3. 遺族年金の請求の期限はいつまで?死亡日の翌日から5年
遺族年金の時効は、年金を受け取る権利が発生した日(原則として死亡日)の翌日から5年です。請求により、5年間分までをさかのぼって受け取ることが可能です。
また、やむを得ない事情によって請求できなかった場合、申立により時効消滅させないこととなり、年金の請求が認められるケースもあります。
4. 遺族年金は、種類と対象者を確かめて死亡日の翌日から5年以内に請求する
遺族年金には遺族基礎年金と遺族厚生年金があり、亡くなった人の年金の加入状況や家族構成で、受け取れる種類が変わります。子のある配偶者の遺族基礎年金は、昭和31年4月2日以後生まれなら84万7300円に子の加算額を足した額です。
請求に必要な書類は世帯の状況で変わるため、まずは年金事務所や年金相談センターに問い合わせておくと安心です。遺族年金の時効は死亡日の翌日から5年なので、早めに手続きを進めましょう。
ここからは、2028年4月からの遺族年金の見直しと、見直しの影響を受けない人を見ていきます。
5. 筆者の一言:「遺族年金があるから大丈夫」は危険?2028年の見直しで影響を受けるのは「子のいない妻」
2028年4月より、遺族年金の見直しが行われる予定です。
特に注目を集めているのは、子どもがいない60歳未満の人を対象とする給付条件です。
2028年4月からの見直しで、子のない60歳未満の配偶者は男女とも原則5年間の有期給付に。60歳以上で死別した場合は今と同じ無期給付4/4
出所:厚生労働省「遺族厚生年金の見直しについて」をもとにLIMO編集部作成
これまで、子どもがいない30歳以上の女性が死別した場合、無期給付が原則でした。
しかし、2028年4月からは、18歳年度末までの子がいない60歳未満の配偶者は、男女ともに原則5年間の有期給付となります(女性は2028年度末時点で40歳未満の人から対象)。
今回の見直しにより、子どもがいない女性や、子どもが18歳年度末を過ぎている女性の中には、「夫に万が一のことがあったらどうしよう」と不安に思う人も多いでしょう。
しかし、この見直しはマイナスな面ばかりではありません。
- 亡くなった配偶者の収入が自分よりも多い場合、「死亡分割」により、65歳から受け取る老齢厚生年金が増額される
- 「年収850万円」という所得制限が撤廃され、所得に関係なく遺族厚生年金を受け取れる
- 収入が少ない人や障害がある人は、有期給付の終了後も、引き続き遺族厚生年金を受け取れる
- 5年間の有期給付には「有期給付加算」が追加され、受給できる遺族厚生年金の金額が約1.3倍に増える
上記のようなメリットもあるため、改正内容を正しく理解しておきましょう。
とはいえ、これまで30歳以上の女性を対象としていた無期給付と比較すると、有期給付への変更により、総受給額が少なくなる可能性もあります。
遺族年金は生活を守るための支えの一つであると捉え、公的年金に加えて、ご自身での備えについても考えておきましょう。
また、子育て世帯においては、加算額の増額などで支援が手厚くなるケースが多いでしょう。
5.1 見直し後も変わらず遺族年金を受給できる人は?
今回の改正は、遺族厚生年金における男女差の解消を主な目的としています。
特に影響が大きい子どもがいない女性については、2028年4月から、20年かけて段階的に見直しが実施される予定です。
また、以下に当てはまる人は、今回の見直しの影響を受けません。
- すでに遺族厚生年金を受給している人
- 60歳以降に遺族厚生年金の受給権が発生する人
- 18歳年度末までの子を養育する間にある人
- 2028年度に40歳以上になる女性
まずは、ご自身が見直しの対象であるかどうかを確認してみてください。
6. おわりに
今回は、遺族年金の種類や受給要件、対象者のほか、請求に必要な書類や期限についても詳しく解説しました。
遺族年金は、亡くなった方の年金加入状況などで受給できる種類が異なります。
また、遺族基礎年金は「子のある配偶者」または「子」のみが対象であるのに対し、遺族厚生年金は子のいない配偶者のほか、その他の親族が対象となるケースもあります。
請求に必要な主な添付書類は7種類あり、そのうち4種類は年金請求書にマイナンバーを書けば省略できます。ただし、戸籍謄本を省略できるのは、請求者が亡くなった人の配偶者または子の場合に限られます。
必要な書類は個々の状況によって異なるため、手間を省くためにも事前に確認しておくのが安心です。
参考資料
- 日本年金機構「遺族基礎年金(受給要件・対象者・年金額)」
- 日本年金機構「遺族厚生年金(受給要件・対象者・年金額)」
- 日本年金機構「遺族厚生年金を受けられるとき」
- 日本年金機構「年金の時効」
- 厚生労働省「遺族厚生年金の見直しについて」
池田 夕華