3. 物価を差し引いた実質の平均年収は、令和7年分が平成26年分以降で最も低い

ここでは、総務省の消費者物価指数を使い、新しい系列の平均給与を2025年の物価に置き換えて比べます。数字はいずれもLIMO編集部の試算です。

3.1 消費者物価指数(持家の帰属家賃を除く総合)で2025年の物価に置き換える

計算に使ったのは、2025年を100とした消費者物価指数の「持家の帰属家賃を除く総合」の年平均です。厚生労働省の毎月勤労統計調査も、この指数を使って実質賃金を算出しています(2025年3月分からは「総合」による結果もあわせて公表)。

各年分の平均給与をその年の指数で割り、100を掛けると、2025年の物価で見た金額になります。2014年の指数は84.9なので、平成26年分の420万9000円は495万8000円にあたります。

平均給与(名目)と、2025年の物価に置き換えた額(平成26年分〜令和7年分)2/2

民間給与実態統計調査の新しい推計方法による平成26年分から令和7年分までの平均給与と、消費者物価指数で2025年の物価に置き換えた額を並べた横棒グラフ

出所:国税庁「民間給与実態統計調査結果(長期時系列データ)」、総務省統計局「2025年基準消費者物価指数」を参考にLIMO編集部作成

【平均給与(名目)と、2025年の物価に置き換えた額】

  • 平成26年分:420万9000円(495万8000円)
  • 平成27年分:423万4000円(493万5000円)
  • 平成28年分:425万円(495万9000円)
  • 平成29年分:433万6000円(503万円)
  • 平成30年分:439万1000円(503万6000円)
  • 令和元年分:438万4000円(499万9000円)
  • 令和2年分:435万1000円(496万1000円)
  • 令和3年分:445万7000円(510万円)
  • 令和4年分:457万6000円(508万4000円)
  • 令和5年分:459万5000円(491万4000円)
  • 令和6年分:477万5000円(495万3000円)
  • 令和7年分:486万6000円(486万6000円)

3.2 名目の平均年収は15.6%増えたが、物価は17.8%上がった

平成26年分から令和7年分までに、名目の平均給与は65万7000円、15.6%増えました。同じ期間に、消費者物価指数(持家の帰属家賃を除く総合)は84.9から100へと17.8%上がっています。

2025年の物価で見ると、平均給与は令和3年分の510万円が最も高く、令和7年分の486万6000円は平成26年分以降で最も低い額になります。

3.3 令和7年分は名目で1.9%増えた一方、物価は3.7%上がった

令和6年分の477万5000円から令和7年分の486万6000円へ、名目の平均給与は1.9%増えました。同じ1年で、消費者物価指数は96.4から100へと3.7%上がっています。

3.4 平成9年分の467万3000円は、2025年の物価に置き換えると549万8000円

参考として、従来の系列の平成9年分467万3000円を、1997年の指数85.0で同じように置き換えると549万8000円になります。令和7年分の486万6000円より63万2000円多い額です。

前のページで見たとおり、平成9年分と令和7年分は推計方法の違う系列の数字です。差の額は目安として見ていただきたいところです。

4. 自分の給与の伸びは、前年の源泉徴収票と消費者物価指数の上昇率で確かめる

銀行の窓口でご相談をお受けしていた頃、「給料は上がったのに、貯蓄に回せる額が増えない」というお話を伺うことがありました。給与が増えていても、それ以上に物価が上がっていれば、買えるものは減っていきます。

4.1 源泉徴収票の「支払金額」を前年と比べる

自分の給与が1年でどれだけ増えたかは、今年と前年の源泉徴収票の「支払金額」を並べると分かります。増えた割合が消費者物価指数の上昇率より小さければ、物価を差し引いた実質では減っていることになります。

4.2 消費者物価指数は総務省統計局が毎月公表している

消費者物価指数は、総務省統計局が毎月公表しています。家計の見直しを考えるときは、自分の給与の伸びと物価の伸びを同じ期間で並べて見ると、収入が増えたのに家計が楽にならない理由をつかみやすくなります。

物価の上昇に給与の伸びが追いついていないときは、毎月の固定費から見直していくと、家計への負担を抑えやすくなります。

5. まとめ

民間給与実態統計調査の長期時系列では、平均給与は平成9年分の467万3000円がピークで、平成21年分には405万9000円まで下がりました。新しい推計方法の系列では、令和7年分は486万6000円です。

一方、消費者物価指数で2025年の物価に置き換えると、令和7年分の486万6000円は平成26年分以降で最も低い額になります。給与の額が増えたかどうかに加えて、物価の伸びとあわせて見ていただきたいところです。

参考資料

中本 智恵