4. 年金を受け取るようになったらどうなるか
継続給付を受けている間に、老齢年金の受給が始まるケースもあります。この場合の扱いも確認しておきましょう。
4.1 老齢退職年金を受けると傷病手当金は停止が原則
資格喪失後の継続給付を受けている人が、老齢厚生年金などの老齢退職年金を受け取れるようになると、傷病手当金は原則として停止されます。在職中の傷病手当金と異なり、資格喪失後の継続給付は、年金との併給調整の対象になるためです。
4.2 年金額が低ければ差額が支給される
ただし、全額支給停止となるのは年金額(日額換算)が傷病手当金の日額を上回る場合に限られます。
老齢退職年金受給時には傷病手当金が停止されますが、年金額の360分の1が傷病手当金の日額より低いときは、差額が支給されます。
出所:全国健康保険協会「病気やケガで会社を休んだとき(傷病手当金)」
年金額を360で割った日額相当額と、傷病手当金の日額を比べ、傷病手当金の日額の方が高ければ、その差額が支給されるということです。具体的な試算で見てみましょう。
老齢年金を受け取ると傷病手当金はどうなるか2/2
出所:全国健康保険協会の情報をもとにLIMO編集部作成(試算は編集部による仮定の数値)
なお、老齢退職年金のほか、同一の傷病で障害厚生年金(または障害基礎年金)を受け取る場合も傷病手当金との調整対象となり、年金額に応じて支給停止や差額支給が行われます。一方、遺族厚生年金などはこの調整の対象外となります。
5. 退職を考えるときに確認しておきたいこと
療養中に退職を考える場合、最低限、次の2点を事前に確認しておくことをおすすめします。
1つ目は、退職日(資格喪失日の前日)までの被保険者期間が継続して1年以上あるかどうかです。転職や再就職で保険者が変わっている場合、通算されないケースもあるため、加入履歴を確認しておく必要があります。
2つ目は、退職日に出勤する予定がないかどうかです。有給消化中であっても実際に出勤すれば継続給付の対象から外れるため、最終出勤日の扱いを会社とすり合わせておくことが欠かせません。
老齢年金の受給が視野に入っている場合は、年金額と傷病手当金の日額のどちらが高くなりそうか、あらかじめ目安を持っておくと、受給開始後の変化にも落ち着いて対応できます。
6. まとめ
傷病手当金を受給中、または受給できる条件を満たした状態で退職した場合でも、資格喪失日の前日までに継続して1年以上の被保険者期間があれば、引き続き傷病手当金を受け取れます。
ただし、退職日に出勤すると継続給付の対象から外れてしまいます。退職日の過ごし方は、事前に会社とよく相談しておきましょう。
老齢年金を受け取るようになると傷病手当金は原則停止されますが、年金額の360分の1が傷病手当金の日額より低ければ、差額が支給されます。自分の受給見込みがどうなるか、早めに協会けんぽや加入している健康保険組合に確認しておくことをおすすめします。
参考資料
和田 直子