4. 前年から平均年収が下がった業種は、宿泊業,飲食サービス業・医療,福祉・運輸業,郵便業の3つ
全体の平均給与は前年の477万5000円から486万6000円へ、1.9%増えました(いずれも1000円単位の公表値)。ただ、業種別に令和6年分と比べると、14業種のうち3業種で平均給与が下がっています。
4.1 業種別の平均年収の前年からの増減率
令和6年分と令和7年分の第9表を並べ、業種ごとに平均給与の増減率を出すと、次のとおりです(増減率はLIMO編集部で計算)。
- 農林水産・鉱業:347万9000円→393万7000円(13.2%増)
- 建設業:565万4000円→590万3000円(4.4%増)
- 複合サービス事業:490万1000円→509万5000円(4.0%増)
- 情報通信業:659万5000円→681万9000円(3.4%増)
- 不動産業,物品賃貸業:495万5000円→512万5000円(3.4%増)
- 学術研究,専門・技術サービス業,教育,学習支援業:549万3000円→567万9000円(3.4%増)
- 金融業,保険業:702万3000円→725万6000円(3.3%増)
- サービス業:389万1000円→401万7000円(3.2%増)
- 電気・ガス・熱供給・水道業:832万4000円→854万4000円(2.6%増)
- 製造業:567万6000円→573万円(1.0%増)
- 卸売業,小売業:409万6000円→413万4000円(0.9%増)
- 運輸業,郵便業:487万6000円→482万5000円(1.0%減)
- 医療,福祉:429万円→424万円(1.2%減)
- 宿泊業,飲食サービス業:279万3000円→275万8000円(1.3%減)
増減率が最も大きかったのは農林水産・鉱業の13.2%増で、平均給与は45万8000円増えました。一方、もともと平均給与が最も低い宿泊業,飲食サービス業は、前年から3万5000円減っています。
4.2 平均賞与は14業種のうち7業種で前年から減った
平均賞与を前年と比べると、増えたのは建設業・金融業,保険業・情報通信業など7業種、減ったのは製造業・卸売業,小売業・宿泊業,飲食サービス業など7業種でした。宿泊業,飲食サービス業の平均賞与は18万3000円から16万8000円へ、8.2%減っています(増減率はLIMO編集部で計算)。
電気・ガス・熱供給・水道業は、平均給与が2.6%増えた一方で、平均賞与は173万2000円から163万8000円へ5.4%減りました。給料・手当が増えて賞与が減っても、年間の平均給与は増えることがあります。
5. 業種別の平均年収は、平均年齢・勤続年数・男女の構成が違う人たちの平均
業種別の平均給与は、その業種で働く人全体の平均です。業種によって働いている人の年齢や勤続年数、男女の構成が違うため、平均給与の差には、こうした構成の違いも含まれています。
5.1 平均勤続年数は電気・ガス・熱供給・水道業の17.7年に対し、宿泊業,飲食サービス業は8.3年
第9表によると、平均給与が最も高い電気・ガス・熱供給・水道業は、平均年齢44.8歳・平均勤続年数17.7年です。平均給与が最も低い宿泊業,飲食サービス業は、平均年齢42.6歳・平均勤続年数8.3年でした。平均年齢の差は2.2歳ですが、勤続年数には2倍ほどの開きがあります。
5.2 医療,福祉は1年を通じて勤務した給与所得者の72.6%が女性
男女の構成も業種によって大きく違います。1年を通じて勤務した給与所得者のうち女性の割合は、全体では43.2%です。医療,福祉では72.6%、宿泊業,飲食サービス業では54.6%を女性が占めます。電気・ガス・熱供給・水道業は16.9%でした(割合はLIMO編集部で計算)。
5.3 調査の「給与所得者」にはパート・アルバイトと役員も含まれる
民間給与実態統計調査の対象には、正社員だけでなく、パート・アルバイトなどの従事員と役員も含まれます。業種は、その人が勤める事業所の業種で分類されます。また「給与」には、通勤手当などの非課税分は含まれていません。
6. 転職や就職で業種別の平均年収を見るときに、あわせて確かめたいこと
銀行で家計のお金のご相談に携わっていた頃、勤め先が変わる時期の家計の組み立てに迷う方は少なくありませんでした。業種別の平均年収は目安として役に立ちますが、それだけで手取りの見通しまでは分かりません。
6.1 年収のうち賞与がいくらかを分けて見る
同じ年収でも、賞与の割合が高いと、毎月の給料・手当は少なくなります。年収600万円で賞与が2割なら、賞与は120万円、給料・手当は年480万円で、1か月あたり40万円です。賞与の割合が1割なら、給料・手当は年540万円で、1か月あたり45万円になります(いずれも額面のLIMO編集部による試算)。
求人の条件で年収が示されているときは、そのうち賞与がいくらを見込んだ金額なのかを確かめておくと、毎月の家計を組むときの土台が分かりやすくなります。
6.2 賞与は前年と同じ額とは限らない
令和7年分では、14業種のうち7業種で平均賞与が前年より減りました。住宅の購入や教育費の積み立てなど、まとまったお金の計画に賞与を組み込むときは、支給額が前年より少なかった場合でも続けられるかを見ておくと安心です。
7. まとめ
令和7年分の民間給与実態統計調査では、業種別の平均給与は電気・ガス・熱供給・水道業の854万4000円が最も高く、宿泊業,飲食サービス業の275万8000円が最も低くなりました。平均賞与は金融業,保険業の173万1000円が最も多く、業種による差は給料・手当より賞与のほうが大きく開いています。
前年と比べると、宿泊業,飲食サービス業・医療,福祉・運輸業,郵便業の3業種で平均給与が下がり、平均賞与は7業種で減りました。業種別の平均年収を自分の給与と並べるときは、年収のうち賞与がいくらかを分けて見ると、家計の見通しにつなげやすくなります。
参考資料
中本 智恵