先の「人生100年時代」と聞いてどう考えるかについては、「自分とは関係ない」「特に行動を起こそうとは思わない」と回答した割合が他の性別年代に比べても高く、また「人生100年時代」に対しての思いも「幸せに思う」と回答した割合がひときわ低い結果に。さらに、人生100年時代を「負担に思う」「長生きしなくても大丈夫だと思う」と回答した人も非常に多くなっています。

2017年に株式会社リサーチ・アンド・ディベロプメントが終の棲家に関して行った意識調査では、「現在の家に最期まで住み続ける」や「ゆくゆくは別の住まいに転居するつもり」などの選択項目がある中、30代から40代女性までは約半数が「わからない」と回答。

これが50~54歳女性になると36%にまでガクンと減少します。女性は今の家に住み続けるか移り住むかといった老後に向けたプランを、50才を境に具体的に考え始めていることがうかがえます。人生の折り返し地点にさしかかったことで、既婚未婚を問わず、子どもやパートナー、友人など、終焉をどこで誰と過ごしたいかをリアルに捉え始めるのが50代女性のようです。

このように老後の暮らしや自身の終焉を楽観的ではなく現実的に見据え始める時期だからこそ、今回の調査結果で出たのは「自分事として考えない」のではなく、「長生きについて考えることは大変だ」という彼女たちの正直な感覚なのかもしれません。

人生100年時代を幸せだと思えない若者は少なくない

50代女性においてはネガティブな意識が目立った「人生100年時代」に対する思いは、若い層とシニア層では「幸せだと思う」と回答した人がとりわけ多くなるという結果に。男女ともに40~50代のちょうど中間層では「幸せ」と「負担」が半々となっています。

今回の調査では、20~30代の若年層における人生100年時代の備えやポジティブな意識が高かった結果が目立ちました。しかし、厚生労働省が発表した平成30年版「自殺対策白書」では、10歳~39歳までの死因1位は「自殺」となっています。

老後への備えの意識が高い若年層が多く見られた一方で、将来への不安な思いが強すぎるあまりに、「生きたくない」と考える若年層も多くいるのでしょう。

実際に内閣府の実施した「我が国と諸外国の若者の意識に関する調査」(平成30年度)では、将来に希望があると答えた日本人は61.6%でした。アメリカ(91.8%)、スウェーデン(90.8%)、イギリス(89.8%)、韓国(86.4%)と比べても、圧倒的に自分の将来に希望を見出していない若者が多いことがわかります。

いずれの年代においても、マクロの話では雇用や賃金、社会保障などの社会問題が、ミクロの話では夫や子ども、住まいなど家庭内の問題などがそれぞれに繋がって渦を巻きながら、「人生100年時代」に対する人々の意識に繋がっていることがわかった今回の調査結果。皆さんは「人生100年時代」に対してどう考えますか?

秋山 悠紀