5. 【家計調査】65歳以上の単身無職世帯の消費支出は月14万8445円。遺族年金のモデルケースで足りるか
1ページ目で出した年金の合計を、実際の暮らしの支出と並べてみます。使うのは、総務省統計局の家計調査(家計収支編)の2025年平均です。
FPとして家計のご相談をお受けしてきたなかでも、年金の額そのものより「毎月いくら足りなくなるのか」を知りたいというご質問は多くありました。
5.1 実収入13万1456円のうち、社会保障給付は12万212円
家計調査の「高齢単身世帯のうち無職世帯」は、65歳以上の単身世帯のうち無職の世帯です。2025年平均の実収入は、ひと月あたり13万1456円でした。世帯主の平均年齢は77.8歳です。
実収入のうち、公的年金などの社会保障給付は12万212円で、実収入の9割あまりを占めています。
5.2 可処分所得11万8465円に対して、消費支出は14万8445円
税金や社会保険料にあたる非消費支出は1万2990円で、可処分所得は11万8465円です。
食費や住居費などの消費支出は14万8445円で、可処分所得を2万9980円上回りました。可処分所得に対する消費支出の割合(平均消費性向)は125.3%です。
- 実収入:13万1456円
- うち社会保障給付:12万212円
- 非消費支出:1万2990円
- 可処分所得:11万8465円
- 消費支出:14万8445円
- 不足分:2万9980円
消費支出の内訳では、食料が4万2545円で最も多く、教養娯楽が1万6132円、光熱・水道が1万5565円、交通・通信が1万3601円でした。
5.3 モデルケースの年金を当てはめると、毎月約2万287円届かない
1ページ目のモデルケースで、自分の老齢厚生年金が年46万404円以下の場合、年金の合計は年153万7906円、月あたり約12万8158円です。
2025年平均の消費支出14万8445円と並べると、毎月約2万287円届かない計算です。年間では、消費支出の12か月分にあたる178万1340円に対して24万3434円足りません。
年金額は令和8年度、家計調査は2025年の数値で、年がずれている点には注意が必要です。また、この比較は年金から介護保険料などが差し引かれる前の額で行っています。
5.4 自分の老齢厚生年金が年60万円あれば、届かない額は月約1万4470円に縮む
自分の老齢厚生年金が年60万円のケースでは、合計は年160万7704円、月あたり約13万3975円です。消費支出14万8445円に対して届かない額は月約1万4470円、年間では17万3636円になります。
合計が増えるのは、自分の老齢厚生年金のうち年46万404円を超えた部分の2分の1だけです。自分の厚生年金の加入期間が長いほど、遺族厚生年金を含めた合計が消費支出に近づきます。
自分の老齢厚生年金の見込額は、ねんきん定期便やねんきんネットで確かめられます。
6. まとめ
平均標準報酬額35万円・480月加入の夫のモデルケースでは、遺族厚生年金は年69万606円です。65歳以上の妻は、自分の老齢基礎年金の年84万7300円と合わせて、自分の老齢厚生年金が年46万404円以下なら年153万7906円、年60万円なら年160万7704円を受け取ります。
家計調査の65歳以上の単身無職世帯では、2025年平均の消費支出が月14万8445円で、可処分所得を2万9980円上回っていました。モデルケースの年金を当てはめると、毎月約1万4470円から約2万287円届きません。
自分の年金の見込額と毎月の支出を並べておくと、貯蓄をどのくらい取り崩すことになるかの目安がつかめます。遺族年金の額は、年金事務所で確かめておくと安心です。
参考資料
- 日本年金機構「遺族厚生年金(受給要件・対象者・年金額)」
- 日本年金機構「遺族基礎年金(受給要件・対象者・年金額)」
- 日本年金機構「老齢基礎年金の受給要件・支給開始時期・年金額」
- 日本年金機構「報酬比例部分」
- 総務省統計局「家計調査 家計収支編 総世帯 詳細結果表 年次 2025年」
村岸 理美