確かに、訪日外国人観光客は大幅増加が続いており、2018年は約3,120万人となり、2019年は3,400万人に達する勢いになっています。そして、こうしたインバウンド需要は国内景気にも大きなインパクトを与えているのはご存知の通りです。

しかしながら、有名観光地やランドマークへは日帰りで行く外国人が圧倒的に多く、宿泊は有名飲食店や繁華街のある大都市部に集中しているのが実情です。実際、地方都市のホテルが満室で予約が取れないということは稀と言っていいでしょう。

その結果、大都市以外には、想定していたほど経済効果が及んでいないと見られています。現在、地方の百貨店で閉鎖・閉店が相次いでいるのはその結果の1つでもあります。

やはり、泊まって飲み食いして支出金額を増やしてもらわないと、観光地は経済的に潤わないのです。実際、宿泊観光客の消費額は、日帰り観光客の4倍以上というデータもあります。つまり、外国人観光客を“素通り”させずに、いかにして長く滞在させるかが、重要な課題となっているのです。

インスタ映えする夜景観光は外国人観光客の宿泊を増加させる

この課題を解決する1つの大きな手段が、夜景観光です。何しろ、夜景を観るためには、基本的には宿泊する必要があります。また、外国人(日本人も?)が大好きなSNSに美しい夜景はピッタリ合致します。インスタ映えには最適と言っていいでしょう。

また、一部の新興国では、治安上の問題などから、夜間の外出を控えることも珍しくなく、夜景を楽しむという発想そのものがないと考えらえます。

美しい夜景を安全に観ることができるのは、日本の魅力の1つとして定着しつつあるのではないでしょうか。

リピート需要を見込みにくい夜景観光、今後の課題はブランド化の促進

しかし、夜景観光には問題点もあります。それは、リピート需要を取り込み難いということです。確かに、一度観た夜景をもう一度観に行く人はそう多くないかもしれません。

今回の新ランキングで躍進した北九州市の外国人観光客データを見ても、平成26年:16.7万人、平成27年:25.2万人、平成28年:34.9万人、平成29年:68.2万人と飛躍的に伸びてきた外国人観光客数が、平成30年は69.1万人と伸び悩みました。

一方で、宿泊観光客数は着実に増加しています(平成29年:21.6万人から平成30年:29.3万人へ)。海外で北九州イルミネーションがブランド化するのは、今回の躍進を踏まえたこれからなのかもしれません。

今後は、各都市間でのイルミネーション競争も激化することが予想されます。各都市の取り組みに注目しましょう。

葛西 裕一