夏のボーナスの使い道を決めきれないまま、秋を迎えた方もいるのではないでしょうか。
経団連が2026年8月6日に公表した「2026年夏季賞与・一時金 大手企業業種別妥結結果 最終集計」によると、大手企業の2026年夏季賞与・一時金は平均104万2537円でした。夏季の最終集計としては、初めて100万円台に乗っています。
手元にまとまったお金があると、新NISAの積み立てを増やそうという発想も出てきます。ただ、全世界株式と米国株式のどちらにするかで迷う方は多くいらっしゃいます。過去の成績を見ると、期間によって順位が入れ替わります。
本記事の後半では、これから積み立てを始める方に多い「毎月いくらから始めればよいか」という疑問について、IFAの橋本 優理が回答します。
投資信託を選ぶ際、どうしても過去の成績ばかりに目が行きがちです。
もちろんこれまでのパフォーマンスも大切ですが、投資信託の「中身」も知っておくことが大切です。
どの国のどんな会社に投資されているかを知ることで、商品の比較がしやすくなります。
まずは、全世界株式と米国株式の中身の違いを見ていきましょう。
1. 全世界株式と米国株式、中身はどう違うのか
ここで取り上げる2つは、どちらも市場全体の値動きに連動するインデックスファンドです。ただし、投資する対象がまったく異なります。以下の組入比率は、いずれも2026年8月末時点の月次レポートに基づくものです。
1.1 全世界株式(オルカン)
「オルカン」は「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」という投資信託の愛称です。日本を含む先進国と新興国の株式、約2400銘柄に投資します(2026年8月末時点で2409銘柄)。
資産構成
- 先進国株式(除く日本) 83.1%
- 新興国株式 11.8%
- 国内株式 5.1%
組入上位10カ国・地域
- アメリカ 62.8%
- 日本 5.0%
- 台湾 3.2%
- イギリス 3.1%
- カナダ 3.0%
- 韓国 2.4%
- フランス 2.0%
- スイス 2.0%
- ドイツ 1.9%
- オーストラリア 1.4%
特徴
- リスク分散:地理的なリスク(特定の国の経済が低迷するリスク)を最小限に抑えられます。
- 各国の経済状況に応じて投資先を自分で入れ替える必要がない:世界の経済状況に応じて、国別・地域別の比率を運用会社が調整してくれます。
たとえばアメリカ経済が低迷しても、日本やヨーロッパ、新興国が成長すればその分でカバーされます。
1.2 米国株式(S&P500)
S&P500は、アメリカを代表する企業500社の株価をまとめた指標です。比較で取り上げられる際は「eMAXIS Slim 米国株式(S&P 500)」という投資信託を指すことが多くなっています。実際の組入銘柄数は503銘柄です。
資産構成
- 実質外国株式 100.0%
組入上位10銘柄
- NVIDIA CORP アメリカ 半導体・半導体製造装置 7.9%
- APPLE INC アメリカ テクノロジ・ハードウェア・機器 7.0%
- MICROSOFT CORP アメリカ ソフトウェア・サービス 5.7%
- AMAZON.COM INC アメリカ 一般消費財・サービス流通・小売り 3.9%
- ALPHABET INC-CL A アメリカ メディア・娯楽 2.9%
- BROADCOM INC アメリカ 半導体・半導体製造装置 2.6%
- ALPHABET INC-CL C アメリカ メディア・娯楽 2.5%
- META PLATFORMS INC-CLASS A アメリカ メディア・娯楽 1.9%
- MICRON TECHNOLOGY INC アメリカ 半導体・半導体製造装置 1.6%
- TESLA INC アメリカ 自動車・自動車部品 1.5%
特徴
- 高成長への期待:過去数十年間、アメリカ経済は成長を続けてきました。とくに「アップル」、「マイクロソフト」、「NVIDIA」などの巨大テック企業が組み込まれており、その成長の恩恵をダイレクトに受けられます。
- 米国「集中」のメリットとリスク:投資対象がアメリカ一国に集中するため、リターンが高くなる可能性が高い一方で、アメリカ経済が長期低迷した際のリスクも大きくなります。
2. 過去の成績を比べるとどうなるか
ここからは、2つのファンドが設定されてから現在までの基準価額と純資産総額の動きを見ていきます。数値はいずれも2026年9月18日時点のものです。
2.1 全世界株式の基準価額と純資産総額の推移
オルカンの基準価額と純資産総額の推移(2018年10月〜2026年9月)1/5
出所:三菱UFJアセットマネジメント「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」を参考にLIMO編集部作成
- 設定日:2018年10月31日
- 設定来の運用実績:+275.32%
- 直近1年間の運用実績:+25.68%
2.2 米国株式の基準価額と純資産総額の推移
- 設定日:2018年7月3日
- 設定来の運用実績:+339.66%
- 直近1年間の運用実績:+24.25%
2.3 設定来では米国株式が上回る
2つのファンドは設定日が4カ月ほど異なるため厳密な比較ではありませんが、設定来の運用実績では米国株式のほうが上回っています。
- オルカン:+275.32%
- S&P500:+339.66%
2.4 直近1年では全世界株式が上回る
ところが、期間を直近1年に区切ると順位が入れ替わります。
- オルカン:+25.68%
- S&P500:+24.25%
直近1年間で見ると、米国に集中した側を、投資対象を世界各国に分散した側が上回っています。
米国にとってネガティブな出来事が起きたとき、米国株式はその影響を大きく受けます。一方、全世界株式は米国株が下落しても他の国が好調であればカバーされるため、影響が限定的になります。どちらが優れているという話ではなく、値動きの出方が違うということです。
3. 【シミュレーション】毎月3万円・5万円・10万円を10年間積み立てた場合
過去の実績は高い水準でしたが、上がるときもあれば下がるときもあります。この先ずっと同じ利回りが続くわけではありません。
ここでは直近の高いリターンをそのまま当てはめるのではなく、年5%と年7%で運用できた場合を想定して試算します。
【シミュレーション条件】
- 積立額:月3万円・5万円・10万円
- 積立期間:10年間
- 想定利回り:10年間で平均して「年5%」・「年7%」で運用できたと仮定
3.1 毎月3万円を10年間積み立てた場合
平均年5%で運用できた場合
- 元本:360万円
- 運用収益:103万円
- 合計:463万円
平均年7%で運用できた場合
- 元本:360万円
- 運用収益:153万円
- 合計:513万円
3.2 毎月5万円を10年間積み立てた場合
平均年5%で運用できた場合
- 元本:600万円
- 運用収益:172万円
- 合計:772万円
平均年7%で運用できた場合
- 元本:600万円
- 運用収益:255万円
- 合計:855万円
3.3 毎月10万円を10年間積み立てた場合
平均年5%で運用できた場合
- 元本:1200万円
- 運用収益:344万円
- 合計:1544万円
平均年7%で運用できた場合
- 元本:1200万円
- 運用収益:511万円
- 合計:1711万円
※投資には元本割れのリスクがあります。ここでは平均年5%・7%で運用できた場合を想定していますが、実際にはマイナスとなる期間が生じることも理解しておく必要があります。
