2. 大学生と若手社会人のギャップ——「重視点」はどう変わるか

一方で、就活中の大学生と、実際に社会に出て働いている若手社会人の間には、意識の「ギャップ」も垣間見えます。

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出典:大学生・若手社会人の「就活・はたらく」に関する調査(転職サービス「doda(デューダ)」)

出典:大学生・若手社会人の「就活・はたらく」に関する調査(転職サービス「doda(デューダ)」)

同調査で「ファーストキャリアの最終的な意思決定の重視点」を尋ねたところ、大学生の1位は「ワークライフバランス(労働環境・生活との両立)」(3割超)でした。これに対し、若手社会人が就活当時に重視していたことの1位は「給与・年収水準」で、次いで「勤務地・転勤有無」「労働時間・はたらきやすさ」が僅差で続く結果となっています。

また、「社会人として活躍するために重要だと思うこと」という項目では、大学生・若手社会人ともに1位は「コミュニケーション力」で共通しているものの、大学生は「学び続ける力(自己研鑽)」を挙げる人が多かったのに対し、若手社会人は「職種とのマッチ度(実務とのフィット感)」を重視する傾向が強くなっています。

2.1 「理想の環境」と「現場の実務」の摩擦

この違いは、採用担当の目から見ても非常に深く納得できるポイントです。

学生のうちはどうしても「残業が多くないか」「プライベートと両立できるか」といった「環境・条件面」や「自分の姿勢(しっかり学ぼうとする意欲)」に意識が向きがちです。しかし、いざ入社して現場に配属されると、「自分が担当する具体業務と自分の適性が合っているか」「提示された給料に見合う成果や納得感を得られているか」という、より具体的でリアルな課題に直面します。

入社前のイメージと現場でのリアリティの差が大きすぎると、「思っていた会社と違った」「仕事内容が合わない」といった早期のギャップにつながってしまうのです。

柳 奈央子
長年採用に携わってきて感じるのは、「最初から完璧な会社に出会える人はごく稀である」ということです。ファーストキャリアを通過点と捉えること自体は非常に健康的で現代的なリスクヘッジですが、「合わなければすぐ辞めればいい」と安易に考えるのではなく、「その会社で何を吸収するか」という目的意識を持つことが、その後のキャリアを大きく左右します。

3.  入社後に芽生える「将来への焦り」とどう向き合うか

実際、前述の「doda」の調査でも興味深いデータが出ています。

入社時には想定していなかったものの、社会人になってから感じるようになった不安の第1位は「このまま今の仕事を続けてよいかわからない」(約3割)でした。就活時の不安が「労働条件や環境」にあったのに対し、働いてみてからの不安は「将来のキャリアの方向性」へとシフトしていることが分かります。

一方で、同調査ではファーストキャリアでの勤務想定期間について、若手社会人の約4割が「想定より長い(長くなる予定)」と答えており、その理由として「職場の人間関係や環境が良い」「自分に合う職場・業務だから」といった満足度の高さを挙げています。

つまり、20代の求職者・若手社会人にとって大切なのは、「最初から一生安泰な会社を探すこと」ではなく、「自分に合う環境や成長実感を見極め、主体的にキャリアを築く力をつけること」だと言えます。

3.1 人事の現場から伝える、20代求職者へのアドバイス

では、これから就職や転職に挑む20代の皆さんは、どのような視点で企業を選ぶべきでしょうか。採用の裏側を知る立場から、3つのポイントをお伝えします。

  1. 条件面だけでなく「日々の具体業務」に踏み込んで確認する 残業時間や休日数などの環境面だけでなく、「具体的に1日どのようなスケジュールで、誰と、どんな作業をするのか」を面接やOB・OG訪問で具体的に質問しましょう。「職種マッチ」のギャップを減らす最大の予防策です。

  2. 「身につくスキル」が言語化できる企業を選ぶ 「この会社で3年働いたら、どんなスキルや経験が手に入るか」を考えてみてください。ポータブルスキル(他社でも通用する能力)が身につく環境であれば、将来どんな変化があっても柔軟に対応できます。

  3. 「合わなければ次がある」をポジティブな選択肢にする 終身雇用が当たり前ではない時代だからこそ、ファーストキャリアは「自分の適性を知るためのファーストステップ」です。恐れすぎず、しかし選んだ場所では全力で学びを取る姿勢を持つことが、結果として満足のいくキャリアにつながります。

時代が変化し、働き方の選択肢が広がった現代。データの示す変化をポジティブに捉え、自分らしいキャリアの一歩を踏み出してください。

参考資料

PR TIMES:大学生・若手社会人の就活・はたらくに関する調査レポート 第1弾「就活・キャリア選択の価値観編」を発表(パーソルキャリア株式会社)

柳 奈央子