3. 老齢年金に上乗せされるお金2選

シニアの暮らしとかかわりが深い公的年金には、本来の老齢給付(老齢年金)を補完する制度がいくつかあります。

今回はこのうち、老齢年金を受給中の人が一定要件を満たす場合に「年金に上乗せされる」2種類の給付を紹介します。

3.1 【その1】年金生活者支援給付金

年金生活者支援給付金は、基礎年金を受給中で一定の所得要件を満たす人が受け取ることができるお金。老齢基礎年金、障害基礎年金、遺族基礎年金それぞれに給付金が設けられています。

ここではシニアの暮らしと関連が深い「老齢年金生活者支援給付金」にフォーカスします。

老齢年金生活者支援給付金の支給要件

所得の基準は令和8年10月分から82万6500円。世帯全員が市町村民税非課税であることも必要4/6

老齢年金生活者支援給付金の支給要件を年齢・世帯・所得の別にまとめた表

出所:厚生労働省「年金生活者支援給付金制度について」をもとにLIMO編集部作成

  • 65歳以上の老齢基礎年金の受給者
  • 同一世帯の全員が市町村民税非課税
  • 前年の公的年金等の収入金額(※1)とその他の所得との合計額が昭和31年4月2日以後生まれの方は82万6500円以下、昭和31年4月1日以前生まれの方は82万4100円以下(※2)(※3)である

※1 障害年金・遺族年金等の非課税収入は含まれない
※2 昭和31年4月2日以後に生まれた方で82万6500円を超え92万6500円以下である方、昭和31年4月1日以前に生まれた方で82万4100円を超え92万4100円以下である方には、「補足的老齢年金生活者支援給付金」が支給される
※3 所得の基準額は令和8年10月分から令和9年9月分までに適用されるもので、令和7年中の所得で判定される

老齢年金生活者支援給付金の給付基準額

2026年度の老齢は月額5620円。前年度から170円の増額5/6

年金生活者支援給付金の給付基準額を老齢・障害・遺族の別に2025年度と2026年度で比べた表

出所:厚生労働省「令和8年度の年金額改定についてお知らせします」をもとにLIMO編集部作成

老齢年金生活者支援給付金の給付基準額(2026年度)は月額5620円です。

上記はあくまで基準額であり、実際の支給額はこの給付基準額を元に保険料納付済期間などにより計算され、下記①と②の合計額となります。

  • ①保険料納付済期間に基づく額(月額) = 5620円 × 保険料納付済期間 / 被保険者月数480月
  • ②保険料免除期間に基づく額(月額) = 1万1768円 × 保険料免除期間 / 被保険者月数480月

3.2 【その2】加給年金

「加給年金」は「年金の扶養手当(家族手当)」のような制度です。

老齢厚生年金を受給中の人が年下の配偶者や子どもを扶養する場合、一定要件を満たすと年金に上乗せして受給できる年金です。

加給年金の支給要件

  • 厚生年金加入期間が20年(※)以上ある人:65歳到達時点(または定額部分支給開始年齢に到達した時点)
  • 65歳到達後(もしくは定額部分支給開始年齢に到達した後)に被保険者期間が20年(※)以上となった人:在職定時改定時、退職改定時(または70歳到達時)

※または、共済組合等の加入期間を除いた厚生年金の被保険者期間が40歳(女性と坑内員・船員は35歳)以降15年から19年

それぞれ、上記で示した時点で、「65歳未満の配偶者」または「18歳到達年度の末日までの間の子、または1級・2級の障害の状態にある20歳未満の子」がいる場合に年金に上乗せして支給されます。

ただし、配偶者が老齢厚生年金(被保険者期間が20年以上あるもの)、退職共済年金(組合員期間が20年以上あるもの)を受給する権利がある場合、または障害厚生年金、障害基礎年金、障害共済年金などを受給している場合、配偶者加給年金額は支給停止されます。

加給年金の支給額

配偶者と1人目・2人目の子は各24万3800円。3人目以降の子は各8万1300円6/6

加給年金額と配偶者の特別加算額を対象者別にまとめた表

出所:日本年金機構「加給年金額と振替加算」をもとにLIMO編集部作成

「加給年金」の年金額(2026年度の年額)は以下のとおりです。

  • 配偶者:24万3800円
  • 1人目・2人目の子:各24万3800円
  • 3人目以降の子:各8万1300円

なお、老齢厚生年金を受給している人の生年月日に応じて、配偶者の加給年金額に3万6000円から17万9900円の特別加算額が支給されます。

加給年金は対象となる配偶者が65歳になると支給は終わります。ただしその配偶者が老齢基礎年金を受け取る場合、一定の要件を満たせば老齢基礎年金に「振替加算」されます。

4. LIMO読者に聞いた、制度への意見

みなさんは、こうした公的な支援制度について、どのように感じているでしょうか。LIMOメールマガジン読者を対象に実施した独自アンケートでも、政府・制度への意見として次のような声が寄せられました。

  • 「非課税世帯給付金は恒久的に継続してほしいです」(大阪府・40代前半・男性)
  • 「もう少し補助金等の金額を上げてほしいです。経済的に困窮している家庭でも、経済的な理由で夢や目標を諦めることなく支援してほしいです」(兵庫県・40代後半・男性)
  • 「特にないが、高齢者への冷遇がひどいと感じています」(高知県・70代前半・男性)

こうした声からもわかるとおり、制度そのものへの期待は大きい一方で、「知らなかった」「申請し忘れた」という理由で受け取れないケースは少なくありません。

今回ご紹介した雇用保険関連の給付金や年金の上乗せ制度も、その一つと言えるでしょう。

4.1 【調査概要】

本記事の声は、弊社メールマガジン読者を対象に実施した独自アンケートに基づいています。

  • 実施期間:2026年8月4日〜8月17日
  • 有効回答数:22件
  • 回答者:20代〜70代の男女
  • 調査方法:択一式・自由記述式
  • 掲載形式:年代・性別を明記の上、原則として匿名で掲載

5. まとめ

今回は、シニアの就業状況を確認したうえで、働き続けるシニアを支える雇用保険関連の給付金と、年金に上乗せされる制度について解説しました。

再就職手当や高年齢雇用継続給付、高年齢求職者給付金といった雇用保険関連の給付金、そして年金生活者支援給付金や加給年金といった年金上乗せの制度は、いずれも要件を満たしていても自分から申請しなければ受け取ることができません。

読者から寄せられた「制度を継続・拡充してほしい」という声にもあるように、制度への期待は大きいからこそ、まずは自分自身が対象になっていないかを確認し、もらい忘れを防ぐことが大切です。

長くなる老後を支えるのは、公的年金だけではありません。就労による収入、そして各種給付金を組み合わせて活用することが、安心につながる備えと言えそうです。

参考資料

三石 由佳