「地球史上最大の超大型台風接近!不要な外出は避けましょう!」そう表示されたスマホのニュースサイトをみながら悩む中堅社員の主人公。実は明日、主人公の会社のある地域を、超大型台風が通過するという天気予報が出ていたのです。公共交通機関も計画運休を発表しています。それなのに会社からは何のアナウンスもなし。出社すべきか否か…。
しばらく悩んだ末に、主人公が出した結論は、「仕事も一段落しているし、命を守る方が先決。さすがに明日は有給休暇を使って休もう」。早速係長にお伺いを立てに行きますが、係長の返事は「台風ぐらいで有休?何言ってるんだ。何とかして出社しろ。俺が若いころは、嵐の中を泳ぐようにして出社したものだ。」と、取り付く島もありません。
「ええ~?! それで怪我でもしたらどうするんだよ…」と心の中でつぶやく主人公。そして、脳内で妄想スイッチが入ります。
嵐の中、傘をさして出社する主人公。しばらく進んでいくと、出社中の係長に遭遇します。「係長、おはようございます。」と挨拶をすると、係長は余裕の笑みを浮かべて、「おはよう!道具に頼るなんて、キミはまだまだ甘いなあ。」と返事をします。…なんと、係長は両手両足を広げて風に乗り、空を泳ぐように出社していたのです!「いや、でも人間が空に飛ばされるレベルだと、会社もなくなってるだろ…。」(妄想終了)
観念した主人公は、有給休暇を取ることは諦め、今日は会社の近くに宿泊することにしました。
ため息がちに自席に戻ると、今度は新人女子が「係長ご相談が。」といいながら、チームメンバー数人をぞろぞろと引き連れて、係長のもとに向かっています。「台風じゃ有給休暇は使えないからね。」と予防線を張る係長に、新人女子が代表して答えます。
「いえ、出社のための相談です。明日は休めないと聞きましたので、チーム全員、係長のお家に泊めていただけないでしょうか?たしか、会社から5分の距離でしたよね?会社から宿泊費も支給されませんし…。よろしくお願いします!」
最近では、台風などの予報が出ると、安全性と職務の効率の観点から、「無理して出社はしなくていい。」という指示を出す会社も増えてきましたが、それでもまだまだ「台風でも出社」を美徳とする風潮が残る会社も多いようです。ただ、この係長のように、自分は出社できる環境にあるからと、ほかの出社が困難な部下にまで、「無理してでも会社に来い。」と強要するという態度は、はてさて、いかがなものでしょうか。
新人女子の「自己中な上司に身をもって犠牲を体験してもらう」作戦の是非はさておき、出社困難な台風や大雪でも休みが認めてもらえないと嘆いている読者の中には、思わずニヤリとしてしまった方もいるのではないでしょうか。次回もどうぞお楽しみに。
【マンガ記事】妄想シャイン
入社3年目でようやくこなれてきたサラリーマンの主人公は、ストレスが溜まるとひたすら妄想しながら乗り切る、妄想社員。オフィスでよくある、ちょっとしたイライラやモヤモヤを、今日も妄想しながら乗り切ります。
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