4. 国民健康保険から勤め先の健康保険に移ったら、国民健康保険をやめる届出がいる

定年退職後にいったん国民健康保険に入り、そのあとパートで勤め先の健康保険に加入することもあります。そのときは、国民健康保険の側でも手続きが必要です。

4.1 世帯主が14日以内に市区町村へ届け出る

会社などの健康保険に加入したときは、世帯主が14日以内に届け出ます。持参するのは、健康保険の資格を確認できるものや、キャッシュカードまたは通帳と印鑑などです。

例えば大阪市は、マイナ保険証を持っている人が新たに会社等の健康保険へ加入したときの国民健康保険の資格喪失の手続きを、行政オンラインシステムでもできるとしています。手続きの方法は市区町村によって違うため、お住まいの市区町村の案内を確かめてください。

4.2 届け出ないまま国民健康保険で受診すると医療費を返すことになる

大阪市は、国民健康保険をやめたあとに届出をせずに医療機関にかかった場合は、医療費を返還してもらうとしています。勤め先の健康保険に入ったら、早めに国民健康保険の届出を済ませておきましょう。

反対に、退職して国民健康保険に入る届出が遅れた場合は、加入すべきときまでさかのぼって保険料を納めることになります(大阪市の案内では最長2年間分)。

5. 家族の被扶養者でいられるかは年収だけでなく勤め先の保険でも変わる

定年退職後に配偶者などの被扶養者になっている方が、パートで働き始めるときにも確かめておきたい点があります。

5.1 勤め先の健康保険に入れば被扶養者からは外れる

パートで働き、勤め先の健康保険の加入要件を満たすと、本人が被保険者になります。日本年金機構の案内では、被扶養者に異動があったときは、被保険者が事業主を経由して被扶養者(異動)届を提出します。

賃金の要件が撤廃される予定の10月以降は、週20時間以上で働くかどうかが、被扶養者のままでいられるかを分けることになります。

5.2 年収180万円の基準は今回の見直しとは別

60歳以上の方が被扶養者になれる年収180万円未満という基準は、被扶養者の認定の基準です。今回撤廃が予定されている月額8万8000円は、勤め先の健康保険に入るかどうかの要件で、2つは別のものです。

週20時間未満で勤め先の健康保険に入らない場合でも、年収が180万円以上になれば、被扶養者の要件は満たさなくなります。

5.3 保険料を比べてから働き方を決める

勤め先の健康保険に入ると、給与から保険料が差し引かれるようになります。国民健康保険料の見込みは市区町村の窓口で、任意継続の保険料は加入していた健康保険で確かめられます。

どの保険に入るかで手取りや家族の保険料も変わるため、勤め先の担当者や市区町村の国民健康保険の窓口に早めに相談してみてください。

6. まとめ

定年退職後の健康保険には、勤め先の健康保険、任意継続、国民健康保険、家族の被扶養者の4つの入り方があります。任意継続は退職日の翌日から20日以内、国民健康保険は14日以内の手続きが目安です。

短時間で働く人が勤め先の健康保険に入る要件のうち、月額8万8000円以上という賃金の要件は令和8年10月に撤廃される予定です。週20時間以上などの要件を満たせば、勤め先の健康保険に入ることになります。

国民健康保険から勤め先の健康保険に移ったときは、国民健康保険をやめる届出も必要です。働き方を変える前に、勤め先と市区町村の窓口で手続きと保険料を確かめておくと安心です。

参考資料

太田 彩子