総務省統計局は2026年9月20日、「敬老の日」にちなんだ統計トピックス(No.149)を公表しました。65歳以上の就業者数は943万人となり、22年連続で前年を上回っています。

定年を迎えたあとも働き続ける人は、もう珍しい存在ではありません。ただ、実際にどのくらいの収入になるのかは、身近な人にも聞きにくいものです。

この記事では、公表されたばかりの就業データと、厚生労働省の令和7年賃金構造基本統計調査をあわせて、65歳以上がどんな仕事に就き、月にいくら受け取っているのかを見ていきます。

1. 65歳以上の就業者数は943万人、22年連続で増えた

まず、統計トピックスから働く高齢者の人数と割合を確認します。

1.1 就業者のおよそ7人に1人が65歳以上

2025年の65歳以上の就業者数は943万人で、2004年以降22年連続の増加となりました。比較可能な1968年以降で最も多い人数です。

2015年は732万人でしたから、10年で200万人以上ふえた計算になります。

15歳以上の就業者総数に占める65歳以上の割合は13.8%で、前年から0.1ポイント上昇しました。働いている人のおよそ7人に1人が65歳以上という状況です。

1.2 就業率は65〜69歳で54.5%と過去最高

65歳以上の就業率は26.0%で、前年に比べ0.3ポイント上がりました。

年齢階級別にみると、65〜69歳が54.5%、70〜74歳が36.2%、75歳以上が12.6%で、いずれも過去最高となっています。65歳代後半は半数を超える人が働いていることになります。

なお、2026年9月15日現在の65歳以上人口は3624万人で、総人口に占める割合は29.6%と、こちらも過去最高を更新しました。

2. 65歳以上が多く働く産業は「卸売業,小売業」と「医療,福祉」

次に、65歳以上がどの産業で働いているのかを見ていきましょう。

2.1 就業者数が最も多いのは卸売業,小売業の131万人

2025年の65歳以上の就業者数を主な産業別にみると、「卸売業,小売業」が131万人と最も多くなっています。

次いで「医療,福祉」が122万人、「サービス業(他に分類されないもの)」が108万人、「農業,林業」が88万人と続きます。

65歳以上の就業者数が多い主な産業(2025年)1/2

主な産業別にみた65歳以上の就業者数。卸売業,小売業が131万人で最も多く、医療,福祉122万人、サービス業108万人、農業,林業88万人と続く棒グラフ

出所:総務省統計局「統計トピックスNo.149 統計からみた我が国の高齢者」を参考にLIMO編集部作成

2.2 農業,林業は就業者の半数が65歳以上

各産業の就業者に占める65歳以上の割合をみると、様子が変わります。

最も高いのは「農業,林業」の50.6%で、就業者の半数が65歳以上です。次いで「不動産業,物品賃貸業」が29.0%、「サービス業(他に分類されないもの)」が22.4%、「生活関連サービス業,娯楽業」が18.7%となっています。

人数が多い産業と、高齢者の比率が高い産業は一致しません。

3. 65〜69歳の月収は産業によって20万円近い差がある

ここからは厚生労働省の令和7年賃金構造基本統計調査を使って、65歳以上がいくら受け取っているのかを確認します。就業データと同じ2025年の調査結果です。

3.1 65〜69歳の平均は28万5300円

フルタイムで働く一般労働者の賃金(所定内給与額)をみると、65〜69歳の平均は28万5300円でした。男性が30万4300円、女性が24万0700円です。

年齢階級別のカーブをたどると、55〜59歳の39万6200円がピークで、60〜64歳が32万9300円、65〜69歳が28万5300円と下がっていきます。

ピークからの差は11万0900円で、割合にすると28.0%の減少です。全年齢の平均である34万0600円と比べても、5万5300円低い水準になります。

3.2 産業別にみた65〜69歳の月収

同じ65〜69歳でも、産業によって金額はかなり違います。16の産業を高い順に並べました。

産業別にみた65〜69歳の賃金(2025年・所定内給与額)2/2

産業別にみた65歳から69歳の月額賃金ランキング。教育,学習支援業の42万0900円が最も高く、複合サービス事業の22万2200円が最も低い横棒グラフ

出所:厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査 結果の概況」を参考にLIMO編集部作成

  • 教育,学習支援業:42万900円
  • 学術研究,専門・技術サービス業:38万8300円
  • 情報通信業:38万5800円
  • 金融業,保険業:37万0400円
  • 建設業:32万9300円
  • 医療,福祉:31万8800円
  • 電気・ガス・熱供給・水道業:31万3400円
  • 鉱業,採石業,砂利採取業:29万5700円
  • 卸売業,小売業:26万1800円
  • 不動産業,物品賃貸業:25万9800円
  • 製造業:25万9400円
  • 運輸業,郵便業:25万2700円
  • サービス業(他に分類されないもの):24万1900円
  • 生活関連サービス業,娯楽業:23万2800円
  • 宿泊業,飲食サービス業:22万8800円
  • 複合サービス事業:22万2200円

最も高い「教育,学習支援業」と最も低い「複合サービス事業」の差は19万8700円です。

なお、賃金構造基本統計調査は「農業,林業」「漁業」「公務」を調査の対象に含みません。就業者数が88万人と多かった「農業,林業」の賃金は、この調査からは分かりません。

3.3 全年齢の平均を上回るのは教育,学習支援業と医療,福祉だけ

16産業のうち、65〜69歳の賃金がその産業の全年齢平均を上回っているのは2つだけでした。

「教育,学習支援業」は全年齢平均が37万9400円で、65〜69歳の42万900円が4万1500円上回ります。「医療,福祉」も全年齢平均31万5700円に対し、65〜69歳は31万8800円です。

また、60〜64歳から65〜69歳への下がり方をみると、「医療,福祉」は4500円(1.4%)の減少にとどまっています。下げ幅が最も大きい「不動産業,物品賃貸業」は7万4800円(22.4%)の減少ですから、産業による違いは小さくありません。

太田 彩子

自治体で国民健康保険と後期高齢者医療の保険料を計算していた頃、シニアの方から「働いた分がそのまま手元に残るわけではない」という声をよく聞いてきました。収入の額だけでなく、その後に動く保険料や窓口負担まで合わせて見ておくと安心です。