4. 児童手当は口座に入り、扶養控除は給与の手取りと住民税に表れる

児童手当と扶養控除は、どちらも高校生年代の子育てを支える制度ですが、家計に入ってくる形がまったく違います。銀行の窓口でご相談を受けていた頃も、児童手当の入金は通帳ですぐ確かめられる一方、扶養控除の効果は意識されていない方が多い印象でした。

4.1 児童手当は偶数月に受給者の口座へ2か月分ずつ振り込まれる

児童手当は、偶数月に2か月分ずつ、受給者の口座へ振り込まれます。10月であれば8月分と9月分で、高校生年代の子ども1人なら2万円です。

入金の日付と金額が通帳に記帳されるので、受け取った額を確かめやすいお金です。

4.2 扶養控除は毎月の源泉徴収、年末調整、翌年度の住民税に反映される

扶養控除は、会社員であれば勤務先に出す「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」に扶養親族を書くことで、毎月の給与から差し引かれる所得税に反映されます。1年分は年末調整で精算されます。

住民税の扶養控除は、前年の所得をもとに計算される翌年度の住民税で反映されます。どちらも振り込まれるお金ではないため、手取りの差として表れる点を押さえておきましょう。

5. 高校生年代の扶養控除が案どおりだった場合との差を所得税率別に試算

1ページ目では所得税率10%の例を見ました。ここでは所得税率5%、10%、20%の3つで、高校生年代の扶養控除が現行の場合と、令和6年度税制改正の大綱で示された案の場合の税の軽減額を比べます。住民税の所得割は10%、復興特別所得税は除いた概算です。

5.1 所得税率5%・10%・20%で比べると、差は年2万7500円から4万7000円

【所得税率5%】

  • 現行:1万9000円+3万3000円=5万2000円
  • 案:1万2500円+1万2000円=2万4500円
  • 差:2万7500円

【所得税率10%】

  • 現行:3万8000円+3万3000円=7万1000円
  • 案:2万5000円+1万2000円=3万7000円
  • 差:3万4000円

【所得税率20%】

  • 現行:7万6000円+3万3000円=10万9000円
  • 案:5万円+1万2000円=6万2000円
  • 差:4万7000円

所得税の税率は、課税される所得金額が195万円未満なら5%、195万円以上330万円未満なら10%、330万円以上695万円未満なら20%です。所得税率が高い世帯ほど、扶養控除の見直しが家計に与える影響は大きくなります。

5.2 児童手当の年12万円は所得税率に関係なく同じ額

一方、児童手当は所得制限が撤廃されたため、高校生年代の子ども1人あたり月1万円、年12万円で、所得税率による違いはありません。

令和6年度税制改正の大綱は、児童手当と合わせて全ての子育て世帯への支援を拡充しつつ、所得階層間の支援の平準化を図るとしていました。令和9年分より後の扶養控除の扱いは引き続き検討とされているため、今後の税制改正の大綱で示される内容を確かめておくと安心です。

6. 高校生の子どものアルバイト収入と扶養控除:令和8年分は合計所得金額62万円以下

高校生年代の子どもを扶養控除の対象にするには、子ども本人の所得が一定額以下である必要があります。アルバイトをしている高校生がいる家庭では、この所得要件も確認しておきたいところです。

6.1 令和8・9年分は給与だけなら収入136万円以下が目安

令和8年度の税制改正で基礎控除などが引き上げられたことに伴い、扶養親族の所得要件は合計所得金額58万円以下から62万円以下に改正されました。

国税庁の資料では、令和8・9年分で収入が給与だけの場合、収入金額136万円以下が目安とされています(改正前は123万円以下)。

6.2 改正は令和8年12月1日以後の給与から。新たに対象になる場合は申告書の提出が必要

この改正は令和8年12月1日に施行され、令和8年分から適用されます。会社員の源泉徴収では、令和8年12月1日以後に支払う給与から適用されます。

改正によって新たに扶養親族の要件を満たすことになった子どもがいる場合は、扶養控除を受けるために「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」の提出が必要です。年末調整の前に、勤務先に出している申告書の内容を確かめておきましょう。

7. まとめ

児童手当は高校生年代まで月1万円で、10月には8月分と9月分の2万円が支給されます。高校生年代の扶養控除は所得税38万円・住民税33万円で、令和8年度税制改正の大綱により令和9年分の所得税と令和10年度分の住民税までは現行のまま維持されます。

所得税率10%の世帯なら、扶養控除による税の軽減は年7万1000円で、児童手当と合わせると子ども1人あたり年19万1000円です。児童手当は通帳で、扶養控除は源泉徴収票や住民税の決定通知書で、それぞれ確かめておくと家計の全体像がつかみやすくなります。

参考資料

中本 智恵