「2025(令和7)年 国民生活基礎調査の概況」によると、2025年7月10日現在の生活意識は「大変苦しい」が23.2%、「やや苦しい」が32.2%で、合わせて55.4%の世帯が生活を「苦しい」と答えています。前年の58.9%からは下がりました。
世帯の種類別では、「苦しい」と答えた割合は児童のいる世帯が61.5%、母子世帯が82.1%でした。世帯年収の平均が最も高い児童のいる世帯で、苦しいと答えた割合は全世帯より高くなっています。
7. 世帯年収の平均と自分の家計を比べるときに確かめたいこと
銀行の窓口でご相談をお受けしていた頃も、世帯の年収の額面で住宅ローンや教育費の計画を立てようとして、手取りとの差に戸惑う方は少なくありませんでした。世帯年収の平均と自分の家計を比べるときは、次の点を分けて見ておく必要があります。
7.1 額面の世帯年収と、家計に回せる手取りは違う
国民生活基礎調査の平均所得金額575万2000円は、税金や社会保険料を差し引く前の額です。毎月の家計の土台になるのは、源泉徴収票や給与明細で確かめられる手取りの金額です。共働きの世帯では、2人分の手取りを足して世帯の金額を出しておくと、比べる数字がそろいます。
7.2 同じ世帯年収でも、世帯の人数で暮らしの余裕は変わる
児童のいる世帯は平均所得金額が857万3000円と最も高い一方で、生活が苦しいと答えた割合も61.5%と高くなっています。世帯年収を比べるときは、同じ年齢階級や同じ世帯の種類の数字と並べ、世帯の人数もあわせて見ると、家計の見通しにつなげやすくなります。
8. まとめ
2025年の国民生活基礎調査によると、2024年の1世帯当たり平均所得金額は575万2000円で、前年から7.3%増え、2015年以降で最も高くなりました。中央値は451万円で、平均を下回る世帯は61.5%、最も多いのは200万〜300万円未満の13.5%です。世帯主の年齢別では50〜59歳の814万6000円が最も高くなっています。
手取りを世帯人員で調整した等価可処分所得の中央値は277万円で、2021年の254万円から上がりました。世帯年収の平均を自分の家計と比べるときは、額面と手取り、世帯の人数を分けて見ることが大切です。
参考資料
- 厚生労働省「2025(令和7)年 国民生活基礎調査の概況」
- 厚生労働省「2025(令和7)年 国民生活基礎調査の概況 Ⅱ 各種世帯の所得等の状況」
- 厚生労働省「2025(令和7)年 国民生活基礎調査の概況 用語の説明」
中本 智恵