貯蓄ゼロ世帯の人や貯金が少ない人が、少しでもお金持ちに近づくにはどのような点を学ぶと良いのでしょうか。最初の調査結果でも分かるように、資産が1000万円を超える人と金融資産を持たない人との得点には倍の開きがあり、差が顕著になっているのです。
日本のお金持ち『富裕層』は50世帯に1世帯ほどいるようです。㈱野村総合研究所が2018年に公表した調査結果(※2)によると、日本の富裕層(純金融資産(※3)保有額が1億円以上の世帯)は約127万世帯で、全世帯の約2%です。「意外に多いな」と感じるのではないでしょうか。
一方、金融広報中央委員会が18年に公表した「平成30年(2018年) 家計の金融行動に関する世論調査[単身世帯調査][二人以上世帯調査]」によると、「金融資産がない(※4)」と回答した世帯は単身世帯で38.6%、2人以上世帯で22.7%となっています。
野村総合研究所の調査では、お金持ちを親に持つ「親リッチ」のほうが、そうではない「非・親リッチ」よりも金融リテラシーの水準が高いという結果が出ています。お金持ちの習慣から金融リテラシーを学び、賢い生活力につなげてみましょう。
(※2)「野村総合研究所、日本の富裕層は127万世帯、純金融資産総額は299兆円と推計」野村総合研究所
(※3)「純金融資産」とは保有する金融資産の合計額から負債を差し引いたもの。
(※4)ここでいう「金融資産」とは、家計が保有する金融商品のうち、貴金属や現金、事業のために保有している金融商品、預貯金のうち日常的な出し入れや引落しなど生活費に対応する部分を除いた「運用のため、または将来に備えて保有している部分」となっています。また「金融資産がない」世帯とは、「金融資産をいずれも保有していない」世帯および「預貯金のうち運用・将来の備え」がゼロと回答した世帯を指しています。
お金持ちの習慣・思想
お金持ちにみられる共通点から、お金に関する習慣や思想についてピックアップしてみました。お金持ちの生活傾向を学んでみましょう。
(1) 早寝早起きと健康管理
お金持ちには早寝早起きをしている人が多く、時間を有効に使い、規則正しい生活をしています。そして健康管理への意識の高さも特徴的です。意欲があり読書を好み、活動的で頭も使うため、睡眠も充分にとっています。お金持ちの中には不健康な人や元気のない人は少ないのです。生活の基本でもある健康管理を意識していきましょう。
(2) 使うべきところにお金をかけている
お金持ちは保有額も大きいため、金銭管理を徹底しています。家計や事業の収支を把握し、家計管理の基本を守っています。また、「どこにお金を使うべきか」をしっかりと見極めて、不必要なものには無駄使いはしない。持ち物も、長く使える質の良いものを選んでいることが多いのです。
(3) アイデアをすぐに行動に移す
お金持ちは情報に敏感であり、アイデアをすぐに行動に移すという特徴があります。ただし失敗しそうだと分かったときの決断も早く、軌道修正する力にも長けているのです。リスクも経験しながら試行錯誤していく実行力は大きな人生経験・金融経験となるでしょう。
(4) 争いごとはしない
お金持ちの人は争いを好みません。周りを落としてまでトップに立とうとすることはなく、平和主義です。服装もシンプルで上質。持ち物などもブランド物で周囲にアピールすることもありません。周囲への思いやりを当然のように身につけています。お金持ちの生活や習慣は『カネの亡者』のようなものとは程遠いといえます。
まとめ
「お金持ちほどお金に関心を持ち、お金を大切にしている」という説もあります。お金がない人、貯金ができない人ほど、お金に対して無頓着な傾向にあるのかもしれません。しかし金融リテラシーに代表されるお金の感覚は、生活に直結する重要な資質です。お金持ちの人たちの習慣にならいながら、賢い個人として金融リテラシーや生活力をスキルアップさせていきましょう。
【参考】
「金融リテラシー調査(2019年)」知るぽると(金融広報中央委員会)
「平成30年(2018年) 家計の金融行動に関する世論調査[単身世帯調査][二人以上世帯調査]」知るぽると(金融広報中央委員会)
【ご参考】貯蓄とは
総務省の「家計調査報告」[貯蓄・負債編]によると、貯蓄とは、ゆうちょ銀行、郵便貯金・簡易生命保険管理機構(旧郵政公社)、銀行及びその他の金融機関(普通銀行等)への預貯金、生命保険及び積立型損害保険の掛金(加入してからの掛金の払込総額)並びに株式、債券、投資信託、金銭信託などの有価証券(株式及び投資信託については調査時点の時価、債券及び貸付信託・金銭信託については額面)といった金融機関への貯蓄と、社内預金、勤め先の共済組合などの金融機関外への貯蓄の合計をいいます。
LIMO編集部