高齢となった親の老後や自分の「もしもの時」について、具体的に話し合ったことはありますか?「終活」と聞くと「お墓」「葬式」「遺言書」など、「死」を考えるため後ろ向きの備えのように感じます。しかし、終活できるということは自分の人生を考える余裕があることを意味し、望む最期を選べるメリットでもあるのです。
SBIグループが実施した「終活に関するアンケート調査(第2回)*1」によると、終活として『すでに行ったこと』『これから行いたいこと』を含めると以下のような結果が分かりました。
終活を行う人の具体的な行動(複数回答、上位順)
1. お金の準備(保険等) 70.8%
2. 物の整理、片付け 69.7%
3. (旅行や趣味など)いまの人生を楽しむこと 44.3%
4. お葬式の準備 42.5%
5. 介護、延命治療などの意思表示 36.6%
6. お墓の準備 35.8%
7. エンディングノートの作成 26.8%
8. 遺言書の作成、相続の準備 23.4%
まず、『お金の準備(保険等)』や『物の整理、片付け』など、身辺整理がトップに来ています。それに続いて『いまの人生を楽しむこと』が上位にある点が特徴だといえるでしょう。
ライフプランにも役立つ「遺言書」
「遺言書」は、作る際に口座の残高情報など、家計全体を把握する必要があります。遺言書を作成する予定の無い方であっても、貯蓄や借入金、利用先を一覧表にしておくと、もしもの時に安心です。近年、ネットバンクを契約している方も多いため、遺族が契約に気づけない可能性もあります。預金残高やクレジットカードの契約情報は生活設計にも役立ちます。
公的な遺言書「公正証書遺言」
本格的な遺言書として、「自筆証書遺言」と「公正証書遺言」があります。「自筆証書遺言」は、手続きに沿って自筆で作成した遺言書です。「公正証書遺言」は、公証役場で公証人に作成してもらう遺言書で費用は数万円。公証人のチェックを受けるため不備がなく安心です。
民法改正で利用しやすくなった「自筆証書遺言」
「自筆証書遺言」は、これまで紛失などのリスクもありましたが、2018年の「相続法の改正」により法務局での保管が可能となりました。また、偽造を防ぐために遺言書はすべて自筆と義務づけられていましたが、パソコン等で作成した「財産目録」や銀行通帳のコピーの添付も認められるようになっています
法定相続人以外の人に財産を譲った場合の「遺留分」
「遺言書」を作成すれば法定相続人以外の人に財産を譲ることも可能です。ただし、本来の法定相続人には「遺留分」の請求が認められています。遺留分とは、亡くなった人の法定相続人が最低限相続できる権利です。
《遺留分の例》
相続人が配偶者のみの場合/子のみの場合…各2分の1
相続人が配偶者と子の場合…各4分の1
相続人が直系尊属のみの場合…直系尊属3分の1
相続人が兄弟姉妹のみの場合…遺留分なし
※遺族が遺留分の請求をする際は、遺留分を侵害する相続および遺贈や贈与があったことを知った日から1年間。