実家の親と暮らし始めたら、生活リズムの違いに気疲れしてしまった――そんな声は珍しくありません。
株式会社家がほしいが2026年9月17日に公表したアンケート調査によると、親世代と同居する人の90.9%が同居にストレスを感じると回答しています。
その一方で、三世代で暮らす世帯は今や全体のわずか7.0%まで減っており、同居という選択そのものが多くの家庭にとって不慣れな経験になっている点は見落とされがちです。
本記事では、同居ストレスの実態と解消のために望むこと、二世帯住宅化を検討する際に知っておきたい贈与税の非課税措置、そして見落としやすい介護の視点まであわせて紹介します。
1. 親世代との同居、ストレスを感じる人は9割超に
株式会社家がほしいは2026年9月17日、親世代と同居する496人を対象にしたインターネットアンケート調査の結果を公表しました。
調査期間は2026年7月3日から5日で、回答者の内訳は女性357人、男性139人です。年代別では20歳代が22.4%、30歳代が30.8%、40歳代が25.6%、50歳代が21.2%となっています。
同調査で「同居にストレスを感じることがあるか」を尋ねたところ、90.9%が「感じることがある」と回答しました。
内訳は「頻繁に感じる」が36.7%、「たまに感じる」が54.2%で、多くの人が程度の差こそあれ同居にストレスを抱えている実態が浮かび上がります。
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出所:株式会社家がほしい「【496人調査】親世代との同居でストレスを感じる理由は?不満の解消へ向けて望むこと」(2026年9月17日公表)をもとにLIMO編集部作成
ストレスを感じる理由を複数回答で尋ねた設問では「生活リズムが合わない」が33.9%で最多となり、「プライバシーがない」が20.6%、「食生活が合わない」が11.3%と続きました。
ほかにも「価値観が違う」「金銭面で不満がある」「気遣いで疲れる」「衛生観念が違う」といった回答が挙がっており、暮らし方の細部にわたる違いがストレスの背景にあるとうかがえます。
1.1 不満を解消するために何を望んでいる?
同じ調査で「不満を解消するために望むこと」を尋ねたところ、最も多かったのは「別居」で81.4%にのぼりました。
次いで「二世帯住宅化」が19.6%、「ルールの決定」が11.1%、「互いに干渉しないこと」が9.8%、「自分専用のスペース」が7.4%という結果です。
別居を望む声が突出して多い一方、二世帯住宅化のように同居を続けながら距離を取る方法を選ぶ人も一定数いることが分かります。
2. 同居する家族は激減、三世代世帯はわずか7.0%に
内閣府が公表した『令和8年版高齢社会白書』によると、令和6年時点で65歳以上の人がいる世帯は2760万4千世帯にのぼり、全世帯の50.3%を占めています。
ところが世帯構成の内訳を見ると、親・子・孫の三世代が同居する「三世代世帯」の割合は昭和55年の50.1%から令和6年には7.0%へと大きく減少しました。
代わって「夫婦のみ」の世帯が32.7%、「単独」世帯が31.8%を占めており、高齢の親と子が同じ家で暮らすこと自体が、この40年余りで急速に少数派になったといえます。
共働き世帯の広がりや、進学・就職を機に親元を離れて暮らす人が増えたことなど、要因は一つに絞れませんが、いずれにせよ同居という経験そのものが、今の子育て世代や現役世代にとって身近ではなくなっているのは確かでしょう。
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出所:内閣府「令和8年版高齢社会白書」をもとにLIMO編集部作成
総務省の家計調査(家計収支編)によると、65歳以上の夫婦のみの無職世帯は実収入25万4395円に対し実支出29万6829円で、月4万2434円の赤字となっています。
また総務省の家計調査(貯蓄・負債編)では、65歳以上無職世帯全体の貯蓄現在高は2494万円という数値も示されていますが、これは夫婦のみの無職世帯に限った値ではなく、無職世帯全体を平均したものである点には注意しておきたいところです。
いずれのデータにも介護に関する費用は含まれていないため、実際に介護が必要になった場合の負担はさらに大きくなる可能性があります。
親のこうした家計の実情を知らないまま安易に別居を選ぶと、後になって想定外の負担に気づくケースも考えられるでしょう。
2.1 二世帯住宅を検討するなら贈与税はどうなる?
