税金として納める先ほどの400円分について、投資などで埋め合わせをすることは可能でしょうか。この場合、元本は600円です。投資で1000円にするには約66%の利益が必要になります(譲渡益にかかる税金等は除く)。

どのような高金利であっても、これだけの投資利益を出すのは容易ではありません。この重みを知ることで、お金の使い方で迷うことが少なくなるのではないでしょうか。「節約」とは、非常に簡単かつ確実な方法であることが分かります。

節約の「NGパターン」と「効果の高い」節約法

お金を貯めるために節約が基本となることが分かりました。まず「目標」を立てて節約に取り組んでみましょう。ただ、節約のなかには非効率になる方法もあるのです。節約のNGパターンと、効果の高い節約法について見ていきましょう。

NG節約法(1)人間関係に影響する節約

人との付き合いには、何かとお金がかかってしまうもの。ときには、お見舞いやご祝儀などで出費が重なることもあるでしょう。金額が大きい部分ですが、人間関係に影響があるものについては支出を迷うべきではありません。削ろうとするとあなたの人格や常識を疑われることになります。注意していきましょう。

(2)自分の可能性を狭める節約

専門分野を学んだり、資格の取得に挑戦することで、能力やスキルを高めることができます。得られたスキルは人生に活かすことができるはずです。

そのため、節約を考えてスキルアップをあきらめてしまうのは考えものです。節約は他にも方法がありますが、スキルアップや適性分野は限られています。自分のためになると思う分野にはお金をかけていきましょう。そして他の部分の節約で自分への投資費用や学習時間を捻出していきましょう。

(3)時間・労力をかけすぎる節約

お弁当を作って持参したり、少ない食材で食事を工夫したり。節約の代表格ですが、手作りに時間をかけすぎてしまう場合は時間と効果の面を考えてみましょう。安い製品を求めて店舗をハシゴするなどの方法も見直してみましょう。

節約は行動と効果とのバランスを

このように節約していく場合は、かける労力と効果の面を考えていきましょう。「まとめ買い」も必ずしもお得とは限りません。予算をオーバーしてしまったり、結局使わないままというケースもあるのではないでしょうか。貯蓄が安定するまでは自分にとって必要な量、実際に使う量だけに支出するようにしましょう。

おすすめ「効果の高い節約法」

次に、効果の高い節約法についてご紹介します。取り組むことで高い節約効果を見込めそうです。

(1)加入している契約を見直す

契約している生命保険や医療保険、有料サービスを見直してみましょう。とくに保険関連は、保障内容が重複していたり、契約内容が過剰になっている可能性もあります。その他のサービスについても格安プランなどを検討してみましょう。固定費の見直しは時間がかかりますが、一度手をかけることで毎月の支出を抑えることができます。

(2)クレジットカードの引き落とし

普段の買い物を振り返って、収入に見合う使い方かどうかを見直してみましょう。

「クレジットカードだと、ついつい使いすぎてしまう」という人は、毎月の収支が安定するまではクレジットカードの利用を控えるようにします。また、返済予定額はWeb で早めに確認できます。給料日になったら、引き落とし分を早めに口座に移して管理しておきましょう。

(3)シェアリングサービスを活用する

最近では自転車、自動車、家電、洋服、アクセサリー、バッグなど、さまざまなシェアリングサービスが出てきています。

たとえば自動車の場合、購入すれば初期費用、駐車場代、保険代、車検費用など維持するだけでもかなりの金額になりますが、カーシェアやカーリースの利用であれば負担も少なくて済みます。
その他、必要な時だけサービスを使ってみて、購入する価値があるか、それともレンタルでも十分か判断するのも良いでしょう。

さいごに

所得が上がっても実収入が増えにくいという税制上の仕組みを知っていれば、節約が第一の貯蓄方法であることがわかります。少額の買い物でも自分自身の価値基準で判断していくことが大切です。適切な節約をして、楽しく貯蓄を増やしていけると良いですね。

【参考】
*1 『平成31年度の国民負担率を公表します』財務省
*2 『No.2260 所得税の税率』国税庁
*3 『年収1000万円超狙い撃ち こんなに違う所得税』日本経済新聞

【ご参考】貯蓄とは

総務省の「家計調査報告」[貯蓄・負債編]によると、貯蓄とは、ゆうちょ銀行、郵便貯金・簡易生命保険管理機構(旧郵政公社)、銀行及びその他の金融機関(普通銀行等)への預貯金、生命保険及び積立型損害保険の掛金(加入してからの掛金の払込総額)並びに株式、債券、投資信託、金銭信託などの有価証券(株式及び投資信託については調査時点の時価、債券及び貸付信託・金銭信託については額面)といった金融機関への貯蓄と、社内預金、勤め先の共済組合などの金融機関外への貯蓄の合計をいいます。

LIMO編集部