4. 65歳以上で働く人の半数はパート・アルバイト

ここまでは正社員を含めたフルタイムの賃金を見てきました。ただ、65歳以上の働き方はフルタイムばかりではありません。

4.1 非正規の職員・従業員が76.1%を占める

2025年の65歳以上の就業者943万人のうち、役員を除く雇用者は586万人で全体の62.7%でした。自営業主・家族従業者が239万人(25.6%)、会社などの役員が109万人(11.7%)と続きます。

役員を除く雇用者586万人を雇用形態別にみると、正規の職員・従業員が140万人で23.9%、非正規の職員・従業員が446万人で76.1%です。

このうちパート・アルバイトは309万人で、役員を除く雇用者の52.7%を占めます。65歳以上で雇われて働く人の半数以上が、パートかアルバイトという計算になります。

10年前と比べると、正規の職員・従業員が47万人増だったのに対し、非正規の職員・従業員は178万人ふえました。

4.2 短時間労働者の時給は65〜69歳が1569円

では、パートで働いたときの時給はどのくらいでしょうか。

令和7年賃金構造基本統計調査によると、短時間労働者の1時間当たり賃金は、65〜69歳が1569円でした。

同じ調査で年齢計は1518円、60〜64歳は1526円、55〜59歳は1547円です。65歳代後半の時給は、これらをいずれも上回っています。

フルタイムの賃金が年齢とともに下がるのとは、逆の動きです。ただしこれは平均値なので、資格や専門性が必要な仕事に就いている人が押し上げている可能性もあります。

5. 働いて収入が増えると、国民健康保険料や医療費の窓口負担は翌年に変わる

ここからは元自治体職員の目線で、働いて収入を得たあとに起きることを補足します。

5.1 国民健康保険料は前年の所得をもとに計算する

65歳から74歳の方の多くは、勤務先の健康保険に入っていなければ国民健康保険に加入しています。

国民健康保険料の所得割は、前年の所得をもとに計算します。働いて収入がふえた分は、その年ではなく翌年度の保険料に反映される仕組みです。

保険料の計算を担当していた頃は、「去年より収入は減っているのに保険料が上がった」という相談をよく受けてきました。前年の所得を見ているという説明をすると、納得される方が多かったのを覚えています。

5.2 医療費の窓口負担割合の判定は8月1日に切り替わる

医療機関の窓口で支払う自己負担の割合も、所得によって決まります。

この判定が切り替わるのは8月1日です。年度初めの4月でも年明けの1月でもないため、「急に窓口負担割合が増えた」という相談が夏に集中していました。

不動産の売却のように、その年かぎりの所得で判定が変わることもあります。継続的に収入がふえたわけではないのに負担が重くなる場面は、窓口で何度も見てきました。

5.3 気になったら市区町村の窓口で確認する

働き方を変える前に確認しておきたいのは、収入がふえたときに保険料や窓口負担がどう動くかという点です。

国民健康保険料や後期高齢者医療保険料の計算方法は市区町村や広域連合によって異なります。自分の場合どうなるかは、お住まいの市区町村の窓口で確認するのが確実です。

勤務先の社会保険に入るかどうかで結論が変わることもあるため、勤務先の担当者にも合わせて聞いておくと判断しやすくなります。

6. まとめにかえて

65歳以上の就業者は943万人となり、働く人のおよそ7人に1人を占めるまでになりました。

月にいくら受け取れるかは産業によって大きく違い、65〜69歳では最も高い「教育,学習支援業」と最も低い「複合サービス事業」で19万8700円の開きがあります。

まずは自分が働こうとしている分野の水準を知り、そのうえで保険料や窓口負担まで含めて考えてみてください。

参考資料

太田 彩子