4. 【社会保険料】最低賃金は全国加重平均1177円に。パートで週20時間働くと月いくら?
10月は、最低賃金が改定される時期でもあります。最低賃金の上昇は、パートやアルバイトで働く人の社会保険の加入にも関わります。
4.1 2026年度の最低賃金は全国加重平均で56円の引き上げ
厚生労働省によると、2026年度の地域別最低賃金の改定額は、全国加重平均で1177円となり、前年度の1121円から56円引き上げられます。改定額は、10月1日から12月2日までの間に順次発効される予定です。
最も高いのは東京都の1280円(前年度1226円)で、神奈川県は1279円、大阪府は1231円でした。最も低いのは宮崎県の1085円です。
4.2 東京都の最低賃金で週20時間働くと、月約11万900円
最低賃金で週20時間働いた場合の月収を、「時給×20時間×52週÷12か月」で試算すると、全国加重平均の1177円では約10万2000円、東京都の1280円では約11万900円になります。最も低い宮崎県の1085円でも約9万4000円です。
4.3 「月額8.8万円」の賃金要件は2026年10月に撤廃予定
パートやアルバイトなどの短時間労働者が社会保険に加入する要件の1つに、所定内賃金が月額8万8000円以上という「賃金要件」があります。いわゆる「年収106万円の壁」と呼ばれてきた基準です。
厚生労働省の資料(2026年1月作成)では、すべての都道府県で最低賃金が時給1016円を超え、週20時間以上働けば自動的に賃金要件を満たすようになったことから、2026年10月に賃金要件を撤廃する予定とされています。今回の試算でも、どの地域でも週20時間働けば月8万8000円を上回ります。
なお、勤め先の従業員数が51人以上という「企業規模要件」は、2027年10月から段階的に縮小され、2035年10月に撤廃される予定です。
5. 【FPの視点】10月の給与明細で確かめたいこと
社会保険料は、毎月の手取りを左右する大きな支出です。10月の給与明細を受け取ったら、家計の目線で次の点を確かめておきましょう。
5.1 天引きの欄を、9月の明細と見比べる
給与明細の控除欄には、健康保険料、介護保険料(40歳以上の人)、厚生年金保険料などが並びます。2026年度からは、子ども・子育て支援金が健康保険料とあわせて表示されている場合もあります。
9月の明細と見比べて金額が変わっていれば、定時決定で標準報酬月額が見直された可能性があります。どの欄がいくら変わったかを確かめておくと、手取りが変わった理由がわかります。
5.2 保険料が下がると、休んだときの給付も下がる
標準報酬月額が下がれば、毎月の保険料は少なくなります。一方で、病気やけがで会社を休んだときの傷病手当金や、出産で休んだときの出産手当金は、標準報酬月額をもとに計算されるため、受け取れる額も少なくなります。
保険料が安いことだけを「得」と考えず、万一のときの保障とセットで考えることが大切です。
5.3 パートで働く人は、勤め先の社会保険の加入条件を確認する
最低賃金の引き上げで時給が上がると、同じ時間働いていても収入が増えます。週20時間以上働く人は、勤め先の従業員数などによって社会保険の加入対象になることがあります。
扶養の範囲で働きたいのか、社会保険に加入して保障を厚くしたいのかによって、働き方の選び方は変わります。勤め先の担当者に、加入条件を確かめておきましょう。
6. まとめにかえて
社会保険料は、4月から6月の報酬の平均で決まる標準報酬月額をもとに、9月分から見直されます。前月分の保険料を当月の給与から差し引く会社では、10月の給与から新しい保険料が天引きされます。
東京都の協会けんぽの場合、標準報酬月額30万円なら本人負担は月4万2570円で、40歳から64歳の人は介護保険料が加わって4万5000円になります。2026年4月分からは子ども・子育て支援金も加わりました。
年の途中でも、昇給や時給の引き上げなどで固定的賃金が変わり、2等級以上の差が生じれば、随時改定で保険料が見直されます。10月の給与明細を受け取ったら、天引きの欄を一度確かめてみてください。
参考資料
- 日本年金機構「厚生年金保険の保険料」
- 日本年金機構「随時改定(月額変更届)」
- 日本年金機構「厚生年金保険料等の納付」
- 協会けんぽ「令和8年3月分(4月納付分)からの健康保険・厚生年金保険の保険料額表(東京支部)」
- 協会けんぽ「令和8年度の協会けんぽの保険料率は3月分(4月納付分)から改定されます」
- 厚生労働省「全ての都道府県で地域別最低賃金の改定額が答申されました」
- 厚生労働省「社会保険の加入対象の拡大について」
- 厚生労働省「短時間労働者の社会保険の加入拡大のポイント」
村岸 理美