令和8年5月に医療保険制度改正法が成立したとき、高額療養費の年単位の上限がいつから始まるのかは示されていませんでした。
厚生労働省が2026年7月31日に更新したページで、その時期が令和8年8月と明らかになりました。あわせて令和9年8月にもう一段の見直しが入ることも示されています。
この記事では2段階の見直しの中身を確認したうえで、住民税非課税が複数の支援の基準になっている理由を見ていきます。
1. 【高額療養費】年間上限は令和8年8月から。所得区分の細分化は令和9年8月から
今回の見直しは、時期が2つに分かれています。順に見ていきます。
1.1 令和8年8月からは月額の上限額の見直しと年間上限
厚生労働省によると、令和8年8月からは低所得者の負担に配慮しつつ、一人当たり医療費の伸びに応じて月額負担上限額を見直すこととされています。
そして令和8年7月までの制度では月単位の上限額でしたが、令和8年8月からは新たに年単位の上限額を設ける「年間上限」が設けられました。
月ごとの自己負担額が積み上がっても、年間の上限額に達した後は、それ以上の医療費については保険者から還付を受けることができます。ここでいう年間とは、8月から翌年7月までを指します。
1.2 令和9年8月からは所得区分の細分化
2つめの段階は翌年です。
令和9年8月からは、応能負担という観点に基づき、所得区分をよりきめ細かいものとするため、現在の限度額から著しく増加することがないよう配慮しつつ、所得区分の細分化を行うこととされています。
あわせて低所得者への配慮の観点から、「年収200万円未満の課税世帯」の多数回該当の金額が引き下げられます。引き下げ幅は同25%です。
1.3 多数回該当の金額は据え置き
変わらない部分もあります。
多数回該当とは、直近12か月の間に高額療養費に該当した月が3か月以上ある場合に、4か月目以降は自己負担限度額が更に軽減される仕組みです。
今回の見直しでは、長期に継続して治療を受けられている方の経済的負担を増加させないために、この多数回該当の金額を据え置くこととされています。
つまり見直しの方向は一律ではありません。厚生労働省は、主に療養期間が短期の方に追加の負担をお願いする一方で、長期療養者や低所得者へのセーフティネット機能を強化するという整理をしています。
1.4 年間上限が置かれた理由
厚生労働省は、年間上限を設けた狙いも書いています。
長期にわたり治療を継続されている方が不安に感じる「将来の医療費負担」に見通しを立てやすくなるよう、新たに年単位の上限額を設けるとされています。
月ごとの上限だけでは、来月も来年も同じ額がかかり続けるのかという見通しが立ちません。年で天井が決まれば、1年分の負担の上限が見えるということです。
1.5 令和8年8月からの上限額の例
金額の目安も示されています。
令和8年8月からの制度においては、70歳未満・年収約370万円から約510万円の方であれば、医療費100万円の治療を受けた場合、自己負担は約9.3万円まで抑えられます。
この上限額を窓口の支払いに反映させるには、マイナ保険証を利用するか、事前に「限度額適用認定証(認定証)」を入手する必要があります。交付手続きの問い合わせ先は、加入している健康保険組合、協会けんぽ、または市町村(国民健康保険・後期高齢者医療制度)などです。
自分がどの所得区分に当たるかは加入している保険者で確認できます。制度は今後も見直しが予定されていますので、詳しくは加入先の窓口にご確認ください。
なお、住民税非課税が複数の制度の基準になっている理由や、非課税かどうかの確認方法に関する詳しい解説は、下記の記事より一部を引用・参照しています。


