現代は、倍率が高くて墓地を購入できない、遺族が少なく墓を維持できないなど、問題が起きやすくなっています。墓の在り方や供養方法についてアンケート結果を見てみましょう。全石協(全国石製品協同組合)が40代以上の男女266人を対象行った「お墓に関するアンケート調査」(2017年5月公表)によると、希望するお墓の形態については以下のようになりました。
《希望するお墓の形態》
平面墓地(一般的な墓地)59.8%
永代供養墓(寺院などが管理)22.9%
散骨7.1%
お墓はいらない5.3%
《このうち「お墓の継承者がいる」と答えた人》
平面墓地81.1%
永代供養墓13.5%
お墓はいらない2.7%
散骨を希望する2.7%
《「継承者がいない」という人》
平面墓地を希望する人44.5%
散骨を希望する人10.3%
このように、継承者がいない状況であっても平面墓地を希望する方が半数近くいることが分かります。散骨に関してはまだまだ少数派であることが分かります。
(1) 墓の「生前購入」と相続税
故人の遺産は相続税の対象になりますので、亡くなる前に自分のお墓を購入しておけば遺産総額も少なくなります。
一般的な墓石を建てるお墓の場合、「墓石の費用+工事費+墓石を建てる場所の永年利用権」で、平均金額は200万円といわれています。地域によっては墓地不足や墓石の価格に差があり高額になる可能性もあります。葬式費用を含めると、かなりまとまった金額になる見込みです。
ただし、生前に自分の判断で墓を建てておいても、遺族にとって場所的に不都合な場合があります。相続税対策として役立つこともありますので、「お墓をどうするか」身内で検討しておきましょう。
(2)「永代供養墓」「室内型墓地」
高額な墓に代わって普及しているのが永代供養墓です。お寺や霊園の墓石を利用するタイプで、小型墓所タイプ、屋内に墓石を置く室内型墓地、納骨堂などがあります。生前の契約も可能なところがあり、墓守もしてもらえるため安心感が高まっているようです。
(3)「墓じまい」「改葬」と「散骨」
故郷の先祖代々の墓も、守る人が少なくなると維持できません。「墓じまい」をせざるを得なくなったり、墓所・墓石を移転する「改葬」が必要になるケースもあります。とくに改葬の場合は金銭的にも手続き的にも大きな負担になります。故郷の墓を希望していても、遺族の負担となることもあるのです。
しかし、「散骨」などで弔ってもらった場合でも、遺された側は「やはりお墓の方がよかったのでは」と後悔してしまうことも。墓は重要な問題を抱えているのです。
さいごに
人生100年時代。終活は残された時間をより良く生きるための準備にもつながります。自由に動けるうちに身辺整理をしておくことも重要でしょう。ご自身や親の終活について、思いを巡らせてみてはいかがでしょうか。
LIMO編集部