3. 令和8年4月から、被扶養者の年収は労働契約の内容で見込むようになった
被扶養者の年収の基準を考えるときは、どの金額で判定されるのかも大切です。令和8年4月から始まった取り扱いを確認します。
3.1 労働条件通知書の時給・労働時間・日数から年収を見込む
厚生労働省のQ&Aでは、労働条件通知書などに書かれた時給・労働時間・日数から出した年間収入の見込額が130万円未満であれば、基準を満たすとしています。給与収入だけであることの申立ても必要です。
この取り扱いは、認定日が令和8年4月1日以降のものに適用されます。年金収入など給与以外の収入がある方は、従来どおり給与明細書や課税(非課税)証明書などで判定します。
3.2 契約にない残業代は年間収入に含めない
労働契約に明確な定めがなく、契約の段階では見込みにくい時間外労働の賃金は、年間収入に含めないとされています。諸手当や賞与は賃金に含まれます。
結果的に残業代で130万円以上になっても、社会通念上妥当な範囲にとどまるなら、それを理由に認定を取り消す必要はないとされています。
3.3 時給が変わったら労働条件の書面を出し直す
Q&Aでは、労働契約の更新や労働条件の変更があった場合は、その都度、内容が分かる書面の提出を求めるよう保険者に示しています。最低賃金の改定で時給が変わるときも、新しい条件で年収を見込み直すことになります。
4. 被扶養者から外れたら、勤め先の健康保険か国民健康保険に入る
年収が基準以上になると、被扶養者のままではいられなくなります。そのあとどの医療保険に入るのかも確認しておきます。
4.1 勤め先の健康保険に入るかは別の基準で決まる
勤め先の健康保険に入るかどうかは、週の所定労働時間が20時間以上であることなどの要件で決まります。日本年金機構は、そのうち月額8万8000円以上という賃金の要件を令和8年10月に撤廃する予定と案内しています。
この要件は、被扶養者の年収130万円の基準とは別のものです。勤め先の健康保険に入ると本人が被保険者になるため、被扶養者からは外れます。
4.2 国民健康保険には扶養の仕組みがない
国民健康保険には被扶養者の仕組みがなく、家族も一人ひとりが被保険者になり、それぞれに均等割がかかります。
勤め先の健康保険に入らない場合は、国民健康保険に加入します。大阪市の案内では、会社などの健康保険をやめたときは世帯主が14日以内に届け出ることになっています。
4.3 働く時間を増やす前に、2つの窓口で確かめる
被扶養者でいられるかは家族の勤め先の健康保険(協会けんぽや健康保険組合)、国民健康保険料の見込みはお住まいの市区町村で確かめられます。手取りと保険料の両方を見比べてから、働く時間を決めていきましょう。
5. まとめ
健康保険の被扶養者になれる年収の基準は原則130万円未満で、19歳以上23歳未満は150万円未満、60歳以上などは180万円未満です。
令和8年度の最低賃金の全国加重平均1177円で試算すると、130万円に届くのは週21.2時間、150万円は週24.5時間です。時給1121円のときより1時間ほど短くなります。
令和8年4月からは労働契約の内容で年収を見込むため、時給が変わったら新しい条件を勤め先の健康保険に伝えることになります。迷ったときは、家族の勤め先と市区町村の窓口に相談してみてください。
参考資料
- 厚生労働省「全ての都道府県で地域別最低賃金の改定額が答申されました」
- 厚生労働省「労働契約内容による年間収入が基準額未満である場合の被扶養者の認定における年間収入の取扱いに係るQ&A(第2版)について」
- 日本年金機構「19歳以上23歳未満の方の被扶養者認定における年間収入要件が変わります」
- 日本年金機構「労働契約内容による年間収入での被扶養者の認定の取り扱いについて」
- 日本年金機構「短時間労働者に対する健康保険・厚生年金保険の適用の拡大」
- 厚生労働省「国民健康保険の保険料・保険税について」
- 大阪市「就職・退職に伴う国民健康保険の手続き」
- 日本年金機構「短時間労働者に対する健康保険・厚生年金保険の適用拡大」
太田 彩子