75歳になると、それまで入っていた健康保険から後期高齢者医療制度に移ります。保険料は一人ひとりに計算され、年間の上限額が決まっています。
厚生労働省は令和7年12月12日の社会保障審議会医療保険部会で、この上限額を80万円から85万円へ引き上げる案を示しました。令和8年度、つまり2026年4月からの保険料に適用されています。
この記事では、上限額がどう変わってきたのかと、上限に届くのは収入がいくらの人なのかを確認していきます。
1. 【後期高齢者医療】保険料は均等割額と所得割額の合計で決まる
上限の話に入る前に、保険料の決まり方を確認します。後期高齢者医療制度の保険料は、世帯単位ではなく一人ひとりに計算されます。
1.1 全員が同じ額を負担する均等割額
均等割額は、加入している人が同じ額を負担する部分です。所得の低い人には、世帯の所得に応じて7割・5割・2割の軽減があります。
1.2 所得に応じて変わる所得割額
所得割額は、前年の所得に保険料率を掛けて計算する部分です。厚生労働省の資料によると、保険料は均等割と所得割をおおむね半分ずつ賦課する設計になっています。
令和8年度の賦課限度額を検討した資料でも、年間保険料に占める割合は所得割が52%、均等割が48%と示されています。
2. 後期高齢者医療の保険料の上限は4月から85万円
この均等割額と所得割額を足した年間保険料には、上限が設けられています。これを賦課限度額といいます。
2.1 80万円から5万円の引き上げ
医療分の賦課限度額は令和6・7年度の80万円から、令和8年度は85万円になりました。引き上げ幅は5万円です。
制度が始まった平成20年度は50万円でした。そこからの推移は次のとおりです。
- 平成20年度:50万円
- 平成24年度:55万円
- 平成26年度:57万円
- 平成30年度:62万円
- 令和2年度:64万円
- 令和4年度:66万円
- 令和6・7年度:80万円
- 令和8年度:85万円
令和6年度に66万円から80万円へ一気に上がった経緯があります。このときは激変緩和措置として、新規加入者を除いて令和6年度は73万円とされていました。
2.2 医療分とは別に子ども・子育て支援納付金の賦課分がある
ここまでの金額は医療分の賦課限度額です。令和8年度からは子ども・子育て支援納付金が新たに設けられ、その賦課限度額は別に定められます。
この記事で扱う85万円は、あくまで医療分の上限です。
3. 後期高齢者医療の保険料が上限に届くのは年金収入いくらの人か
では、実際に上限まで保険料がかかるのはどのくらいの収入がある人なのでしょうか。厚生労働省が同じ資料で示しています。
3.1 年金収入だけなら1021万円
令和6・7年度の全国平均料率(均等割額5万389円・所得割率10.21%)で算定した場合、賦課限度額に達する収入は次のとおりです。
- 上限80万円のとき・年金収入だけの場合:収入971万円(年金所得777万円)
- 上限85万円のとき・年金収入だけの場合:収入1021万円(年金所得826万円)
- 上限80万円のとき・年金と給与が同程度の場合:収入1090万円
- 上限85万円のとき・年金と給与が同程度の場合:収入1150万円(年金所得420万円・給与所得406万円)
年金収入だけで1021万円という水準です。上限に届く人はかぎられます。
3.2 上限に達しているのは1.21%の見込み
厚生労働省の資料によると、賦課限度額を超える被保険者の割合は令和6年度が1.38%、令和7年度が1.27%(速報値)でした。
令和8年度は、80万円に据え置いた場合が1.33%、85万円に引き上げた場合が1.21%と推計されています。上限を上げることで、超える人の割合は下がる見込みです。
役場で保険料の計算を担当していた頃、上限に達する方は全体のごく一部でした。
そのぶん、上限がいくらかという話は中ほどの所得の方の負担にも関わってきます。
