5. 【FPの視点】役職を退いてから退職金を受け取るまでの家計を考える

役職定年などで年収が下がってから、定年で退職金を受け取るまでには、数年から10年以上の期間があることもあります。家計の目線で、この期間に備えておきたい点を整理します。

5.1 退任の前に、年収が下がったあとの家計を試算しておく

パーソル総合研究所の調査では、退任に向けた備えとして「特にない」と答えた人が37.2%と最も多く、「退任後については極力考えないようにしていた」人も20.9%いました。

退任は想定より早く、短い予告で訪れることもあります。年収が2割、3割下がった場合に毎月の家計がどうなるかを、管理職のうちに一度試算しておくと、いざというときに慌てずに済みます。

5.2 役職定年が退職金にどう影響するかは、退職金規程で確かめる

退職金の計算方法は会社によって異なり、退職時の給与をもとに計算する方式もあれば、在職中の役職や勤続年数に応じて積み上げる方式などもあります。役職定年で給与が下がったときに退職金がどう扱われるかは、会社の制度によって変わります。

老後の資金計画に退職金を組み込むなら、勤務先の退職金規程や人事担当者に、自分の場合の見込み額と計算方法を確認しておきましょう。

5.3 退任後の11年は、働き方と資金計画の両方で考える

元課長の場合、退任後に65歳まで働くと11.1年あります。この期間の収入が下がる分を、貯蓄の取り崩しで補うのか、働き方を工夫して補うのかによって、退職金を受け取ったあとの家計も変わってきます。

収入が高い管理職のうちに、昇給分や賞与を先取りで積み立てておくなど、退任後に備える準備を少しずつ進めておくと安心です。

6. まとめにかえて

パーソル総合研究所の調査によると、管理職の3人に1人は想定外の理由で、4人に1人は想定より早く退任していました。役職定年による退任では、年収が3割程度減った人が24.7%、2割程度減った人が22.0%でした。

元課長は平均53.9歳で退任し、65歳まで働くとその後11.1年を過ごします。定年退職時の退職金は、厚生労働省の調査で大学・大学院卒が平均1896万円、高校卒(管理・事務・技術職)が1682万円です。

退任のタイミングや年収の変化、退職金の計算方法は会社によって異なります。管理職のうちに、勤務先の制度と自分の家計の両方を確認しておくことが、退任後の安心につながります。

参考資料

村岸 理美