4. 働く75歳以上の後期高齢者医療の保険料は、給与所得の分だけ所得割が増える
給与は窓口負担割合だけでなく、後期高齢者医療の保険料にも反映されます。保険料の決まり方から確認します。
4.1 保険料は均等割額と所得割額の合計
後期高齢者医療の保険料は、被保険者一人ひとりに均等割額と所得割額を合わせてかかります。所得割額は、総所得金額等から基礎控除の43万円を差し引いた額に、所得割率をかけて計算します。
厚生労働省によると、令和8・9年度の全国平均は、均等割額が年5万6083円、所得割率が10.17%です。令和8年度からは子ども・子育て支援金分として、均等割額年1351円・所得割率0.25%が加わりました。
4.2 給与所得が10万円増えると所得割は年約1万円増える
全国平均の所得割率10.17%で計算すると、給与所得が10万円増えるごとに、所得割額は年1万170円増えます。料率は広域連合ごとに違うため、実際の額はお住まいの地域の料率で確かめてください。
先ほどの週20時間の例で給与所得が48万4080円なら、所得割額は年4万9231円増える計算です。所得金額調整控除で10万円少なくなる場合は、年3万9061円です。
5. 【確認したいこと】働き方を変える前に、後期高齢者医療の窓口で聞いておく2つのこと
給与が増えたことが後期高齢者医療に反映されるまでには時間差があります。働き方を決める前に、次の2つを確かめておくと慌てずに済みます。
5.1 切り替わるのは翌年8月の判定から
窓口負担割合は前年の所得で判定し、毎年8月1日を基準日に切り替わります。10月以降に上がった時給で働いた分は、その年の所得に入り、翌年8月からの判定に使われます。
5.2 3割と判定されたら基準収入額適用申請ができるか
給与が増えて課税所得が145万円以上になっても、収入の合計が単身で383万円未満なら、基準収入額適用申請で1割または2割になります。申請が必要かどうかは、届いた通知とあわせて確かめておきましょう。
給与所得を含めた判定や保険料の見込みは、お住まいの市区町村の後期高齢者医療の担当窓口か、都道府県の後期高齢者医療広域連合に相談してみてください。
6. まとめ
75歳以上の方は、会社で働いていても後期高齢者医療制度の被保険者です。給与の所得は、窓口負担割合の判定と保険料の所得割の両方に入ります。
令和8年度の最低賃金の全国加重平均1177円で試算すると、年金収入180万円の単身の方は、週10時間なら1割のままですが、週20時間なら年金収入とその他の合計所得金額の合計が200万円を超え、課税所得が28万円以上なら2割の判定になります。
切り替わるのは翌年8月からです。働き方を変える前に、市区町村や後期高齢者医療広域連合の窓口で、判定と保険料の見込みを確かめておきましょう。
参考資料
- 厚生労働省「全ての都道府県で地域別最低賃金の改定額が答申されました」
- 厚生労働省「窓口負担2割の対象となるかどうかの主な判定の流れ」
- 厚生労働省「後期高齢者医療制度の令和8・9年度の保険料率について」
- 東京都後期高齢者医療広域連合「自己負担割合」
- 日本年金機構「新たに法人事業所を設立し、役員報酬を受け取ることにしました。現在75歳で後期高齢者医療保険に加入しており、厚生年金も受給しているため、社会保険の手続きはしなくてもよいでしょうか。」
- 大阪市「令和9年度から実施される市民税・府民税の税制改正について」
- 国税庁「No.1411 所得金額調整控除」
太田 彩子