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出所:国税庁「No.4508 直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税」をもとにLIMO編集部作成
同居のストレスを別居ではなく「二世帯住宅化」で解消したいと考える場合、気になるのが親から資金援助を受けたときの贈与税です。
国税庁によると、直系尊属(父母や祖父母など)から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税措置では、省エネ等住宅で1000万円、それ以外の住宅で500万円まで贈与税がかかりません。
この措置の対象となるのは令和6年1月1日から令和8年12月31日までの間に受けた贈与で、床面積が40平方メートル以上240平方メートル以下であることなどが条件です。
たとえば省エネ等住宅の要件を満たす二世帯住宅を建てる場合、非課税限度額の1000万円に、贈与税の基礎控除110万円を合わせた1110万円までは贈与税がかかりません。
ただし受贈者の年齢が18歳以上であることや、贈与を受けた年の合計所得金額が2000万円以下であることなど細かな要件があるため、事前の確認が欠かせません。
贈与税がかからないからといって、申告をしなくていいわけではありません。
住宅取得等資金の非課税措置は、非課税の枠内に収まっていても税務署への申告が必須で、この点を誤解している人は意外と多いように感じます。
申告を忘れると、後になって非課税措置そのものが認められなくなるケースもあるため注意が必要です。
贈与を受けた翌年の2月1日から3月15日までという申告期間もあらかじめ決まっているため、資金援助を受けた年の年明けには早めにスケジュールを確認しておくと安心でしょう。
また、この制度は直系尊属からの贈与に限られており、配偶者の親からの資金援助では適用されない点も見落とされがちです。
制度の詳細は毎年見直される可能性があるため、実際に活用を検討する際は、国税庁の最新情報を確認し、必要に応じて税理士にも相談しておきましょう。
3. 二世帯住宅化を検討する前に知っておきたい注意点が3つあります
3.1 非課税措置の期限
1つ目は、非課税措置の期限です。
この措置の対象は令和8年12月31日までの贈与に限られており、現時点(令和8年9月)でその後の延長は決まっていません。
二世帯住宅化を検討している場合は、最新の税制改正の動向を確認しておく必要があります。
3.2 1人1回しか使えない
2つ目は、1人1回しか使えないという点です。
国税庁の要件では、過去にこの特例の適用を受けたことがある人は、再び非課税措置を利用できません。
きょうだいがそれぞれ援助を受ける場合など、各自がいつ制度を利用するかを事前に整理しておくとよいでしょう。
3.3 所得・床面積などの要件
3つ目は、所得や床面積の要件です。
非課税措置を受けるには、贈与を受けた年の合計所得金額が2000万円以下であることが必要で、床面積が40平方メートル以上50平方メートル未満の場合は合計所得金額の要件が1000万円以下に引き下げられます。
床面積は40平方メートル以上240平方メートル以下という上限もあるため、二世帯分の広さを確保しようとして条件から外れてしまう盲点には注意が必要です。
4. 同居や介護の分担を考えるうえで見落としやすいのが「老々介護」の実態です
厚生労働省が公表した『2025(令和7)年国民生活基礎調査の概況』によると、在宅で要介護認定を受けている人を支える「主な介護者」のうち、同居している人は46.1%を占めています。
4.1 同居する主な介護者は具体的に誰?
同居の主な介護者の続柄別割合
- 配偶者:22.5%
- 子:18.2%
- 子の配偶者:4.2%
- その他の親族:1.1%
- 父母:0.1%
さらに同調査では、同居して介護している人と要介護者の年齢の組み合わせも明らかになりました。
介護する側とされる側がともに60歳以上である割合は79.0%、ともに65歳以上である割合は61.9%、ともに75歳以上である割合も37.1%にのぼり、介護をする側も高齢である「老々介護」が特別な事例ではなくなっている実態がうかがえます。
同居して間もないうちは生活リズムの違いがストレスの中心でも、年月を重ねるうちに介護の担い手という重い役割へと変わっていく可能性がある点は、意外と意識されていません。
同居は、高齢の親夫婦の一方(配偶者)だけに介護の負担が集中する状況を避けやすくする面があります。
ただし介護を担う子世代自身も年齢を重ねていくため、時間が経てば同じように老々介護に近い状態になり得る点は見落とされがちです。
同居を検討する際は、ストレスの解消だけでなく、将来の介護をどう分担するかについても、できれば元気なうちから話し合っておくとよいでしょう。
5. まとめにかえて|同居のストレスも、お金の話も、家族で早めに
親世代との同居に9割超の人がストレスを感じているという実態は、多くの家庭にとって同居がもはや当たり前の経験ではなくなっていることの裏返しとも言えるでしょう。
別居や二世帯住宅化など、解消のための選択肢を検討する際は、贈与税の非課税措置のような使える制度を確認するとともに、それぞれの世帯の家計や将来の介護分担についても具体的に話し合っておくことが大切です。
制度の詳細は毎年変わる可能性があるため、実際に検討する際は最新の情報を確認しましょう。
同居をめぐる悩みは、程度の差こそあれ多くの家庭に共通するテーマだと感じています。
別居を選ぶにしても、二世帯住宅化を選ぶにしても、大切なのは家族それぞれの事情に合わせて早めに話し合っておくことではないでしょうか。
お金の制度は、知っているかどうかで受けられる恩恵が大きく変わってきます。
特に住宅取得等資金の非課税措置のように期限が区切られている制度は、検討を先延ばしにしているうちに対象外になってしまうこともあり得るでしょう。
今回ご紹介した贈与税の非課税措置や介護の実態も参考にしながら、ご自身やご家族に合った暮らし方を、無理のない範囲で見つけていただければと思います。
